友だちや家族と旅行や食事に行った際、同じ建物や食べ物を撮ったのに、相手の写真が直感的に「うまい!」と感じることはありませんか? それは、おもに「構図」のよしあしが関係しています。そんな写真の構図を探究するフォトツアーが、Apple 京都で実施されました。今回参加したのは、芸術やデザインを学ぶ高校生。「写真の技術を学ぶことは、学業や将来の就職でも役に立つ」という先生の考えで参加した生徒たちは、最新のiPhoneでどんな写真を撮影したのでしょうか。

  • 美術系高校の生徒が写真の構図を探究するフォトツアーに挑戦。iPhoneのカメラアプリで三分割線を表示させ、交点に被写体を置くテクニックなどを活用していた

三分割線の交点に被写体を配置するテクニックを伝授

12月1日、Apple 京都で開かれたのは、Today at Appleの特別セッション「フォトツアー 建築物をフレームに収めよう」。参加したのは、京都駅から10分ほどの好立地にある京都市立美術工芸高等学校の1年生19名です。同高校は美術系の高校でありながら、「デザイン思考をもとにこれからの社会で通用する学生の育成」を掲げており、すべての教科でiPadを活用するなど先進的な取り組みで知られています。

  • Apple 京都で開かれた特別なToday at Appleのセッション「フォトツアー 建築物をフレームに収めよう」

  • 参加したのは、京都市立美術工芸高等学校の1年生19名だ

フォトツアーの実施にあたり、参加した19名の生徒には撮影用のiPhoneが貸し出されました。今回はフォトツアーということで、望遠カメラを備えるiPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxが用意され、生徒からは「使ってみたかった!」との喜びの声も聞かれました。

撮影にあたり、Apple 京都のスタッフからアドバイスされたのが、カメラアプリの設定から三分割のグリッドを表示させたうえで、三分割線や4つの交点の上にメインの被写体を配置すること。中央に被写体を配置する“日の丸構図”よりも、奥行きや物語を持たせた構図で撮影できます。自身のiPhoneでグリッドを表示している生徒は少なかったようで、「これは参考になる」との声がありました。

  • 最新のiPhone 15 ProやiPhone 15 Pro Maxを手に、感触を確かめる生徒たち

体を使ったさまざまなアングルからの撮影に拍手

iPhoneを手にした生徒たちが向かったのが、Apple 京都から徒歩5分ほどの場所にある佛光寺。東西に走る四条通や南北に走る烏丸通などの目抜き通りの近くにありながら、静かなたたずまいを見せるお寺です。佛光寺での撮影時間はわずか20分ほどと短かったのですが、三分割線や交点を意識しながら寺社や門、イチョウの木などを撮影していきました。

  • iPhoneを斜めにして構え、動きを持たせて撮影する生徒

  • しゃがんで低い視点や被写体に寄って撮影し、迫力を出す生徒も

  • 黄色く色づいたイチョウの葉を拾って小道具として使うテクニックも

  • 開けられた穴にiPhoneを近づけ、丸い穴を通して室内を撮影する生徒も

撮影を終えてApple 京都に戻ると、生徒たちはそれぞれ撮影した写真のなかから自慢の1枚をAirDropでスタッフに送信し、店内のウォールの大画面で表示する発表会を実施。三分割線や交点を意識した写真はもちろん、被写体に正対して撮影した写真や、足元を真上から撮影する真俯瞰、足元から見上げるように撮影するアオリなど、体を駆使したさまざまなアングルの写真がズラリ。生徒たちは拍手をしつつ仲間の写真を隅々まで見て、テクニックをしっかり学び取っていたようです。

  • 真俯瞰で足元を撮影した写真。地面がパッチワークのようにさまざまな表情を見せており、このシーンを見つけて真俯瞰で撮影したのはお見事

  • これは吊り下げられていたビニール傘の先端を下からアオリで撮影した写真。意外な被写体と構図に会場から驚きの声が

  • 寺社の廊下を奥行き感を演出するS字構図にまとめつつ、アクセントを与える人物を奥の方に配した見事な写真。実は、写真部顧問の先生の作品だった

  • 吊り下げられていた装飾を真下から撮影した生徒。編集機能でより印象的に仕上げていた

  • 地面スレスレからイチョウの葉や周囲の人物を撮影した生徒。より地面に近づけるため、iPhoneを上下逆にして撮影していた

写真のテクニックはさまざまな場面で役に立つ

フォトツアーに同行した渡邉野子副校長によると、京都市立美術工芸高校では写真そのものの専攻や授業はないそう。しかし「写真のテクニックを学ぶことは、美術の学びやその後の就職においても大いに役立つと考えています」と語ります。

「誰もが美しいと感じる写真に仕上げる撮影技術や編集技術を鍛えることは、プレゼンテーションなどいろいろな場面で役立ちます。最新テクノロジーの知識や活用も、これからの時代は欠かせません。さらに、同じ風景や被写体を撮るにしても、さまざまな視点から切り取る力を身につければ、ものの見方を変える力や広げる力が養えると感じています」と、写真を学ぶ意義を説明します。

最後に、渡邉副校長は「撮影している生徒たちの様子を見ていましたが、豊かな感性で体を柔軟に動かして撮影を楽しんでいるのが新鮮でした。当初、フォトツアーの参加人数は10人ぐらいでと言われていたのですが、ぜひ行きたいと手を上げた生徒が19人にもなり、みな熱意を持っているので……とお願いして全員の参加を認めていただきました。今回、授業ではできない貴重な体験ができ、参加した意義があったと感じます」と振り返りました。

  • 学校の授業では得られない学びを得て、充実した表情を見せる19名の参加者。左端が渡邉野子副校長

今回のフォトツアーのToday at Appleのように、全国のApple Storeでは参加者を特定のグループに限定したセッションを無料で実施してくれます。学校の仲間や友だちと一緒に写真の撮り方を学びたい、といった要望をストアのスタッフに伝えれば検討してもらえますよ。