今回の取り組みでは、金属3Dプリンタを用いた新しい製作技術が適用されており、50GHzまで受信可能な部品を高速かつ正確に製作することが可能となったとのことで、この新しい製作技術により、大型干渉計や大型マルチビーム受信機などの部品をこれまでよりも短期間で大量生産する道も見えてきたと研究チームでは説明している。

  • 金属3Dプリンタで製作されたコルゲートホーン

    (左)今回、金属3Dプリンタで製作されたコルゲートホーン。(右)コルゲートホーンを上部に搭載したバンド1受信機 (C)NAOJ, ASIAA (出所:アルマ望遠鏡日本語Webサイト)

また、従来の製造方法では不可能だった、複数の部品を1つの部品としてまとめて製作できるようになるかもしれず、天文観測用受信機のさらなる性能向上につながる可能性があることから、金属3Dプリンタ技術を利用することで、アルマ望遠鏡がサブミリ波天文学のさらなる可能性の扉を開く可能性が示されたとしている。

  • バンド1受信機が搭載されたパラボラアンテナの模式図

    バンド1受信機が搭載されたパラボラアンテナの模式図 (C)NAOJ, ASIAA (出所:NAOJ Webサイト)

なお、製作されたコルゲートホーンは、バンド1受信機開発の主担当である台湾の中央研究院 天文及天文物理研究所で受信機に搭載され、-258℃という極低温での最終性能評価が進められているとのことで、これまでの評価結果では、アルマ望遠鏡の仕様に適合していることが確認されているとのことで、試験終了後、受信機ユニットは数カ月のうちにチリまで輸送され、アルマ望遠鏡に搭載される予定だという。