具体的には、オレイル型分散剤を基準として、構造がわずかに異なる5種類の分散剤を合成し、一次粒子径(凝集していない粒子の直径)が約8nmの酸化チタンナノ粒子の表面に被覆することにしたという。その結果、オレイル型分散剤を被覆したナノ粒子はさまざまな低極性溶媒中において均一に分散することが確認されたとした。

それに対し、分子構造が異なるほかの分散剤を被覆したナノ粒子は、溶媒中で凝集して分散液が白濁化することが確認された。この傾向に対し、「動的光散乱法」と「紫外可視分光法」を組み合わせた定量的な評価が行われ、オレイル型分散剤の分子中央にある二重結合の存在が、ナノ粒子の分散性向上に寄与していることが結論付けられたとする。

  • 分散剤を被覆した酸化チタンナノ粒子の分散の様子

    分散剤を被覆した酸化チタンナノ粒子の分散の様子 (出所:農工大Webサイト)

一般に、分子内の二重結合の存在は分子の物理的性質に大きな影響を及ぼすとされており、研究チームでは、今回、ナノの世界においても分散剤の二重結合の存在が、粒子の物性(分散性)に影響を与えている点が明らかにされたことは、大変興味深い結果だとしている。