あと1カ月ほどで年末年始、まとまった休みを取る人もいるかもしれません。冬は寒さも相まって運動不足になりがちですが、健康を管理する1つの方法として「スマートバンド」や「スマートウォッチ」と呼ばれる製品があります。

  • 手首に巻くリスト型ウェアラブルデバイス、スマートバンド。日常の活動量や心拍・睡眠測定などの健康管理機能を備えているほか、製品ごとに(写真はガーミン「vivosmart 5」)

この記事では、活動量や消費カロリー、運動計測のほか、就寝中の心拍測定や睡眠分析機能など健康管理を中心とした測定機能を備え、カスタマイズ要素の少ない製品をスマートバンド、メーカーやサードパーティが提供しているアプリで機能をカスタマイズでき、より多機能な製品をスマートウォッチと称します。

スマートウォッチはスマートバンドより高額なことが多く、初めてスマートバンド・スマートウォッチを買おうと検討している人で、「まずは健康管理を試したい」という場合は、お手頃価格のスマートバンドを購入することをおススメします。もしもそれ以上の機能を求めるならば、そこからステップアップすれば大丈夫。最初から高級機を買う必要はありません。

また、バッテリー持ちが比較的よいのもスマートバンドの特徴。スマートウォッチで名高いApple WatchやGoogle初のスマートウォッチPixel Watchは、バッテリー持ちが約1日と短めで充電に苦労することもあり、健康管理がメインの目的ならば、(機種により異なるものの)5日~7日程度は持つ、充電の手間が少ないスマートバンドが使いやすいでしょう。

なお、スマートバンドも、スマートフォンと接続してメールやメッセージ、電話、SMSの着信がわかる製品が多数。スマホがテーブルの上でブーブー振動させることなく、手首側の振動や表示で通知がわかるので、スマートフォンが取り出せない場面でも役立ちます。

スマートバンド/ウォッチの選び方、ポイントは?

さて、一言で「スマートバンドを選ぶ」といっても、いろいろな製品があります。ディスプレイが角型か円形か、ディスプレイのサイズはどのくらいか、重さはどうか、手首に巻くバンドの幅はどのくらいがいいかなど、自分の好みを考えてみましょう。

大きなディスプレイは表示できる情報量が多いのですが、一方で電池の消費も大きく、就寝中に付け続けると少し邪魔でもあります。画面が小さいものは情報量が少ないものの軽く、手首に巻くバンド幅も細く、就寝時も含め1日中付けやすいものが多いです。店舗で試着する場合は「これをベッドに持ち込む」ことも考えてみてください。

心拍数やSpO2測定(血中酸素飽和度)に関しては、反射型の光学センサーを使用していることもあり、同じ会社でもセンサーの進歩やノウハウが反映された新製品の方が高精度になります。また、メーカー独自の得意分野もあります。購入する目的によって、例えばランニング機能が充実していたり、登山などアウトドア利用に強かったりなど、それぞれの得意分野に応じたメーカーから購入してもいいでしょう。

今回はスマートバンドを「コスパ」「生活」「スポーツ」の3つの強みで分け、メーカーごとの特長と、入門者向けのおすすめスマートバンドを紹介していきます。初めてのスマートバンド選びの一助になれば幸いです(製品の実勢価格は2022年11月28日現在のもの)。

コスパのよいスマートバンド[シャオミ/Zepp Health/ファーウェイ/Oppo]

初めてスマートバンドを買うなら、あれこれ考えずに「まずは安い製品で試してみる」というのも1つの方法です。

スマートフォンメーカーが出している製品は、安価で基本機能が揃ったものが多く、中でも低価格という特徴がはっきりしているのが、スマートフォンやIoT家電などを国内でも販売するシャオミ(Xiaomi)と、シャオミのスマートウォッチ製品を手掛けるZepp Health(旧Huami)。それぞれ別の会社ですが、Zepp Healthはシャオミのパートナー企業としてスマートバンドの製造を担当しています。

  • シャオミ「Smart Band 7」 実勢価格6,900円前後

シャオミのスマートバンド「Smart Band7」は、楕円形の有機EL画面を持つスマートバンド。13.5g(ベルト含まず)という装着感を感じさせない軽さと、通常モードで14日間というバッテリー持ちが特徴です。バンドは本体モジュールを挟み込むデザインで、専用品しか使えませんが、純正/サードパーティ品のカラバリも豊富です。

