山口大学と東京大学(東大)の両者は4月17日、生物種の約90%が絶滅したといわれ、地球生命史上最大とされる古生代ペルム紀末の大量絶滅(約2億5000万年前)の原因の謎を解くため、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計(FT-ICR-MS)を用いて、これまでの100倍以上の超高解像度(0.1mm)でペルム系最上部の地層記録の分析を行うことに成功したと共同で発表した。
またその結果、「火山活動に起因する陸上火災」→「陸上土壌の海洋への流出」→「海洋の無酸素化」という一連の環境悪化が、数百年という時間スケールで繰り返し発生しているのが明らかになったことも併せて発表された。
同成果は、山口大大学院 創成科学研究科の齊藤諒介助教、名古屋大学の高橋聡准教授、東大大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻の池田昌之准教授に加え、東北大学、独・ブレーメン大学、米・マサチューセッツ工科大学、中国地質大学などの研究者も参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。
ペルム紀末の大量絶滅は、地球生命史上最大の大量絶滅事件であり、地質時代区分的にはこれを経て古生代が終わりを告げ、新たに中生代へと移ることになる。この時は陸海問わず地球規模で生態系が崩壊し、生物種の約90%が急激に消滅したという。その原因については多くの仮説が提唱されているが、近年注目されているのが、90万年以上も続いたというシベリアでの大規模火山活動だ。
ところが、ぺルム紀末の大量絶滅はわずか6万年ほどの期間内に発生したことがわかっており、この原因と結果の間に著しい時間的なギャップが生じていた。それを埋めるための仮説として、火山活動には強弱があり、90万年以上という活動期間の中で壊滅的な活動が約2億5000万年前に瞬間的に発生することで、大量絶滅が引き起こされたというものがある。この壊滅的かつ瞬間的な火山活動を地層記録から捉えるためには、地層記録から火山活動の痕跡を超高解像度で捉える必要があるが、これまで技術的制約から行われていなかったという。