SNSを中心に広まる偽情報や誹謗中傷、災害発生直後に出回る偽情報が問題になっている。デジタル時代においては、インターネットやSNSなどを積極的に活用しつつ、それぞれが責任ある行動を取ることの重要性が増している。そのような流れを受けて、総務省が旗振り役となり、通信事業者やプラットフォーム事業者、SNS運営企業などが連携し、利用者のICTリテラシーを高めて安心安全な情報社会を作り上げることを啓蒙する官民連携プロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION」が始動した。2月11日には、ICTリテラシー向上につながるコンテンツを網羅したWebサイトを開設する。
今回のプロジェクトでは、インターネットやSNSの関連団体、プラットフォーム事業者、通信事業者、SNSなどインターネット関連事業者と総務省が連携し、インターネットやデジタルのリテラシー向上を広く啓蒙していく。リテラシー向上のコンテンツを網羅したWebサイトを開設するほか、セミナーの実施や教材の作成、さまざまな媒体を用いた広報活動も実施する。
Webサイトは、2月11日のセーファーインターネットデーに合わせて本格的に立ち上げるが、1月22日にロゴやステートメントなどを掲載した先行サイトを公開している。
プロジェクトの会長を務める慶應義塾大学大学院 法務研究科の山本龍彦教授は「インターネットや情報空間のデジタル化は、もともとさまざまな人とつながれ、より多様な意見を共有できるなど、ポジティブな側面が期待されていた。ただ、近年では有害情報の流通拡散への対応が課題となっている。リテラシーの向上、それによる一人一人の意識やアクションの変化、カルチャーの形成によって、私たちの情報空間やデジタル空間をよりポジティブなものに変えていける」とプロジェクトの狙いを語る。
総務省でインターネットの偽情報や誤情報への対応などを担当する情報流通行政局 情報流通振興課 企画官の吉田弘毅氏は「現在、デジタル社会は日常社会と一体化している。デジタルはプラスの面が非常に大きい一方で、偽情報やなりすまし広告といった課題もある。これらの課題解決には、制度的対応や技術的対応だけではなく、利用者のリテラシー向上も重要だと考えた」と語った。
「リテラシーの向上は即効性のある取り組みではないため、長期的な視点で進める必要がある。今回のプロジェクトは、少なくとも2年以上の長期的な取り組みを見込んでいる。内容は随時アップデートしていく。特に、情報流通において広告は重要な要素であり、その内容や扱い方によって大きな影響を与える可能性がある。そのため、広告を扱う企業や広告代理店など、幅広い団体に参加してもらいたいと考えている」と、現在の団体や企業以外の参加もあり得るともコメントした。