  • Smart Band 7。本体カラーはブラック、ストラップのカラーも標準ではブラック。別売でネオングリーン、ネオンオレンジ、カーキグリーン、カーキブルー、アイボリー、オリーブ、オレンジ、ブルー、ブラック、ピンクが用意される

「Smart Band 7 Pro」はSmart Band 7の上位モデルにあたる、2022年10月発売の新製品。四角い有機EL画面を搭載し、より多くの情報を表示できるようになっています。GNSS(全球測位衛星システム)を内蔵し、スマートフォンと一緒でなくても精度の高いランニングログが取れる製品です。

  • Smart Band 7 Pro。標準でブラックのバンドが付属するが、別売でアイボリー、オリーブ、オレンジ、ブルー、ブラック、ピンクのカラーも用意される

Zepp Healthは国内の知名度は低いものの、IDC社による「Worldwide Quarterly Wearable Device Tracker」(2021年度調査)の成人向けスマートウォッチ出荷台数で世界第5位を記録したというメーカーです。

「Amazfit Band 7」は1.47型のAMOLED画面を搭載し、通常利用で最大18日間というバッテリー駆動が可能。また、一般的なスマートバンドより、バンドが幅広の25mm弱で、個人的にはちょうどよい着けやすさだと思います。HUNT Fitness Studyに基づいたPAIという健康評価システムを採用しており、掃除や買い物などの日常動作も健康スコアとして記録します。

  • Amazfit Band 7。カラーはシンプルにブラックとベージュの2色

BIPシリーズは、1.69インチの角型液晶ディスプレイを備えたエントリー向けスマートウォッチ。情報が見やすい大画面で基本的な健康管理・スポーツ計測が行なえ、バッテリー駆動は最大14日間です。

実勢価格13,750円前後となる上位モデル「Amazfit Bip 3 Pro」は、Bip 3と同じ機能ながら、4衛星測位システム(アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileo、日本のみちびき/ QZSS)を内蔵。用途に応じて選べるのがうれしいところです。

  • Amazfit Bip 3。カラーはブラック、ピンク、ブルー

Androidスマートフォンが米国からの制裁によって作れなくなり、イヤホンや健康管理デバイスなど新たな製品群に活路を見出しているのがファーウェイです。

独自のアルゴリズムにより、バイタルサインを高精度で分析するほか、スポーツ・睡眠分析にも力を入れています。低価格のスマートバンドは「一年保証」製品が多いなか、公式オンラインショップでは延長保証を追加できるため、一つの製品を長く使いたい人にはうってつけです。

  • ファーウェイ「HUAWEI Band 7」 実勢価格8,580円前後

1.47インチ(幅26mm)の大型AMOLEDディスプレイを備えた、スマートバンドの入門向け製品。もともとファーウェイはコスパに優れた製品開発を行っており、スマートバンドも独自アルゴリズムの研究に力をいれてます。なお、この製品に限りませんが、ファーウェイのスマートバンド/ウォッチは、Androidユーザーが使う場合、管理アプリをファーウェイ独自の「AppGallery」から導入する点が手間かもしれません。

  • HUAWEI Band 7は、ネビュラピンク、ウィルダネスグリーン、フレイムレッド、グラファイトブラックの4色展開

上記のBand 7もかなり大画面ですが、WATCH FIT newは1.64インチ(幅30mm)とさらに画面サイズが大きく、GPSも内蔵しています。ただ、大型化のためかバッテリーライフは約10日と少々短めとなっています(Band 7は通常利用で約14日間)。

  • HUAWEI WATCH FIT new(左からポメロレッド、アイルブルー、サクラピンク、グラファイトブラック)

スマホメーカーのOPPOもスマートウォッチ出しており、こちらも低価格なところが魅力です。一方で機能は基本的なものに絞られており、使いやすい反面ステップアップ要素は薄いので、上位の機能をあまり狙わない人向けといえるでしょう。

今回紹介する製品で最安値となるのが、実勢価格で5,000円を切るOPPO Band Style。1.1インチ有機EL画面と細身のバンドですが、ワークアウト検知や血中酸素レベル、心拍測定、睡眠評価(レム睡眠・ノンレム睡眠など睡眠段階の分析はなし)など一通りの機能は含まれていますし、バンドが2種類同梱されているので好みに応じて別のバンドを使うことができるのもグッド。

  • パッケージには、スポーツストラップ(左)とスタイルストラップ(右/この写真はバニラ)の2つのバンドが含まれる

日常的な健康管理が得意なスマートバンド[Fitbit]

