サードウェーブは、2022年12月2日にクリエイター向けPCのデスクトップモデル「raytrek 4Cシリーズ」を発表しました。4Cは「for creator」を意味します。クリエイターに寄り添ったPCを手がけるために、ケースデザインも刷新。製品のデモ展示は近々ドスパラのほぼ全店舗で行われる予定です。

発表会では冒頭、サードウェーブ執行役員 製品・マーケティング統括本部 統括本部長の佐藤和仁氏が新モデル開発の背景を説明しました。

  • サードウェーブ執行役員 製品・マーケティング統括本部 統括本部長の佐藤和仁氏

現在raytrekは、クリエイター向けではありながら外見が一般のPCとほぼ同じなど、課題を抱えていました。そこで、現状を打破するために、raytrekブランドを再構築。まず2020年8月に組織を変更し、ターゲットとなる音楽、写真、イラストの3分野の専門性を持つ人材を雇用します。

同時にコンテストやセミナーの開催を通じてユーザーと接触。クリエイターの声に耳を傾け、PCの開発に活かしました。

  • 2020年の8月に製品企画メインの組織からブランドチームを発足。ターゲット層である写真、音楽、イラストの分野でリクルーティングを実施しました

  • コンテストやセミナーを行い、クリエイターの活躍の場を創出するとともに、生の声を集めます

また、ゲーミングPCは刺激的なワクワク感が必要な一方で、クリエイター向けPCには、制作する自分と向き合い、集中できる環境が求められることを述べる佐藤氏。スペック的に似通っているゲーミングPCとの違いを説明します。

  • ゲーミングPCには、タイムズスクエアや渋谷のような刺激的なワクワク感が必要

  • クリエイター向けPCはクリエイターが望むものを作るためのツールでいわば脇役です

  • アンベールしたreytrek 4Cのケース

製品の詳細に関しては、サードウェーブ 製品・マーケティング統括本部 プロモーション部 raytrekサブプロダクトマネージャーの黒川裕大氏が説明。rayteakが目指す製品方向性のキーワードとして「落ち着きのある質感」、「本物感」、「高いメンテナンス性」、「親しみやすさ」、「高い冷却性能」を挙げました。そのうえで「デザイン」、「機能」、「性能」の3つの点に関してそれぞれポイントを紹介しました。

  • サードウェーブ 製品・マーケティング統括本部 プロモーション部 raytrekサブプロダクトマネージャーの黒川裕大氏

  • raytrekが目指す製品の姿

デザインに関しては、空間になじむフォルムで、シルバーをベースにブラックを配したツートーンカラーを採用。フロントにヘアラインパネルを配し、その左右からエアを吸い込む構造です。また、電源ランプが白く光る以外のライティングはありません。

機能に関しては、トップパネルの一部を45度カット。インターフェースにアクセスしやすいよう工夫しました。また、フロント、サイド、トップ、ボトムの4つには、簡単に脱着できるエアフィルターを配置。気が付いたときにサッとホコリ掃除などのお手入れができるでしょう。見た目の美しさの維持と高いメンテナンス性を有しています。

性能に関しては、フロントに14cmファンを2基搭載し、エアブローを確保。背面は12cmファンですが、ケースそのものは14cmファンにも対応しました(マザーボードによって取り付けができないので12cmにしたそう)。さらに、240mmの液冷ラジエーターがトップに配置される製品も用意されており、将来的には360mm液冷にも対応。最近の大きく重いGPU用に保持のステーを用意しています。

  • デザインに関しては、空間になじみやすい、落ち着きのあるカラーです

  • 機能はユーザーライクで、イージーメンテ。必要な機能が追加可能です

  • 前後上と左側面に簡単に脱着できるフィルターを装備。手に持っているのが前面用フィルター

  • 性能に関しては優れた冷却性とパーツサポート。高性能なCPU、GPUを安定して稼働させるためには冷却性が重要

発表会場には、4K動画編集/3DCG向けを想定したraytrek 4CZZ(619,980円)、イラスト/RAW現像/動画編集/3DCG向けを想定したraytrek 4CXF(329,980円)、イラスト/RAW現像向けを想定したraytrek 4CXE(154,980円)が展示されており、すべてIntel CPU製品でした。

4CのラインナップにはRyzen CPUモデルもあり、公式サイトには49モデル(119,980円~669,980円)用意されています(BTO製品なので細かなカスタマイズも可能です)。

  • BTOの基本モデルは49種類用意されていますが、説明会では3種類の製品が展示されていました。スペックは画像の通りです

  • イラスト/RAW現像向けのraytrek 4CXE。映っているのは過去のイラストコンテストの入賞作品

  • イラスト/RAW現像/動画編集/3DCG向けのraytrek 4CXF

  • 4K動画編集/3DCG向けのraytrek 4CZZ。……あれ? フロントが光ってる?

  • これは試作モデルで、フロントファンをLEDファンで光らせ、エアフィルタの枠を乳白色にしたもの。画像では青く見えますが、実際には淡い白で、割といい感じです

  • 通常は電源ランプが白く光るだけで、相当に抑えた外観です

  • エアフィルタは4カ所に配置。飛び出しているのがフロント、サイドも大きなフィルタが用意されています

  • サイドフィルタを外したところ。フロントとサイドはマグネットで押さえられています

  • 下部にもフィルタが。大きさからみて、電源ユニットのファンを覆っていると思われます

  • ステージ展示のモデルもraytrek 4CZZのようでした。簡易液冷で240mmのラジエーターを使っています。GPUはステーで押さえられていますが、ステーが付くのはGPUの重いモデルのみ。オプション販売してほしいなぁと感じました

  • リアファンは120mmですが、ケース自体は140mmにも対応。使っているマザーボードによっては140mmに交換できそう

  • 上部のラジエータースペースは、将来よりハイパワーなCPUが登場したときに備え360mmにも対応します(この場合は5.25インチベイが1つ犠牲になります)

  • マザーボード裏の配線もきれいに収められていました。こちら側に2.5/3.5インチのシャドウベイが2つづつあります

発表会では、ゲストとして東京藝術大学大学院映像研究科長 大学院映像研究科メディア映像専攻教授の桐山孝司氏と、Artist / Illustrator / Character designer /Rearise ProducerのPALOW.氏が登壇。また、写真家の井上浩輝氏からのビデオメッセージが放送されました。

桐山氏は、現在の映像作品作成にコンピューティングパワーが欠かせないと事例を紹介しながら説明します。

PALOW.氏は、4Cモデルの試用を行い、ちゃんとインテリアにしてきた、仕事道具として求められる信頼性など、基本的なところが高いレベルで押さえらえていると発言。井上氏は、性能も向上したので今までできなかったレンダリングなどにチャレンジできると発言していました。

  • 本日の登壇者。左からPALOW.氏、黒川裕大氏、佐藤和仁氏、桐山孝司氏