Riot Gamesは6月9日、提供中のFPSゲーム『VALORANT』において新マップ「アビス」を発表しました。新キャラのクローブも活躍するシネマティックがYouTubeに公開されたほか、VCT 2024 Masters Shanghaiのエキシビジョンマッチではマップ外周を用いたエキセントリックなプレイングが注目を集めたばかり。今回別途メディア・インフルエンサー向けの先行体験会が行われたので、マイナビニュースも参加してきました。
忙しい方向けにまとめておくと、新マップでは外周の保護がされておらず転落すると一発でデスする点が特徴。全体的にかなり広く、ガンファイトではかなり長距離を戦うことになりそうです。
地底の大空間にそびえたつ「アビス」
バージョン8.11から、新マップ「アビス」がマッププールに導入されます。1つ前に実装された「サンセット」が比較的オーセンティックな2サイト・3レーンのマップだったこともあってか、反動を受けたかのようにプレイ体験が大きく変わりそうな新要素を多数用意しています。
サイト内は全体的に広々としていて射線が長く設計されているほか、マップ外周の境界部の保護を削除して“転落死”要素を搭載。破壊可能な扉や高低差を含んだミッド、サイト間をつなぐ“ショート”も充実しており、従来マップとはだいぶ毛色が異なります。『Counter-Strike』シリーズに慣れているプレイヤーなら、建設現場をフィーチャーした「Vertigo」を懐かしく感じることがあるかもしれません。
短時間での体験でしたが、目標までの距離が伸びたことで射撃はより精密さが要求され、ファントムでは厳しく感じることもありそう。オペレーターやアウトローの脅威はより増大し、索敵系のアビリティはかなり遠くまで届かないと影響力を発揮できないように思います。
なんといってもマップ各所で外周が保護されておらず、足元の小さな段差を踏み越えると転落死してしまう点が最大の特徴です。外部に飛び出してもある程度落ちないと死なないように設計されているようで、飛行系アビリティはもちろん、転移系アビリティを使用する十分な時間的猶予がありました。オーメンのシュラウドステップに加えて、ヨルのゲートクラッシュの発生も全然間に合いそう。
戦略的には特に関係ありませんが、アビスにはこれまで販売されてきた武器スキンゆかりのグラフィックがあしらわれているところが気になりました。武器が飾られているミッドは“書庫”という設定で、連絡通路にはこれまでの武器スキンがいくつか展示されています。
なお、8.11のリリースと同時に新武器スキンセット「エイモンディア」を発売します。バッキー、ヴァンダル、シェリフ、ブルドッグと各種アクセサリーを同梱するバンドルで、お値段は今のところ未発表。
メレーはいわゆる「ブレード・オブ・カオス」「ブロークン ルインドキング ブレード」と同じタイプですが、振り回した際のアニメーションには若干手が加えられています。武器シリーズは銃身にデカい銃剣を搭載しており、これまでにない外観に仕上げられているところが目を引きます。これだと銃口より先に銃剣が見えてしまうのでは……と思いましたが、もちろん心配いりません。
デュエリストはかなり上方修正。移動スキルのエントリー以外でも存在感
新マップの追加も見どころですが、既存デュエリストの性能に大幅なテコ入れが図られている点も見逃せません。アイソ、ネオン、レイナの仕様に調整が図られており、従来は高速移動技でサイト内への突入を敢行する役割が多かったデュエリストロールの多様性が増しています。特にネオンの仕様は強烈で、スライディング中の射撃エラー削除によって爆速移動中の精密射撃が可能になっています。
開発者コメント抜粋。マップを広くしたのにも理由が
───「アビス」の設計で目標としたことは何ですか?
「アビス」では、プレイヤーの皆さんにユーティリティーと移動のあり方を捉え直し、それらをより刺激的に活用する方法を考えてもらいたいと考えました。設計時にはこの目標を意識し、本マップから境界をなくし、プレイヤーの創造力が輝く余地を作っています。
たとえばレイズのブラストパックで敵を落下させる、オーメンのシュラウドステップで構造物を迂回するなどが浮かびますが、他のエージェントもサイト周りでよりリスクの高いルートを取り得るマップとなっています。この他には比較的長距離での銃撃戦も意識しましたが、一方でコンセプトの明確さとレイアウトの覚えやすさが犠牲にならないようにも気を配りました。
またもう少し細かな点では、スモーク越し、あるいはスモークを巡る戦闘展開についても色々と模索しました。スモークが「狭所を完全に塞げる」感覚を変える試みです。
───「アビス」をデザインするにあたって、何からインスピレーションを得ましたか?また、このマップで伝えたい重要なコンセプトは何ですか?
プレイヤーの中には「クリップ」を意識したプレイを狙う方も多いので、今回はマップ自体に創造的な自由を発揮する余地を広く残しました。ハイリスク・ハイリターンなゲームプレイは私たちも大好きですから、今回はVALORANTに過剰にならない範囲で「危険なスリル」を加えようと試みています。
───「アビス」の開発中に生じた予期せぬ課題や開発の裏話はありますか?
実は元々の「アビス」はもっと高低差のあるマップでした。デス・ドロップ(落下ポイント)という要素は最初からあったので、それをより一層強調したいと考えたのです。実際、デス・ドロップ以外のゲーム要素もテストしていました。一瞬で高所へ跳ね上がれるジャンプパッドや、ノーダメージで着地できるクラッシュパッドのようなものです。
最終的には「アビス」のゲームプレイ体験には不要だと判断して削除しましたが、いつか日の目を見ることもあるかもしれません!(JoeySimas、リードマップデザイナー)