『ストリートファイター6』(カプコン)

【登壇者】
プロデューサー 松本脩平氏

――受賞について、ひとことお願いします。

松本氏:めちゃめちゃうれしいです。長い歴史があるシリーズなんですけど、新しい「ストリートファイター」を作ろうと、今回はかなりチャレンジングな試みをしました。それがお客さまに伝わって、広まって、結果として賞をいただけたとあって、皆さまにも開発チームにも感謝しています。ありがとうございます。

  • PlayStation Partner Awards 2023

    『ストリートファイター6』プロデューサー 松本脩平氏

――「ワールドツアー」についてユーザーからのフィードバックや、シリーズとして今後も実装していく予定があるか教えてください。

松本氏:今まで遊んできてくれた人にも全力を尽くしたいし、これから新しくプレイする人にも尽くしたいと考えて実装した1つが「ワールドツアー」。既存プレイヤーにとっては、キャラクターのストーリーを改めて理解してもらえますし、新規プレイヤーには、大きなチュートリアルとして「格闘ゲームのいろは」を学べるようになっています。このモードが終わるころには、リュウの好物を知れたり、波動拳を出せたりできるよう狙っていました。それを体験いただけて、「作品のおもしろさをわかりやすく実感できた」「キャラのことをもっと好きになった」といったご意見もいただけました。

今後については、新規プレイヤーの動向を分析して、どのようにアプローチしていけばいいかを、これから考えていきます。

――アクセシビリティや「モダン」操作などで格闘ゲームプレイヤーの裾野を広げたタイトルだと思います。制作サイドではどのような感触がありますか?

松本氏:アクセシビリティについては、前作『ストリートファイターV(ストV)』からチャレンジしていました。それに対してブラインドの方からもご意見をいただいていたのですが、もう『ストV』はアップデートできない時期だったので、今作『ストリートファイター6(スト6)』でしっかり改善していこうと決めていました。

また、『スト6』は全人類に遊んでもらいたいと考えています。たとえば、前作では老人ホームで大会をする事例もあり、ボタン押すだけで楽しめて、そこからコミュニケーションが生まれる光景を目にしてきました。なので、やれることは全部やろうと、アクセシビリティだけでなく、操作システムの「クラシック」「モダン」「ダイナミック」も取り入れました。それが結果につながっているのはうれしいですね。まだまだ改良できることはしたいです。

「アクセシビリティがあるからプレイしました」という声には、感動していますし、感謝していますし、やってよかったなと思っています。

――コアな格闘ゲーマーだけでなく、初心者のストリーマー中心に配信やユーザー主催イベントが広がっているのが印象的なのですが、これは開発中から想定されていたのでしょうか。また、印象に残っているコミュニティイベントがあれば教えてください。

松本氏:前作のアーケードエディションが登場したあたりから、ストリーマーさん、バーチャルYouTuber(VTuber)さんにプレイしてもらいたいと思っていました。『スト6』は2018年から開発しているんですが、バーチャルライバーの「にじさんじ」さんが前作のイベントを開催されていたのを見て、絶対取り込みたいと思ったんです。ただ、『ストV』だと、その配信を見て「やってみたい」と思っても、操作が難しいなどの理由で離脱しやすいんですよね。

『スト6』では、モダン操作をはじめ、何が起こっているかわかるような仕組みの実装も決まっており、動画配信サイトのサムネイルを『スト6』ばかりにしたいと狙って動いていました。いま、ストリーマーさんのプレイを見て入ってきた人が、モダンがあるから配信イベントが終わったあとも継続して遊んでくれていて、そこがズバッとハマったので、「ヨシ!」と思っています。

イベントは、たとえば「CRカップ」なんかすごいインパクトですよね。もともとFPSなどのシューティングゲームをプレイしていた層に遊んでもらえて、イベントを開催してもらえて、それを見た人からプレイしたくなったという反響もいただいています。

おもしろいのが、「マリーザ」「マノン」など、『スト6』から登場した新キャラの名前を知っている人がめちゃめちゃ増えたこと。ストリーマーさんが使っているからなんですが、今後の「ストリートファイター」のブランドを考えたうえでもすごいアドバンテージになっていると思います。これからも続けていきたいですね。