日常的な健康管理というと、個人的にはFitbitがおすすめです。スマート歩数計としてもパイオニア的な存在で、かつ心拍数を使って睡眠の状態をより細かく記録することをいち早く搭載したFitbit。運動を一定時間行うと自動的に記録する機能を持っているなど、スマートバンドの使い勝手も良好です。

価格レンジも低めで、入門機のInspire 3ならば1万円強で買え、一番高いsense2でも3万円強と、機能の割には安めといえるでしょう。現在はgoogleに買収されており、例えば高機能モデルがPixel Watchに統一される可能性もあるなど、今後どのような製品ラインナップになっていくのかは未知数です。

Fitbit Inspireシリーズは、約2cm弱の画面と細身のバンドを備えたFitbitの健康管理トラッカー(スマートバンド)。お手軽な価格ながら、健康管理に十分な機能と最大10日間という長いバッテリーライフを持っています。最新モデルはInspire 3(2022年9月発売)で、SpO2(血中酸素飽和度)の有無といった機能差はあるものの、価格差を考えると型落ちのInspire 2でお試しもアリです。

  • Inspire 3。カラーは左から順にモーニンググロウ/ブラック、ミッドナイトゼン/ブラック、ライラックブリス/ブラックの3色

  • Inspire 2。カラーはブラック、ルナホワイト、デザートローズ

Chargeシリーズは、搭載するAMOLEDディスプレイの幅が14.75mmと細身の健康管理トラッカー。独自のFitbit Pay(日本ではソニー銀行とPayPay銀行が対応)に加えて、Suica(定期が非対応など使えない機能もあります)とGPSに対応しており、今回紹介したFitbit製品の中では高機能のモデルです。

  • Charge 5のカラーは、ブラック/グラファイト ステンレススチール、ルナホワイト/ソフトゴールド ステンレススチール、スチールブルー/プラチナ ステンレススチールの3色

スポーツ・位置情報に強いスマートバンド[ガーミン/ポラール]

スポーツや位置情報測定に強いメーカーとして、ガーミンとポラールが挙げられます。ガーミンはもともとナビゲーション用GPS製品からスタートした会社で、屋外の位置測定に定評があります。そのスマートバンド/ウォッチは登山用やダイビング用、航空用などで人気がありますが、ランナー向けモデルも高機能のものが出ています。

また、ANTという低消費電力の通信規格をガーミン傘下企業が開発しており、ANT搭載デバイス同士でデータをやりとりできることから、例えば対応心拍計と対応トレーニング機器でデータを同期できるので、トレーニングの分析・改善が図れるといったメリットがあります。

  • ガーミン「vivosmart 5」 実売価格21,800円前後

ガーミン製品はやや高価格帯の製品が多め。入門向けという位置づけのvivosmart 5でも、実勢価格は2万円を越えます。そのぶん高機能であり、今後スポーツ計測機能を重点的に使いたい、高機能モデルへのステップアップを狙う人に適しています。

vivosmart 5の0.41インチ×0.73インチのOLEDディスプレイは小型&シンプルで、電池持ちもSpO2(血中酸素飽和度)測定無効時で7日と控えめです。個人的なオススメは、睡眠によって回復し、日常の運動で疲弊する体の様子を数値化する「Body Battery」という独自指標。この数値を見れば、自分が「あとどのぐらい頑張れるのか?」「質の高い睡眠をして回復しているか?」が一目でわかり魅力的な機能となっています。

  • vivosmart 5。ブラック、ミント、ホワイトの3色を用意する

ポラールは、本格的にランニングする人など、アスリート(特にランナー)向けの機能を載せた製品を数多く出しています。ランニングパワーという独自の指標でランナーの力を可視化する製品も用意。アスリートのコーチに対しても、チーム全員の数値を一元管理できる機能をサポートしています。

また、公式オンラインショップでの購入で3年保証が付けられるため(通常2年保証+公式ショップ限定の1年延長保証)、長く使いたい人にオススメです。

ポラールのスマートバンド/ウォッチの中でも低価格なPolar Uniteですが、スポーツに強いメーカーらしく計測できるスポーツ種は130種類以上。心拍計にセンサー4つ+光源5カ所と高精度な心拍計測ができるうえ、見た目の割には32gと軽量なのがポイント。今回紹介する製品の中では唯一の円形ディスプレイです(ポラールは現在円形タイプのスマートウォッチ/バンドしか販売していません)。

  • Polar Unite。2020年の発売時はブラック、ホワイト、ブルー、ブラッシュの4色だったが、2021年にレッド(左)とティール(右)が追加された