米Appleは4月17日(現地時間)、米国で提供しているクレジット決済サービス「Apple Card」向けの普通預金口座の提供を開始した。昨年10月に発表した時点で"高利回り"としていただけで明らかにしていなかったAPY(年換算利率)は「4.15%」。「米国平均の10倍以上」としている。

Appleは2019年夏にGoldman SachsとApple Cardの提供を米国で開始した。iPhoneの「Wallet」アプリから簡単に申し込め、即日審査ですぐに利用を開始できる。セキュリティチップを備えたチタン製カードも提供されるが、決済サービス「Apple Pay」や個人間送金サービス「Apple Cash」と連動させながらiPhoneで利用するのを想定したサービスだ。

普通預金口座はGoldman Sachsが口座を提供する。口座手数料、最低入金額や最低残高といった要件はなく、Apple CardユーザーがWalletアプリから簡単な手続きで開設できる。完了するとWalletアプリに「Savings Account(普通預金口座)」ダッシュボードが用意され、同アプリで全てを管理できる。

Apple Card、Apple Pay、Apple Cashと連動したサービスになっており、開設後はApple Cardの還元プログラム「Daily Cash」のキャッシュバックが自動的に普通預金口座に預金され、貯蓄に対する利息を受け取れるようになる。普通預金口座への追加の入金が必要な場合はApple Cardでリンクしている銀行口座やApple Cashの残高から入金可能。逆に普通預金口座からリンクしている銀行口座やApple Cashにも手数料無料で送金できる。

Goldman Sachsとの提携による金融サービスに普通預金口座が組み込まれたことで、キャッシュレスに最適化されたより統合的な金融ソリューションを米国のiPhoneユーザーは利用できるようになった。Appleは3月に米国でBNPL(Buy Now, Pay Later)サービス「Apple Pay Later」の限定的な提供を開始した。Apple Pay LaterはAppleの子会社Apple Financing LLCが与信管理を担っている。クレジットカードを持てない人でもBNPLサービスで支払い能力を証明することで将来のApple Cardの取得につなげられるなど、Appleが提供する金融サービスは個人ファイナンスの成長を支援するソリューションという魅力も備え始めた。