三菱総合研究所は6月26日、総務省が推進する「新東名高速道路の一部区間における自動運転レベル4トラック実証と連携したV2N通信を用いたユースケース実証に関する検討事業」を受託したと発表した。インターネットイニシアティブ(IIJ)はNTTコミュニケーションズ、エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ(MRA)、先進モビリティ、ソフトバンク、ダイナミックマッププラットフォーム、T2、豊田通商の7社と連携してこの検討事業に参加し、新東名高速道路の一部区間において、自動運転走行に不可欠な携帯電話通信(V2N通信)の評価・実証実験を進める。

  • 事業対象区間

    この事業の対象区間(新東名高速道路 駿河湾沼津SA~浜松SA、約100km)

IIJはマルチプロファイルSIMを提供

政府は2024年度以降、「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、新東名高速道路の駿河湾沼津SA~浜松SA間(約100km)で自動運転レベル4トラックの実証実験を実施することを決定している。現在、新東名高速道路の一部区間では、自動運転レベル4トラックの先行社会実装を目指し、多くの実証実験が行われている。

V2N通信は、携帯電話網を使って車両と通信ネットワーク間で情報をやり取りする方式であり、自動運転の運行管理や遠隔監視に欠かせない技術だ。総務省はその有効性を多角的に検証・評価する方針を掲げ、自動運転トラック実証に向けたV2N通信の取り組みや計画を示している。

今回の事業では、新東名高速道路などの一部区間で通信品質改善策を適用し、V2N通信の接続性、安定性、冗長性に関する実測評価を行う。同時に、走行予定地点の道路状況を事前に伝える「先読み情報の提供」や、車両の運行をリアルタイムで監視・支援する「車両の遠隔監視」といったサービスについて、関係省庁と連携し有効性を検証する実証実験が予定されている。

IIJはこの中で、V2N通信の通信品質改善方策の評価、およびV2N通信を用いた「先読み情報の提供」の実証システムの構築・評価における通信品質改善方策である「マルチプロファイルSIM」の提供を行うこととなっている。

これらの取り組みで得られるV2N通信の評価や実証実験の結果は、今後の国や通信事業者による通信品質向上施策に活用されることが期待されている。三菱総合研究所は、引き続き自動運転車を支える通信環境の構築やシステム構築の支援を担うことで、自動運転車が安全・安心に走行できる社会の実現を目指すとしている。