アルトマン氏はDeep researchを紹介、時間はかかるが詳細な回答を行える機能
孫氏に続いては、OpenAI CEOのサム・アルトマン氏が登壇した。
OpenAIは、AIの発展段階を5レベルで評価している。レベル1はChatbot(チャットボット、ChatGPTがこれにあたる)レベル2がReasoners(推論モデル)で、これはOpenAI o3-miniを発表したばかり。その次のレベルがAgents(エージェント)で、これも先日、初めての本格的なエージェントとして「Operator」を発表している。
そしてアルトマン氏が詳細に紹介したのが、この日発表されたばかりの「Deep research」だ。これまでのChatGPTがすぐに答えを出すようなAIだとすれば、Deep researchは人間が数日かけてやるような作業を数分で処理するようなものだとのこと。時間をかけるぶん、複雑なタスクを処理させることができたり、同じタスクでもより深く検討された詳細な回答・成果物を得ることができる。Deep researchが返すレポートには、出典リンクなども含まれるため、ユーザーが内容を検証可能。企業向けAIにおいてはこのDeep researchが大きな役割を果たすことになるという。
OpenAIのスタッフによるデモンストレーションでは、企業の事業戦略を尋ねたとき、ChatGPTでは数項目/10行程度の回答が返されるのに対し、Deep researchではコンサルタントやアナリストが作成するような数ページにわたる分析が返されていた。レポートの作成にあたって利用した情報もリンクされており、推論のプロセスも明示されていたので、その内容をユーザーが検証することもできるだろう。
この日は企業での活用が主題となっていたが、このディープリサーチは、個人にが趣味や生活において活用することもできるという。また、学術的な研究においても助けになると考えているようだ。
Armのレネ・ハース氏は、AIの進化に伴い、より多くの計算資源が必要になるとして、Armの存在意義をアピール。Armのチップが省電力性と互換性の面で優れており、クロスプラットフォームでユーザーにとって使い勝手がよくなる半面、開発が複雑になっているとしながら、ArmがもつKleidiAIなどのソリューションにより開発者の負担を低減したいと語る。最後に同氏は、「世界のすべてのデバイスがスマートになることについて楽観視している」と締めくくった。
各氏のプレゼンテーションのあとは、孫氏とアルトマン氏がAI周辺のさまざまな話題について語るトークセッションの時間が持たれた。
この日の時点では、SB OpenAI Japanの開発する企業内AIが孫氏の語るようなものになりうるのか、それが可能だとして実現するのはいつごろになるのか、運用のための費用やインフラが現在想定されている規模におさまるのかなど、不明な点が多い。それでもこれだけの投資を行い、この時点で「ソフトバンクグループ向けの企業内AIを開発する」と宣言する孫氏の期待の大きさは明らかだった。AIの導入に手を挙げる企業がこの日のイベントの参加者から出てくるか、楽しみなところだ。