英国ダラム大学の胎児・新生児研究所に所属するBeyza Ustun氏らの研究チームは、胎児が母親が食べたものの味にどのように反応するかを4D超音波スキャンを用いて調査。食品の味によって胎児が笑ったり、泣いたりすることが明らかとなったという。

  • 母親の食事で、お腹の胎児が笑ったり泣いたりすることが明らかに

    ケールフレーバーを服用したグループの胎児。ほうれい線ができており、苦々しげな表情だ

  • にんじんフレーバーを服用したグループの胎児。口角が上がっており、嬉しそうな表情だ

胎児のいる母親のお腹の中で羊水に満たされており、母親が食べたものの風味などが羊水に移るのだそう。そして、胎児は羊水を飲み込んだり吸い込んだりすることで、母親が食べた食べ物の味を感じ取ることができるのだとか。

これまで、胎児が母親の食事にどんな影響を受けているかは、出生後にしか測定してこなかったそうだ。例えば、母親が妊娠後期にニンニクを含む食事を週に4回以上とっていた場合、15~28時間の新生児はニンニク臭に対して嫌悪反応を示さないなどの調査が行われていた。そこで、本研究では、胎児が甘さを感じるにんじんフレーバーと、苦さを感じるケールフレーバーのカプセルを妊婦に服用してもらい、4D超音波スキャンを用いて、味に対して、胎児がどんな反応を示すか、胎児の顔面反応を可視化した。

調査には、健康な胎児を持つ18歳から40歳の母親100名を募集。妊娠32週目と36週目にスキャンを行なった。なお、コロナ禍の影響で、両方のスキャンに参加できたのは、81人だったそうだ。それぞれにんじんフレーバーを服用したグループ、ケールフレーバーを服用したグループ、フレーバーを服用しないグループの3群に分かれて実験を行った。

各参加者は、生野菜約50g分に相当するパウダーの含まれたカプセルを服用。カプセルが小腸で溶けるまで待機してもらい、その後、4D超音波スキャンを受けてもらう。スキャンした4D超音波記録と従来の2D画像を並べて可視化し、胎児の顔などを観察した。

結果として、胎児が羊水中の味を識別できることがわかった。具体的には、にんじんフレーバーを服用したグループの胎児は、唇の端を引くなどして「笑い顔」の反応が多く見られ、ケールフレーバーを服用したグループの胎児は、下唇を下げるなどして「泣き顔」の反応が多く見られたのだ。また、胎児が成熟するにつれて、味に対する顔の反応がより複雑になることも判明した。具体的には、ケールフレーバーを服用したグループの胎児は、32週から36週にかけて「泣き顔」に寄与する4つ以上の顔の動きの組み合わせが増加したという。

同研究チームは、本研究で得られた知見は、異なる味を感知し識別する胎児の能力に関する、最も初期の証拠を理解する上で重要な意味を持つとしている。

ネット上では「こんなハッキリ分かるんだな!」「腹の中の子が食べ物の味に反応してるとかすごいな(´¬`)」「すごい」と感心する声が多く寄せられた。