インターネットイニシアティブ（IIJ）は10月25日、1枚のSIMカードで複数の携帯電話網に接続可能なマルチプロファイルSIMを開発したと発表した。まずはIoTソリューションを提供するパートナー企業とのPoC（概念実証）に活用される。
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通信障害発生時に活躍するマルチプロファイルSIMのイメージ図
開発背景として、近年発生した携帯電話網の通信障害では全国的かつ長時間に及ぶ通信の混乱が起き、業務に使われるIoT機器や電子決済端末にも影響が出るケースがあった。
このような場合に備えて複数のキャリアを利用できるようにしておく方法はいくつかあるが、大量に配備されるIoT機器などではデュアルSIM化はコストがかさむ。また、ローミング技術を使う方法では、SIMカードの発行元となる事業者のコアネットワーク内にある加入者データベース（HLR／HSS）を必ず経由することになるため、障害点によっては効果を発揮できない。
今回開発されたマルチプロファイルSIMは、1枚のSIMカードの中にあらかじめ複数社のSIMプロファイルを持っておき、任意のタイミングで切り替えて利用できる。他の方法による通信の冗長化と比べて、シングルSIMのハードウェアで運用できるためコストアップを抑えられ、ローミングのような単一障害点もないということになる。
マルチプロファイルSIMの最初の活用事例としては、コネクシオのエッジコンピューティング・ゲートウェイ「CONEXIOBlackBear」のPoCに採用されており、10月26日～28日に開催される「第13回Japan IT Week 秋（IoT&5Gソリューション展【秋】）」のコネクシオブースにて参考展示される。また、IIJの法人向けMVNO通信サービス「IIJモバイルサービス」で今後提供される予定だ。
