米Googleは12月12日(現地時間)、XR用のオペレーティングシステム(OS)「Android XR」を発表し、開発者向けにAndroid XR SDKのプレビュー版をリリースした。2025年に、Samsungが「Project Moohan」というコードネームで開発している初のAndroid XRデバイスが登場する予定である。
XRは、「Extended Reality」または「Cross Reality」を指し、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの技術を含むものである。この分野では、Metaが「Meta Quest」シリーズと「Ray-Ban Metaスマートグラス」で先行しており、さらに今年の2月にAppleが「Vision Pro」を発売している。
「Android XR」はスマートフォンに対するAndroidと同様に、XRデバイス向けにオープンなOSを提供し、ハードウェアメーカーや開発者に対し、互換性のあるエコシステムを提供することで、XR市場の拡大を目指している。
GoogleはAndroid XRをAI時代のインターフェイス技術の1つと位置付けている。同社は「AIの進歩により、コンピューターとのやり取りはより自然で会話的なものになっている。この転換点により、ヘッドセットやメガネなどの新しい拡張現実 (XR) デバイスがユーザーの意図や周囲の世界を理解し、まったく新しい方法で作業を支援する」と述べている。
GoogleはSamsungとのコラボレーションでAndroid XRを開発しており、Lynx、Sony、XREALといったQualcommパートナー企業のデバイス開発を支援する。Android XR SDKのプレビュー版では、最初からARCore、Android Studio、Jetpack Compose、Unity、OpenXR などのツールがサポートされており、 開発者はAndroid XR デバイス向けのアプリやゲームの開発に早期に取り組める。
Android XRヘッドセットでは、仮想環境に完全に没入する状態と、現実世界とデジタルコンテンツを融合した環境を切り替えられる。周囲の空間にアプリやコンテンツを配置し、GeminiによるAIアシスタントを通じて、見ているものついて会話したり、デバイスを操作することが可能である。
GoogleアプリのAndroid XR対応も進められており、YouTubeやGoogle TVを仮想の大画面で見たり、Googleフォトで思い出を3Dで振り返ることが可能となる。複数の仮想スクリーンを配置したマルチタスクにも対応し、「Circle to Search」(かこって検索)を使って、目の前にあるものに関する情報を簡単に見つけられるとのこと。
Metaの「Ray-Ban Metaスマートグラス」のような、メガネ型のスマートデバイスもサポートする。この種類のデバイスでは、道順、翻訳、メッセージの概要などが必要な際に、スマートフォンを取り出すことなく、タップ1回でGeminiのAIアシスタントを呼び出してスムーズに情報を得られる。Googleは少人数のユーザーグループを対象に、Android XRを搭載したスマートグラスのプロトタイプのテストを間もなく開始する。