実験の結果、ヒザ関節伸展と股関節屈曲を行った群の両方で筋力が有意に増加し、その増加の程度には群間差が見られなかったという。また、トレーニング量の時間経過の変化についても有意差がなく、どちらの群においても同様の結果となったとする。
さらに、筋力の変化の程度に基づき、筋力が大きく変化した人たちと変化が小さかった人たちに分けて分析が行われたところ、筋力の変化が大きかった人たちと比較して、変化が小さかった人たちは、トレーニング実施前における体重当たりの筋力と総トレーニング量が大きいという結果になったとする。加えて、総トレーニング量については筋力の変化が小さかった人たちにおいてのみ、筋力の変化の程度と正の相関関係があったという。
実験の結果からは、トレーニング量そのものは、集団内における筋力増加の程度の大小を決定する要因ではないことが示されたが、ひとたび筋力増加の程度が小さかった人たちをピックアップしてみると、総トレーニング量は筋力増加を決定する重要な要因であることが示唆されたという。
筋力増加の程度が小さい人たちは、体格に対するもともとの筋力が大きい人たちであり、これはアスリートの特徴に当てはまるとのことで、今回の研究で得られた成果は、スポーツ選手やそれに携わるトレーニング指導者にとって、最適なトレーニング方法を検討する上で有効に活用できる可能性があるとする。
なお、筋力の向上は、健康を維持し、スポーツ活動を楽しむために重要であることから研究チームでは、今回の研究をベースに、テーラーメイド型トレーニングの開発に貢献していくことを考えているとしている。