iPhoneを動かす力といえば電力、内蔵のリチウムイオンバッテリーに蓄えられた電力がなければディスプレイやSoCは稼働しません。そしてバッテリーは充電して放電して...を繰り返すうちに結晶構造が変化し、徐々に劣化していきます。

しかし、リチウムイオンバッテリーは電圧と電流、温度を適切に制御すれば、劣化スピードを遅らせることが可能です。過電流充電を防ぐために電流/電圧を一定にする、満充電近くに到達したら定電流/定電圧充電に切り替える、などと充電方法を細かく制御すれば寿命を延ばすことができるのです。

iPhoneでも細やかなバッテリー制御を実施していますが、Appleは「フル充電サイクルを500回繰り返した時に、本来の容量の最大80%を維持できるように設計されています」として、0から100%までの充電を1回と数え500回に達したときバッテリー性能は工場出荷時点の8割にまで低下する、という立場をとってきました。

最新のiPhone 15シリーズでは、そこに大きな変化が生じています。2024年2月に更新されたAppleの公式WEBページ「iPhoneのバッテリーとパフォーマンス」では、「iPhone 15モデルのバッテリーは、理想的な条件下で使用された場合、フル充電サイクルを1,000回繰り返した後も本来の蓄電容量の80%を維持するよう設計」されていることが明らかにされています。

リチウムイオンバッテリーそのものの仕様は、iPhone 14シリーズ以前と大きく変わりないとしても、バッテリー制御やパフォーマンス管理をより緻密に実施することにより、バッテリー寿命は格段に延びています。ユーザの使いかたにも左右されるものの、iPhone 15シリーズのバッテリーは従来より長寿命と考えてよさそうです。

  • iPhone 15のバッテリーは、理想的な条件下で使用された場合、フル充電サイクルが1,000回とされています