実験では、アンモニア、ホルムアルデヒド、メタノールの水溶液をガラス管に封入した後、そこにコバルト60の崩壊で生じるガンマ線を照射。その結果、溶液中には、アラニン、グリシン、α-アミノ酪酸、グルタミン酸などのα-アミノ酸や、β-アラニン、β-アミノ酪酸などのβ-アミノ酸が形成されることが判明したとするほか、ガンマ線の総照射線量の増加とともに、アラニンやβ-アラニンの生成量が増加することも確認されたとする。研究チームでは、これらの結果と、隕石中の26Alの崩壊から予想されるガンマ線量から現在の隕石に含まれるアミノ酸の量に対して、十分な量のアミノ酸がガンマ線によって形成されることが推定できるとしている。

なお、研究チームでは、隕石の母天体である小惑星の内部において、ガンマ線の作用によってアンモニアやホルムアルデヒドなどの単純な分子から形成されたアミノ酸が隕石によって地球にもたらされることにより、地球上の生命の起源に貢献した可能性があるとしており、今後は、アミノ酸だけでなく、糖や核酸塩基の形成に対するガンマ線の効果についても研究を行い、ガンマ線によって主要な生体分子の原材料となる物質が小惑星内部で形成されることの確認を目指したいとしている。