エミライは、FiiO Electronicsの新しい完全ワイヤレス(TWS)イヤホン「FW5」を12月16日に発売する。TWSでは異例の、DAC/アンプを左右独立モノラル構成で搭載している点が特徴。価格はオープンプライスで、店頭価格は29,700円前後を見込む。

  • FW5

FiiOのカスタムイヤホン開発のノウハウを注ぎ込んだ、“音質特化型”の完全ワイヤレスイヤホン。有線イヤホン「FD7」の流線型の意匠を引き継いだ、独特のデザインを採用している。9月の「秋のヘッドフォン祭2022」で披露されており、今回発売日や価格、詳細仕様が正式に決まった。

  • 「秋のヘッドフォン祭2022」で披露されていたFW5

FW5の最大の特徴は、旭化成エレクトロニクスのDACアンプ一体型チップ「AK4332」を左右独立構成で搭載し、完全ワイヤレスイヤホンの音質向上を追求したこと。

完全ワイヤレスイヤホンではBluetoothレシーバー、DAC、アンプ一体型のSoC(システムオンチップ)を採用するのが一般的だ。FW5に搭載しているAK4332は完全ワイヤレスイヤホンのために専用開発され、SoCのDACに依存せずに音質追求を可能にする、ヘッドホンアンプ内蔵32bitモノラルポータブルオーディオDACチップ。同社のハイエンドDACチップで採用している「VELVED SOUNDテクノロジー」を採用しており、DACチップでのSN比は最大109dB、全高調波歪率+雑音特性(THD+N)が-101dBという高い再生品質を実現しながら、2.8mWという低消費電力を両立している。

  • 有線イヤホン「FD7」の流線型の意匠を引き継いだ、独特のデザイン

Bluetooth SoCにはクアルコムの最上位「QCC5141」を採用し、Bluetooth 5.2に準拠。SBCやAACといった主要オーディオコーデックに加えて、クアルコムの新しいオーディオプラットフォーム「Snapdragon Sound」をサポートしており、対応スマートフォンと組み合わせることで、aptX Adaptiveコーデックによる最高96kHz/24bitのハイレゾワイヤレス再生が可能。LHDCコーデックによる96kHz/24bit再生も行える。自動的に遅延を抑えるGame Modeも搭載する。

  • FW5の回路構成。独立したボリューム調整機能(後述)も内蔵している

最上位のハイブリッドイヤホン「FH9」の開発で培わったノウハウをベースにして開発。2ウェイ3ドライバー構成で、高域用のKnowles製バランスド・アーマチュア(BA)ドライバー×2、中・低域用のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)+PU複合振動板を搭載した10mm径ダイナミックドライバー×1を組み合わせている。

  • 内部構造

ダイナミックドライバーはPUとDLCの複合素材の複合振動板で、エッジ部分はPU素材の柔軟性と高いダンピング係数により大振幅への追従性を向上。ドーム部分はDLCの特徴である高い剛性と内部損失によって歪みを低減し、「実態感を伴ったリッチな中域と、沈み込むように深くキレの良い低域」を追求している。また、BAドライバーは高音域の減衰を最小限にするため、音導管の出口付近に配置。「明瞭で空間表現に富んだ高域再生」を実現する。

  • 10mm径ダイナミックドライバーを搭載

イヤホン内のアンプ回路には、32段階の独立したボリューム調整機能を搭載。音質劣化を最小限に抑えたワイヤレスリスニング環境を実現するためのもので、本体ボタンまたはアプリからの操作により、送信側のボリュームに依存しない音量調節を可能にしている。なお、この機能は送出側の音量を最大にして使うことを推奨している。

  • 本体ボタンを片耳あたり2つ搭載

ハンズフリー通話に対応し、デュアルマイクとcVcノイズキャンセリング機能によってマイク・ゲインをインテリジェントに調整、バックグラウンドノイズを効果的に抑制する。イヤホンの内部には電波切断によるストレスのない音楽再生のために、表面積の大きなフェイスプレートの裏側にFPCアンテナを搭載して安定した送受信性能を追求した。

  • フェイスプレートの裏側に搭載したFPCアンテナ

本体には片耳当たり2つ、左右合計で4つの物理ボタンを搭載。誤操作を防ぎながらさまざまな本体操作を快適に行えるようにした。IPX4防水対応で、ボタン部分には0.02mmの防水フィルムを配置し、水の侵入を防ぐだけでなく、操作時のクリック感も向上。ノズルやマイク部分などの開口部には、防水・透音性に優れたカスタムメッシュを採用し、水の侵入を防ぎながら快適なリスニング/通話を可能にしている。

EQや各種設定をカスタマイズ可能な「FiiO Control」アプリに対応し、ボリューム調整やゲームモードの切り替えなどの本体設定を手持ちのスマートフォンなどから行える。

  • FiiO Controlアプリから各種操作が行える

「AK4332」と「QCC5141」の高効率化により、再生時間は1度の満充電で最大約21時間(本体最大約7時間+充電ケース最大約14時間)を実現。約1時間40分でフル充電できる。ケースの充電端子はUSB Type-C。重さはFW5単体で片耳約6.4g、充電ケース込みで57.2g。装着感と密閉性を高めたFiiOオリジナルイヤーピース「HS18」が付属する。

  • 付属の充電ケースに収めたところ

  • FiiOオリジナルイヤーピース「HS18」を装着したところ