9月27日に国内発売されることがアナウンスされたモトローラ「motorola razr 50」。9月17日に開催された新製品発表会のタッチ&トライコーナーで、限られた時間ではありましたが、展示されている実機を触ることができました。そのインプレッションを写真と動画でお届けします。
お詫びと訂正:記事初出時、文中で「目黒蓮」さんのお名前を「永瀬蓮」さんと誤って記載している箇所がございました。関係者・読者の皆様にお詫びさせていただくとともに訂正させていただきます。 |
もはや“サブ”とは呼びがたい、大型のアウトディスプレイ
「razr 50」の前モデル「razr 40」からの最大の変更点は、大型のアウトディスプレイ。前モデルのアウトディスプレイが約1.5インチで194×368ドットの解像度だったのに対し、「razr 50」のアウトディスプレイは約3.6インチで1,056×1,066ドット。このスペックは「razr 40」の上位モデルである「razr 40 ultra」と同じです。
「razr 40」と「razr 40 ultra」には30,000円の価格差がありましたから、「ultra」でない「razr 50」が同等のアウトディスプレイを搭載したことには大きなインパクトがあります。
ちなみにライバルとなる「Galaxy Z Flip6」のサブディスプレイのサイズ・解像度は、3.4インチで720×748ドット。サイズ・解像度ともに「razr 50」に軍配があがります。
“折りたたみスマホ”の特性を活用するための設置スタイルとして、ヒンジ面を上に向ける「テントスタイル」、背面のアウトディスプレイがない下半分を底面とする「スタンドスタイル」、メインディスプレイを上に向けて途中まで折り曲げる「ラップトップスタイル」の3つのスタイルをあらためて定義。
テントスタイルやスタンドスタイルでは、時計や写真を表示してフォトフレームのように使えます。「推し活」にオススメのスタイルです。
このアウトディスプレイでは、専用ウィジェットを表示するというのではなく、さまざまなアプリの作業が行えます。対応しているのは、YouTubeやAmazon Prime Video、Spotify、LINE MUSICなどのコンテンツ再生、LINEのメッセージなどのほか、PayPayのバーコードを表示しての決済もアウトディスプレイのみで完結できます。
アウトディスプレイでアプリを利用する場合、その内容はメインディスプレイとの間で引き継がれます。たとえばLINEで、メッセージの確認とひとことふたことの返信はアウトディスプレイで行いつつ、複雑な内容になったらメインディスプレイを開いてそちらに移行する……といったこともスムーズに行えます。
また、折りたたみを活かした機能として、動画撮影をアシストする「ハンディモード」も搭載。これは端末を90度前後に折りたたんで構えることで、カムコーダーのような感覚で撮影ができる機能です。ハンディモードに移行すると、自動的に撮影もスタートするので撮影チャンスを逃しません。
ヒンジは改良されて第4世代の機構に。“パタン”という感触にこだわりも
折りたたみのヒンジ部分は、刷新されて第4世代の機構になりました。これまでは折りたたみ時に均等にトルクがかかっていたところ、「razr 50」ではメリハリをつけ、たたむときに“パタン”という感触で閉じるようになっているそうです。
カラーはコアラグレイ、サンドクリーム、スプリッツオレンジの3色。表面はヴィーガンレザー仕上げで、コアラグレイのみ他の2色とはちょっと質感の異なる仕上げとなっています。アウトディスプレイ表面はCorning Gorilla Glass Victusを採用。
モトローラの日本国内事業は2023年度に大きく伸長
新製品発表会の席上、登壇した仲田正一 代表取締役社長は、2023年度に同社が日本市場で大きな成長をとげたと報告しました。スマートフォン出荷台数は前年度から+135%の伸長となり、オープンマーケット端末のシェアは3位に躍進。検索ボリュームも前年度比で+55%となっているそうです。今年度も、第1四半期の出荷台数が計画比165%と、好調は続いています。
そんなモトローラの成長戦略は「製品」「新しい顧客体験」「パートナーシップ」「ブランド」の4つを柱としています。このうち「製品」「新しい顧客体験」は、折りたたみスマートフォンという新しいスタイルを提案する「razr 50」が担います。
そして「パートナーシップ」の中心となるのが、ソフトバンクとの販売提携。今回の新製品発表会には、ソフトバンクから執行役員 モバイル事業推進本部 本部長の郷司雅通氏が登壇し、同社が販売するソフトバンク版の「motorola razr 50s」の販売施策を紹介しました。
郷司氏は前モデル「razr 40s」について、折りたたみスマホへの「高そう」「壊れやすそう」というユーザーの不安があったことから、10万円を切る販売価格とiCrackedとの提携による即日修理対応によってその解消に努めたと説明。その結果「razr 40s」の販売は成功したものの、日本では折りたたみスマホのシェアが米国の約4分の1にとどまっていることから、折りたたみスマホがまだ成長の余地があるジャンルであるという見方を示しました。
そして「razr 50s」の販売にあたっても、iCrackedとの連携による即日修理対応は継続します。価格面では、端末価格こそ115,200円と値上げされているものの、販売プログラムの利用で1~12回目の分割支払い金を月額3円に抑えるなどの選択肢を用意します。店舗等での販売促進施策としては、実機の展示や発売記念イベントのほか、来店者限定のキャンペーン(主催はモトローラ)などを計画しています。折りたたみスマートフォンは実際に製品に触れることでその魅力が伝わることから、店頭施策には力を入れていくようです。
なお、折りたたみスマホに対する日米の受容のされかたの違いについては、発表会後の囲み取材で仲田社長も言及しています。仲田社長は、「米国では新しい商品の購入者がリニアに増えていきますが、日本では新しい商品の導入直後は利用者がなかなか増えず、『みんなが持っている』というタイミングになると大きく伸びるという特性があります。こういう市場特性の違いもあるでしょう」と話していました。
ブランドアンバサダーに目黒蓮さん起用で20代・30代の認知向上を目指す
先の4つの成長戦略のうち、最後に残ったのが「ブランド」。ここを強化するための施策が、「razr 50」の国内発売アナウンスと同時に発表された目黒蓮さんのブランドアンバサダー就任ということになります。
仲田社長は目黒さんの起用について「真摯にいろんなことに取り組んでおられて、新しいことにチャレンジしていく姿というのが、我々モトローラのチャレンジする姿勢、通信市場において真面目に100年近く仕事をしてきたというところに通じるものがある」とその理由を話していました。
アンバサダー施策をはじめとする今回のプロモーションは、「日本市場では何十年ぶりという規模」とのこと。その目指すところは、20代・30代の認知拡大。広い世代での認知はありつつも、これから市場を牽引する消費者となっていくこの世代の認知が足りないという認識がモトローラにはあるようで、目黒さんのアンバサダー起用でそこを改善していきたい考えです。
今回、「razr 50」だけが国内発売となったことで、気になるのは「razr 50 ultra」の国内販売があるかどうかです。モトローラからは「現時点で話せることはありません」と述べるにとどまっており、「ultra」の発売に含みを残しているようにも感じられます。
「razr 50」の国内発売がグローバルの製品発表から3カ月たってのことになったのには、もちろんおサイフケータイ対応などのローカライズに時間が必要だったこともありますが、年末商戦に合わせたという狙いもあるそうです。年末商戦で「razr 50」が好調に推移し、「razr 50 ultra」の国内販売につながることを期待したいところです。