名古屋工業大学(名工大)と東京都立産業技術研究センター(都産技研)は7月11日、従来の金属3Dプリンティング用のステンレス鋼粉末にヘテロ凝固核粒子を含有させることで、従来よりも小さなエネルギーで高速造形が可能な粉末を開発することに成功したと発表した。

同成果は、名工大大学院工学研究科 工学専攻(物理工学領域)の渡辺義見教授、同・佐藤尚准教授、都産技研の大久保智博士らの共同研究チームによるもの。詳細は、金属やその他の材料から部品を製造する際に使用される処理技術を扱った学術誌「Journal of Materials Processing Technology」に掲載された。

金属3Dプリンティングでは、金属特有の溶融・凝固を素過程とする必要があるため、粉末の溶け残りや冷却時の体積収縮に起因する内部空孔が形成されやすいという課題がある。

また、鋳造組織に類似する粗大な不均一組織(柱状組織)が形成され、強度が低下すると同時に、力学特性に異方性が発生するという潜在的な課題も抱えているという。

そこで研究チームは今回、鋳造工学や溶接工学などで利用されている「異質核生成理論(ヘテロ凝固理論)」を、金属3Dプリンティング技術に応用することで、そうした課題の解決に挑むことにしたという。

具体的には、母材金属よりも高い融点を有し、かつ母材金属の初晶となる相に対して原子配列の整合性の良いヘテロ凝固核粒子を添加して3Dプリンティングを行うと、凝固が均一に発生することを活用し、内部欠陥の発生を抑え、密度の高い造形体を得ようというものだという。