なお、柔軟性に優れたマイクロロボットとしては、今回の生体分子モーターを使用するタイプとはまた別の、生きた筋肉細胞を用いる「細胞ハイブリッドロボット」も注目されているとする。同ロボットは柔軟性に加えて環境負荷が低い点で優れるが、生産の際に筋肉細胞の培養に数日かかってしまうという課題がある。

その点、今回の生体分子モータータイプは、設計の柔軟性を向上させながら、製造プロセスを簡素化することも可能であることから、今後のオンチッププリンティング技術の向上や人工筋肉の性能向上により、現在の細胞ハイブリッドロボットのボトルネックを打破し、実用化に向けた一歩を踏み出すことが期待される手法であると研究チームでは説明している。

今回の成果を踏まえ研究チームでは今後、さまざまな機能が付与されたマイクロロボットが、オンチップ上で連続的にオンデマンド生産することが可能になり、化学エネルギーだけで駆動する超小型マイクロロボットが健康医療応用などをはじめとする、さまざまな分野に展開、波及していくことが期待できるとしている。