バルミューダは1月12日、同社のキッチン家電の第3弾となる炊飯器「BALMUDA The Gohan(バルミューダ ザ ゴハン)」(以下、The Gohan)を発表した。発表会では実際に製品を触ることができたほか、The Gohanで調理したご飯の試食もできた。ここではその詳細をレポートしたい。

新製品のThe Gohanと、バルミューダの代表取締役社長 寺尾玄氏

製品カラーはブラックとホワイトから選択できる

土鍋を超える「おいしさ」を追求

バルミューダといえば、機能性とデザイン性を両立した製品によって、「こだわりのあるユーザー」に人気の家電メーカーだ。同社は2015年から調理家電に参入しており、独自の温度制御とスチーム技術を組み合わせたトースター「BALMUDA The Toaster」は、「いつものパンが数倍美味しくなる」という口コミで大ヒット製品となった。

会場には同社のキッチン家電シリーズも展示されていた。左からBALMUDA The Pot、BALMUDA The Gohan、BALMUDA The Toaster

今回のThe Gohanも、もちろんデザインと機能にこだわった製品だ。バルミューダの代表取締役社長 寺尾玄氏によると、電気炊飯器は手軽だが、電気はガス火と比べて約3分の1のエネルギーしかなく、この火力の弱さがネック。このため、一般的に「美味しい」といわれている土鍋やお釜で炊いたご飯には、火が使われていることが多いのだという。そこで、The Gohanには「電気の弱さ」をスチームで補う技術を取り入れた。

The Gohanと、付属する水計量カップに米計量カップ。ホワイト色の製品は計量カップも白いものが付属。このあたりのこだわりはバルミューダらしい

本体上面に操作部がある。選択できるコースは白米、白米早炊、玄米、炊込、おかゆの5種類。「やわらかめ」「しゃっきり」、「おこげ」といった細かな設定はなく、シンプルな操作性だ

使わないときは、電源を本体後ろに巻き付けて収納できる

スチームで炊く新方式の炊飯器

今までも、スチームを使った高級炊飯器は多く存在してきた。しかし、ほとんどの場合は加熱調理はIHで行い、スチームは補助的に使用する程度だった。一方、The Gohanは基本的に加熱は主にスチームで行う。このため炊飯器の構造も一般的な製品とはかなり異なっている。

会場内には、炊飯時のスチームの様子を再現するデモ機も用意されていた。本体から排出される蒸気は、一般的な炊飯器と同じくらいだと感じる

まず驚くのが、炊飯器にセットする「釜」が2個存在する点だ。ひとつは一般的な炊飯器と同じように、米と水をセットする「内釜」。そして、もうひとつがスチームを発生させるための水を入れる「外釜」だ。炊飯時は外釜に水を200ml入れ、この外釜に、米と水を入れた内釜をセットして使用する。

左が水を入れる外釜、右が米と水をセットする内釜。この2つの釜を重ねるようにセットする

外釜は内釜よりも一回り大きく作られている。このため、内釜は外釜のなかで「浮いている」状態になるのがポイント。この外釜と内釜の間のスペースでスチームを発生させ、The Gohan内に蒸気を充満させて内釜を「包み込む」ように優しくご飯を炊き上げる。これにより「張りのある食感」や「ベタつかないほぐれ感」、「ぬけるような香り」、「深い味わい」を実現できるという。

外釜のフチには複数のスリットがあり、ここからThe Gohan内全体に蒸気を逃がす

また、The Gohanは加熱制御の方法もユニークだ。最近の多くの高級炊飯器は100℃以上の温度帯での加熱や、激しく釜内を沸騰させて米を「踊らせる」加熱を行う。しかし、The Gohanはあえて全工程を100℃以下で加熱。さらに、米を踊らせずに静かに加熱することで、コメ表面に傷を付けることなく旨みが詰まったご飯が炊飯できるそうだ。

バルミューダによると、内釜と外釜の間にスチームが充満するスペースを作ることで、断熱性も非常に高くなっているという。現在、多くの高級炊飯器は、断熱性や蓄熱性を重視するために分厚くて重い金属の内釜を採用している。一方のThe Gohanは、内釜と外釜の間のスペースが「見えない断熱材」の役割を果たす。このため、内釜に薄くて軽い素材を採用しながら、断熱性の高さも両立したという。釜が非常に軽いため、お米を研いだり、釜に水を入れたりといった作業もストレスなく行える。

発表会会場にあった断面モデル。外釜と内釜の間に大きく空間があるのがわかる。このスペースが断熱材としても働く