バルミューダは11月9日、蒸気の力でごはんを炊く炊飯器「BALMUDA The Gohan」の新モデルを発表しました。新製品は内部構造の見直しと温度制御の調整によって、従来製品よりもごはんの旨味と香りを引き出すとしています。炊飯容量は初代モデルと同じ最大3合まで。発売日は12月上旬、価格はオープン、推定市場価格は49,500円前後です。プレス向けの内覧会にて、実機のチェックや試食をしてきました。

  • BALMUDA The Gohanの新モデル。従来の円筒状デザインから、丸みのある四角い形状に。本体サイズは幅242×奥行き266×高さ219mm、重さは約4.6kg。カラーはブラックとホワイトの2色です

二層釜構造による蒸気炊飯の基本構造はそのまま継承

バルミューダの調理家電といえば、スチームで美味しさを引き出すトースター(BALMUDA The Toaster、BALMUDA The Toaster Pro)、バイパス経路を搭載するコーヒーメーカー(BALMUDA The Brew)など、毎回「ほかとは違う」テクノロジーが注目を集めます。

2017年に発売した前モデルの炊飯器、初代「BALMUDA The Gohan」も、二層釜を使った特徴的な炊飯器です。一般的な炊飯器は米と水が入った内釜を加熱して炊飯をしますが、BALMUDA The Gohanは、米と水を入れた内釜を、水を張った「外釜」にはめる二層構造を採用。炊飯器本体のヒーターが外釜を加熱し、外釜の水を蒸気にかえて内釜の米を蒸すように調理します。新しい2代目「BALMUDA The Gohan」も、二層構造の炊飯方式を継続しています。

  • 写真は初代と同じ構造をもつ新BALMUDA The Gohan。手前にある銀色の釜がステンレス製内釜、奥にある黒い釜がアルミ製の外釜

二層構造炊飯方式のメリットは、炊飯中にお米が「動かない」こと。多くの高級炊飯器は高火力で勢いよく釜内を沸騰させ、対流によって釜の中で米を動かして均一な加熱を促します。

一方、BALMUDA The Gohanは湯煎と蒸気で米を加熱するため、釜内が100℃を超えません。沸騰しない温度で加熱するため、炊飯中のお米が動かないのです。お米とお米がぶつかって傷つくことがなく、一粒一粒がシャッキリとした食感で炊き上がり、お米の中に旨味を閉じ込めるとしています。

  • 新BALMUDA The Gohanで炊いたごはん。粒がしっかり主張しているような炊き上がり

二層構造のもうひとつのメリットが保温力。高機能炊飯器の内釜には蓄熱性を重視した重厚なものが採用されがちですが、厚くて重い内釜は洗米時や洗うとき扱いにくいというデメリットもあります。新BALMUDA The Gohanの二層構造炊飯は外釜と内釜の間に空間を設けており、そもそも保温性が高い構造。薄くて軽く、扱いやすい内釜を採用できるわけです。

新モデルの進化はズバリ、味と香り

BALMUDA The Gohanの初代と新モデルは、基本的な構造は同じ。ただし内部構造の一部を改良し、炊飯時の温度制御を見直すことでより美味しいごはんを目指しました。

  • 新旧のBALMUDA The Gohan。左が初代BALMUDA The Gohan、右が新BALMUDA The Gohan。初代は釜のような形をしていましたが、新モデルは「小さな竈(かまど)」をイメージしたデザインになりました

  • 新BALMUDA The Gohanの炊飯メニューは従来と同じ白米、白米早炊、炊き込み、おかゆ、玄米のみ。お米の銘柄ごとの炊き分けや、「もちもち」「シャッキリ」といった炊き分け機能はありません。ごはんの味が落ちるため、保温機能がないのも初代と同じ

内部構造の大きな違いは2つ。ひとつは外釜で、従来は1.2mmほどだった厚みが2mmまで増えて、蓄熱性能がアップしています。また、外釜底部分の加工を見直し、ヒーターとの接触範囲を増やすことで熱効率も上がりました。

もうひとつの改良は、内ぶたに配置された蒸気口のサイズ。BALMUDA The Gohanは吸水後に温度を急激に上げることでお米に旨味を閉じ込める温度制御をするのですが、新BALMUDA The Gohanは初代モデルよりも狭い蒸気口とすることによって、内釜内の温度をすばやく上げるようになっています。

  • 厚みが大きく増した外釜。外釜には蒸気を作るための水を張りますが、水の量は初代の200mlから180mlに減りました。写真左が初代、右が新BALMUDA The Gohanの外釜

  • BALMUDA The Gohanで美味しいごはんを炊くには水の量が大切ということで、外釜に入れる水量の180mlをきちんと計量する升(マス)が付属します(初代モデルにも付属していました)

  • 上が初代、下が新BALMUDA The Gohanの内ぶたに配置された蒸気口パーツを開いたところ。内部の蒸気口サイズが異なっていることがわかります。蒸気口サイズを0.1mm変えるだけでも、炊飯後のごはんの味が変わるんだとか

実際、新モデルではどれくらい味が変わったのでしょう?

初代BALMUDA The Gohanで炊いたごはんの特徴は、やはり食感のよさ。プリッとした舌触りと弾力のある食感は、「食べるのが楽しい」と感じさせてくれました。一方、口に入れた瞬間のごはんの旨味や香りは少々薄く、噛んでいると米の奥から旨味が出てくる印象でした。

  • 試食で提供されたごはん。BALMUDA The Gohanで炊いたごはんは「おかずの味を引き立てる味」といわれているため、おかずも複数。しかも豪華

  • 試食したごはん(お米)は、山形県産つや姫(写真左下)、北海道産ゆめびりか(写真右下)、秋田県産サキホコレの玄米(写真上)という3種類

新モデルで炊いたごはんは、一口食べると口の中でごはんの香りが広がり、噛むと甘みもしっかり感じられます。BALMUDA The Gohanらしいシャッキリした弾力もしっかりあって、初代ほど主張しすぎない食感です。従来は弾力が前面に出て味の印象がぼやけることもあったのですが、シャッキリ系ながら米の味を引き立たせるバランスのよい食感になっている印象です。

試食では最初につや姫、次にゆめぴりかを試しましたが、同じ炊飯モードにもかかわらず、両銘柄の味と香りの差がよく出ていたことに驚き。つや姫はシャッキリ感と旨味が強く、ゆめぴりかは粒感がありながらもモチッとした食感で甘みを強く感じました。新BALMUDA The Gohanは、初代モデルよりもお米の個性を強く引き出してくれる炊飯器だと感じました。

  • それぞれのごはんを試食するマイナビニュース・デジタル林編集長。固めでシャッキリ系ごはんが好きという林編集長のイチオシはつや姫

  • 卵との相性もバッチリ。今回の卵は味の濃い那須御養卵でしたが、ごはんの味と食感が卵に負けていません。卵かけごはんって、卵の扱い方で好みがわかれますよね。写真ではごはんの上に卵をそのまま乗せていますが、小鉢の中で卵と醤油を混ぜてからごはんにかける人も多いと思います

独特のアプローチで「美味しいごはん」を炊き上げる新BALMUDA The Gohan、新モデルは2023年3月末まで「購入後30日間の返金保証キャンペーン」を行います。ごはんは炊飯器でかなり味が変わってくるうえに、個人の好みも大きい食べ物です。炊飯器の購入や買い換えを検討しているなら、キャンペーン期間中に一度、新BALMUDA The Gohanを試してみるといいかもしれませんよ。