GLASS-JWSTプログラムでは、JWSTの近赤外線撮像装置(NIRISS)、近赤外線分光器(NIRSPEC)、近赤外線カメラ(NIRCAM)の3種類の装置とNIRCAMの7つのフィルターを利用。今回、NIRCAMのマルチバンド画像データを用い、赤方偏移7<z<15(宇宙誕生後8億年よりも前)の19個の明るい銀河について、個々の銀河の静止系で紫外線(約1600Å)から可視光(約4800Å)までの5つのバンドに対し、銀河の大きさと明るさの関係の解析が行われた。

  • GLASS-JWSTプログラムで撮影された銀河。ビッグバンから約4億5000万年後と約3億5000万年後に存在した、非常に明るい2つの銀河(それぞれ赤方偏移約10.5と約12.5)が写っている。Credits: Science: NASA, ESA, CSA, Tommaso Treu (UCLA); Image Processing: Zolt G. Levay (STScI)

    GLASS-JWSTプログラムで撮影された銀河。ビッグバンから約4億5000万年後と約3億5000万年後に存在した、非常に明るい2つの銀河(それぞれ赤方偏移約10.5と約12.5)が写っている。Credits: Science: NASA, ESA, CSA, Tommaso Treu (UCLA); Image Processing: Zolt G. Levay (STScI)(出所:NASA Webサイト)

その結果、銀河の大きさについて、可視光での大きさから期待されるよりも、紫外線での大きさが「小さい」ことが発見されたという。またその時代の典型的な銀河の大きさは、約450~600パーセク(約1470~約2000光年)しかないこともわかったとした。

その銀河が遠ければ遠いほど、その銀河を発した光は宇宙膨張の影響を受けて、地球に届く時には長い波長で観測されることになる。紫外線は可視光線に、可視光線は赤外線にという具合だ。これまで大活躍してきたハッブル宇宙望遠鏡は可視光域での観測となるため、銀河を発した時点での紫外線を観測することになる。紫外線は銀河内で少数派の大質量星から放たれるため、その銀河の平均的な光ではないことになり、可視光線の方がその銀河のより多くの星から発せられる光となるが、それは地球に届く時には赤外線となる。そのため、赤外線観測を得意とするJWSTが求められてきたのである。

JWSTであれば、可視光での銀河の明るさ、特にどのような明るさの銀河が何個あるかを調べることも可能だ。これらの銀河からの光が宇宙の再電離過程を決定していると考えられることから、今回の観測データは非常に重要だとする。

しかし研究チームによると、今回の研究成果をもってしても、まだ第1世代の銀河については何もわかっていないといい、シミュレーションによる理論研究でも、さまざまな説があって混沌とした状況にあるとしている。

また、再電離時代の銀河の発見しやすさに限ったことでいえば、コンパクトに見えるという理由から、赤外線(銀河を発した時は可視光線)よりも可視光線(銀河を発した時は紫外線)の方が向いている可能性があることもわかったとする。今後は、より多くの銀河サンプルを用いたさらなる研究によって、より明確な結果が得られるものとしている。