J.D. パワー ジャパンは9月29日、2023年の携帯電話サービス顧客満足度の結果を発表した。業界全体としての満足度は619ポイントで、2022年から4ポイントのアップとなっている。
部門別のスコアアップ/ダウンには「通信品質」ファクターの影響が大きい
部門別にみると、大手キャリア部門は2ポイント、バリューキャリア部門は5ポイントのアップ。MVNO部門は4ポイント、オンライン専用ブランド・プラン部門は11ポイントのダウンとなっている。バリューキャリア部門のスコアアップには、「通信品質」ファクターのスコアが前年から大きく上昇した影響が大きいとのこと。スコアダウンとなった2部門でも「通信品質」ファクターの影響が大きかったようで、MVNO部門は11ポイント、オンライン専用ブランド・プラン部門は18ポイント、前年からダウンとなっている。
オンライン専用ブランド・プラン部門で「通信品質」ファクターが大きく低下していることについては、「オンライン専用ブランド/プランは、大手キャリアやバリューキャリアと比べて毎月のデータ使用量が多く、スマートフォンでの動画視聴などを行うユーザーが多い」という特徴があり、他部門のユーザーと比べて、つながらない/つながりにくい事象を敏感に感じたユーザーが多いのではないかという分析をしている。
また、スコアアップが顕著だったファクターは「手続き・サポート対応」で、全体としては前年から15ポイントのアップ。とくにオンラインでの手続き・サポートの満足度は17ポイントのアップになっているという。近年、携帯電話業界においても店舗やコールセンターの業務効率化等を目的に、オンラインサポートの利用促進が図られているとのことで、それを反映してのスコアアップというのが同社の評価。中でも「ビデオ通話によるサポート」を利用したユーザーの満足度は737ポイントと最も高く、こういった取り組みは顧客満足度の向上・改善に効果的であるとしている。
また、有人チャット/AIチャットを利用した満足度も大きく向上しているそうだが、チャットで用件を解決したという回答は半数程度にとどまり、解決率の改善・向上が望まれる状態だという。
また今回、携帯電話会社変更の際に乗り換え前の事業者での手続きが不要となり、乗りかえ先の事業者での手続きだけでMNPを行える「MNPワンストップ」の認知度についても調査をしている。しかし「内容まで詳しく知っている」は6%、「なんとなく知っている」は15%と認知度は低く、「知らない」が全体の80%を占めている状況。まだまだユーザーへの周知・理解促進が必要な段階のようだ。
各部門のランキング
各部門のランキングは以下のようになっている。1位は全部門で2022年と変化がなかった。
大手キャリア部門
大手移動体通信事業者のメインブランドであるau/docomo/SoftBankの「大手キャリア部門」ではdocomoが首位。「通信品質」「サービスメニュー」「手続き・サポート対応」の3ファクターで最高評価というのも2022年と変わらず。SoftBankが「各種費用」「提供端末」の2ファクターで最高評価というのも変わらないが、2022年はSoftBankが単独2位/auが3位だったところ、2023年はau/SoftBankが同点で2位となった。
バリューキャリア部門
“大手移動体通信事業者のサブブランドまたは準大手移動体通信事業者の携帯電話サービス”と定義されているのが「バリューキャリア部門」で、楽天モバイルはこの部門に入る。ポイントには若干の変化があるものの、1位ワイモバイル、2位UQモバイル、3位楽天モバイルという順位は変わらず。ファクター別にみても、「通信品質」「サービスメニュー」「提供端末」「手続き・サポート対応」でワイモバイル、「各種費用」で楽天モバイルが最高評価というのも2022年と同じ。なお楽天モバイルは2022年に続き3位だが、スコア自体は20ポイントアップしている。
MVNO部門
MVNO部門の総合満足度は3年連続の1位。2022年に引き続いて「通信品質」ファクターで最高評価になったのに加え、「各種費用」「提供端末」でも最高評価となった。2位は2022年3位のmineoで、「サービスメニュー」「手続き・サポート対応」の2ファクターで最高評価を獲得。2022年2位のイオンモバイルはひとつ順位を落として3位。なお、2022年にこの部門で4位のOCNモバイルONEは、ブランドが終了となったため今回の調査対象からは外されている。
オンライン専用ブランド・プラン部門
大手移動体通信事業者による、オンラインのみで手続き・サポートを基本とする携帯電話サービスを対象とするのが「オンライン専用ブランド/プラン部門」。1位はこの部門開設から3年連続1位のLINEMOで、「通信品質」「サービスメニュー」「手続き・サポート対応」の3ファクターで最高評価を獲得。2位はpovoで、「各種費用」で最高評価。3位のahamoは、2022年から17ポイントのスコアダウンとなった。
調査概要
- 実施期間:2023年7月下旬~8月上旬
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:スマートフォンを利用している人(18歳~74歳)
- 調査回答者数 大手キャリア部門:9,500人、バリューキャリア部門:4,200人、MVNO部門:2,600人、オンライン専用ブランド/プラン部門:2,400人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターのユーザー評価を基に1,000ポイントを満点として総合満足度スコアを算出した。総合満足度を構成するファクターとその影響度は、「通信品質」(29%)、「各種費用」(27%)、「サービスメニュー」(20%)、「手続き・サポート対応」(13%)、「提供端末」(11%)となっている。