Apple 表参道で開かれた、GarageBandによる音楽づくり体験のToday at Appleセッション。参加した少年が「いろいろ試したらできた」と事もなげに披露した音楽を聞いた音楽家は「展開がすばらしい」と目を丸くしながら絶賛。参加者からも大きな拍手が贈られるなか、少年もクリエイティブの楽しさや自信を感じたはずで、iPadとGarageBandが少年の心に好ましい化学変化を起こしたようです。

  • Today at Appleのセッションに臨んだ音楽家の江﨑文武さん(左)。「かっこいい音楽を作っていても楽譜が読めない人もいる。デジタル技術を利用すれば誰でも音楽がつくれる」と説く

自身の作曲活動でもGarageBandを活用する江﨑文武さん

11月9日、GarageBandを用いた音楽づくりを体験するToday at Appleのセッション「江﨑文武と一緒にiPadとGarageBandで音楽をつくろう」がApple 表参道で開かれました。平日18時からの開催にもかかわらず、子どもからシニアまで多くの人が集まり、立ち見の人が幾重にも並ぶほどの大盛況でした。

  • Apple 表参道で開かれた「江﨑文武と一緒にiPadとGarageBandで音楽をつくろう」のToday at Appleセッション

  • 会場はこのように超満員だった。参加者にはiPadとヘッドホンが無料で貸し出された

登壇したのは、ピアノなど鍵盤の演奏を専門とする音楽家の江﨑文武さん。バンド「WONK」でも活躍していることで知られています。江﨑さんは、幼少のころからおもちゃの楽器を鳴らすことが好きで、両親の勧めでピアノ教室に通ったことが音楽家への道に進むきっかけとなりました。

  • ソロデビューアルバム『はじまりの夜』を2023年5月にリリースした江﨑文武さん。Apple Music版は空間オーディオに対応しているので、AirPods Proなどで楽しんでみたい

今回のToday at Appleセッションでは、参加者がGarageBandをインストールしたiPadを用い、江﨑さんが用意した音楽の素材をもとに「眠る時に聴く音楽」をテーマに作曲することに挑戦しました。「作曲はとても特別なことだと感じている人も多いと思いますが、特別な技術や才能はまったく必要ありません。音で何かを表現するのは、絵や文字で表現するのと同じく、もともとすべての人間に備わっています。自分の感覚を信じて取り組んでみてください」(江﨑さん)

音楽家としてのキャリアが二十数年にもなる江﨑さんですが、自身も曲作りにiPadとGarageBandをよく用いているそう。「GarageBandはとてもよくできていて、簡単に音楽がつくれるんです。プロなら難しいソフトを使っているんでしょ、と思われがちなんですが、まったくそんなことはありません。こういう曲がつくりたいと頭の中にひらめいた時は、GarageBandをサッと開きます」

鍵盤楽器が専門の江﨑さん、作曲活動でもiPadに大いに助けられているそう。「僕はドラムがたたけないのですが、GarageBandを使えばピアノに合わせて自動でドラムの音を載せてくれます。自分でできない部分は、便利なテクノロジーの助けを借りればいいんです」と語ります。

  • Today at Appleセッションの冒頭、江﨑さんによるピアノの生演奏が行われた

音楽には間違いや不正解はない

続いて、作曲のアクティビティに移ります。今回のアクティビティでは、GarageBandのLive LoopsやSmart Drums、Samplerなどの機能を利用して、江﨑さんが用意したピアノ演奏の素材にさまざまな音を追加し、自分だけの「眠る時に聴く音楽」をつくっていきます。

  • アクティビティでは、iPad版のGarageBandを用いての作曲にチャレンジした

アクティビティが始まる前に、江﨑さんは「難しそうと身構えずに、自分の好きな音を探してみてください。音楽には間違いや不正解はないので、どんなに失敗しても大丈夫。自由な気持ちで試してみましょう」とアドバイス。この言葉で、参加者の緊張が一気にほぐれたようで、思い思いに曲づくりを楽しんでいました。江﨑さんは参加者のもとに歩み寄り、アドバイスをしつつ作成した音楽を聞かせてもらったりし、会場が一体となってアクティビティを楽しんでいました。

  • Live Loopsの画面では、セル形式でさまざまなフレーズがアレンジできる

  • Smart Drumsを使えば、簡単にドラムのフレーズが作成できる

  • Samplerでは、内蔵マイクでさまざまなサウンドを取り込んで利用できる

  • ドラムを指で叩いて音を追加することも可能

  • 参加者のGarageBandの画面を見ながらアドバイスする江﨑さん。参加者がつくった音楽を聞いては「これはいいですね!」と驚いていた

セッションの終盤では、江﨑さんが何名かの参加者を指名し、つくった音楽を会場のスピーカーで披露。子どもから自前のiPadを持参したシニアまで、それぞれが個性豊かな音楽を聞かせてくれました。なかでも、江﨑さんが「今回の課題からはちょっと外れちゃうんですが、すごいカッコいい曲をつくってくれた方がいらっしゃいました」と紹介したのが、あどけなさの残る少年。「いろいろ試したらできちゃった」という少年のコメントとは逆に、流れた音楽は大人顔負けの仕上がりで、Apple 表参道はお~という驚きと拍手に包まれました。

幼少のころから磨き上げてきたピアノ演奏の技術を持ちつつも、iPadやGarageBandなどのデジタル技術の積極的な利用を推進している江﨑さん。運よく今回のToday at Appleセッションに参加できた人は、学校の音楽の授業では学べないデジタル技術を用いたクリエイティブの可能性や楽しさを体感できたはずです。

江﨑さんのToday at Appleセッションは今回限りの予定ですが、ほかにもさまざまなクリエイティブのセッションが全国のアップルストアの店頭で開かれています。どれも参加は無料で、iPadやApple Pencilなどの機材は無料で貸し出してくれるので、気になるセッションがないかチェックしてみるとよいでしょう。