2024年のCESでもまた、ソニーは日本を代表するエレクトロニクス企業として、世界が注目する最先端のテクノロジーや製品の数々を見せてくれました。ソニー・ホンダモビリティの新しい「AFEELAプロトタイプ」(電気自動車)の試乗体験と一緒に、ソニーブースのダイジェストツアーをレポートします。

  • CES 2024に出展したソニーのブース、今年も賑わっていました

    CES 2024に出展したソニーのブース、今年も賑わっていました

クリエイター気分でバーチャル制作の現場を体験

ソニーブースでは、「Powering Creativity with Technology(テクノロジーで創造性を支える)」というテーマを掲げていました。一般公開の前日に開催したプレスカンファレンスでは、ソニーグループが持つ最先端の技術と、映画・音楽・ゲームなどクリエーションのノウハウによる融合をさらに加速し、没入型空間コンテンツやバーチャルプロダクションといったクリエイターの新たな創作スタイルを支援する環境を中心に紹介していました。

バーチャルプロダクションに関連するソニーの取り組みについては、日本国内でも東京にコンテンツ制作の拠点「清澄白河BASE」が2022年から立ち上がり、さまざまなコンテンツ制作が進んでいます。ソニーのバーチャルプロダクションに関連する技術の概略とスタジオの最新レポートは、別記事『ソニーの次世代撮影技術「バーチャルプロダクション」とは? フルCGと一線画す映像表現の秘密』も合わせてご覧ください。

  • ソニーのバーチャル映像プロダクションの技術を紹介

ソニーグループのコンテンツ制作についてCES 2024で新しく発表されたトピックとして、ソニー・ピクチャーズの「事前映像化」を実現する最新施設「Torchlight(トーチライト)」を披露。Epic Games社のリアルタイム3D制作ツール「Unreal Engine」を活用した映像制作は、映画やゲームなど多彩な形態のコンテンツに広く普及しています。

Torchlightでは、ソニーのプロフェッショナル用シネマカメラ「VENICE」とUnreal Engineを利用して、バーチャル撮影技術を活用したデジタル映像を、本格的に撮影する前の段階で「プリビジュアライゼーション(事前映像化)」するサービスを提供します。Torchlightがそろえるシミュレーター環境にて、クリエイターが参考映像を制作できるようになることで、全体の映像制作にかかるコストと時間が大幅に削減されます。

  • Torchlightによる、バーチャルなプリビジュアライゼーションのためのツールを展示

会場に特設されたシアタールームでは、PS VR2やMeta Questシリーズなどで楽しめるVRゲーム「Ghostbusters: Rise of the Ghost Lord on Meta Quest」のシーンに使われている映像合成の技術に触れながら、ハプティクスセンサーによる触感フィードバック、ソニーの「mocopi」によるモバイルモーションキャプチャーの技術を合わせた没入型エンターテインメントが体験できました。

特設会場の床には複数のハプティクスセンサーが埋め込まれていて、水たまりや空き缶を踏みつけるとそれらしいフィードバックが足もとに帰ってきます。映像に登場する「マシュマロマン」が窓越しに手を振るシーンでは、セットの背景にmocopiを装着して控えるスーツアクターの動作をリアルタイムに映像に反映する技術を紹介していました。今後は、ソニーの没入型エンターテインメントを実現するシステムを組み込んだエンターテインメント体験がますます増えそうです。

  • mocopiを装着したスーツアクターが演じるマシュマロマンが手を振ってくれました

ますます洗練された「AFEELA Prototype」

2020年に開催されたCES 2020にて、ソニーは初めてスマートEVのコンセプトカー「Vision-S」を発表しました。その後、2022年に設立されたソニー・ホンダモビリティが、今年のCES 2024に単独ブースを設けて最新バージョンのAFEELA Prototypeを公開しています。

最新のプロトタイプに試乗してきました。残念ながらCES 2024の会場ではテストコース等で「走るAFEELA」を体験する機会はなかったものの、車内で360 Reality Audioベースの迫力ある没入サウンドをしっかりと聴けました。

  • ソニー・ホンダモビリティのブースに展示されたAFEEL Prototypeの2024年版

なお、YouTubeには2024版AFEELA Prototypeが走行するコンセプトムービーが公開されています。

【動画】AFEELA公式チャンネルから(音声が流れます。ご注意ください)

筆者は2020年のVision-Sにも乗って体験しましたが、当時のプロトタイプに比べて最新版のAFEELAは、車内コンポーネントのデザイン、シートの座り心地といったフィールの部分も洗練された印象。これは即座に伝わってきます。

例えばステアリングは「パノラミックスクリーン」に表示される車両情報が見やすいように、上側をカットしたようなスクウェアデザインとしています。座席のヘッドレスト下に埋め込まれたスピーカーなどは、より目立たないよう上品に美しくレイアウトされていました。

  • フロント側に画面がいっぱいに広がる迫力のパノラミックスクリーン

  • 車両情報が見やすいように、ステアリングのデザインを最適化

  • 天井のデザインはパノラマサンルーフ

モバイルアプリの「AFEELA」からは、デジタルキーやドアの開閉をはじめとした車体の操作、Media Barと名付けられた車体正面のスクリーンに表示するコンテンツの変更、表示と連動するeモーターサウンドの設定などが行えます。アプリのユーザーインタフェースも整理されて見やすくなっていました。

  • 以前はリア側にもあったメディアバーの代わりに、安全走行をサポートするカメラを配置。進化のたびに仕様を最適化しています

  • メディアバーに表示するコンテンツは、パノラミックスクリーンからも設定できます

  • アプリのデザインも見やすくなり、実用的な機能が並べられています

  • 充実のAFEELA試乗体験に興奮を隠せない筆者

ソニーのプレスカンファレンスにおいて、今後はソニー・ホンダモビリティがマイクロソフトと協業し、音声対話できるパーソナルエージェントをAFEELAに搭載する計画も公表されました。スマートEVとコミュニケーションしながら、楽しくドライブできる日が近く訪れることがとても楽しみになってきました。