モバイルでは圧倒的なCPU性能。OLEDと合わせてクリエイティブワークのモバイルが快適になる

ここからは、Zenbook 14X OLED Space Editionの実際のパフォーマンスを見ておこう。

PCMark 10(Standard)のスコアは6022ポイント。ホーム用途のEssentialsは11,216ポイントと高スコアなほか、ビジネス用途のProductivityが7,349ポイントと十分、Digital Content Creationも通常、統合GPUを用いたモバイルノートPCでは低スコアになりがちだが、7,191ポイントと比較的高いスコアを得ている。

  • PCMark 10(Standard)

Digital Content Creationをもう少し見ていくと、Rendering and Visualizationについては統合GPUを利用している点でやや低いが、Photo Editingは12,041ポイントと高スコアで、Video Editingは統合GPU仕様の範囲では比較的高い6,499ポイントを得ている。高性能CPU、OLEDパネル採用ということもあり写真補正や映像編集用途で利用したいという方も多いだろう。写真補正についてはかなり実用的で、映像編集作業もメインのPCがある前提で軽めの作業や色合わせ中心に利用できるのではないだろうか。

CPU性能を測るCINEBENCH R23では、Multi Coreが1万点を超えて10,494pts、Single Coreも1,629ptsと高かった。なにしろZenbook 14X OLED Space Editionは統合GPU利用のモデルでありながらゲーミングノートPCのようにファンを2基搭載している。IceCoolテクノロジと名付けられたこの冷却機構が、「H」SKUのCPUからパフォーマンスを引き出しているのが見て取れる。

  • CINEBENCH R23

3DMarkはFire Strikeが5593、Night Raidが21677といったスコアで、統合GPUであるがIntel Xe Graphics世代の高い3Dパフォーマンスを示している。3D負荷が軽いゲームを息抜きに楽しむというのは実用の範囲だろう。

  • 3DMark Time Spy

  • 3DMark Fire Strike

  • 3DMark Night Raid

  • 3DMark Wild Life

そこでファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークを試してみた。1,920×1,080ドット(フルHD)では高品質(デスクトップPC)で5,561ポイント「普通」という判定で、同解像度の標準品質(デスクトップPC)なら9,468ポイント「快適」といった判定が得られた。

  • ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク。フルHD高品質(デスクトップPC)

  • ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク。フルHD標準品質(デスクトップPC)

インターフェースも充実。USB PD対応もうれしい

最後に細かい仕様とインタフェースもチェックしておく。

ボディ材質はアルミニウムでユニボディ。米国国防省規格MIL-STD 810H適合とされているほか、米国宇宙システム軍団規格「SMC-S-016」準拠ともされている。SMC-S-016では20~2,000Hzの激しい振動、61℃の高温テスト、、-24℃の低温テストなどがあると言う。MIL-STD 810H準拠はタフをうたうノートPCで見られるが、SMC-S-016準拠もプラスするのは本製品ならではだ。

  • アルミユニボディで米国国防省規格や米国宇宙システム軍団規格にも適合する堅牢性を実現

サイズ(W×D×H)は311.22×221.18×15.9~17.6mm。14型で幅31cm少々ならコンパクトと言えるだろう。アスペクト比のため奥行きは16:9比モデルよりも若干長い気もするが、かばんへの収まりという点ではあまり問題にならないと思われる。厚みは1cm台後半となっているが十分にスリムだ。つまり14型スリムモバイルとほとんど変わらぬ感覚で利用できる。

  • 左右側面

重量は1.47kg。こちらも十分に軽い。もちろん1kg前後や1kgを切るモデルも登場しているウルトラスリムモデルと比べればやや重いが、本製品はパフォーマンス志向。そこを考えればかなり軽量と言えるだろう。

  • 実測でも約1.47kg

インタフェースは左右側面に備えている。Thunderbolt 4×2、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、HDMI×1、ヘッドホン/マイクコンボジャック×1、microSDXCカードリーダー×1といった具合で、数こそ少なめだが高速かつ汎用性の高いThunderbolt 4、プレゼンテーション時にプロジェクターと接続するためのHDMIなど、ポイントを押さえている。

  • 左側面にHDMI×1とThunderbolt 4×2

  • 右側面中ほどにmicroSDカードリーダー

  • 右側面ヒンジ寄りにオーディオジャック×1とUSB 3.2 Gen2 Type-A×1

  • USB有線LAN(GbE)アダプタが付属する

Thunderbolt 4は、40Gbpsの高速データ転送に加え、USB Power Delivery(USB PD)とDisplayPort Alt Modeにも対応している。付属のACアダプタもUSB PD規格に対応したものだ。正面から見ると正方形のACアダプタで、直付けのケーブルの先はUSB PDのType-C形状をしている。最大出力は100Wだ。モバイルでもかさばらない小型タイプのACアダプタだが、必要ならモバイル用に市販のUSB PD充電器を用意しても便利だ。その際はType-Cポートが100Wの出力に対応しているモデルを選ぼう。

  • ACアダプタはケーブル直付けだがUSB PD対応のもの。100W出力に対応している

これら外部接続用のインタフェースに加え、Wi-Fi 6無線LAN機能およびBluetooth 5.1機能を備えるほか、USBイーサネットアダプタ(有線LAN)およびUSB Type-C→Type-Aケーブルが付属する。

  • ACアダプタやUSB LANアダプタが収められた箱は(おまけ的な要素だが)ノートPC台としても利用可能

そしてバッテリー。3セルで63Whとされている。モバイルノートPCとして十分な容量ではあると思うが、高性能CPUを搭載し、サブディスプレイなど電気を利用する追加機能もある点で、実際にどのくらい利用できるのか気になるところだろう。PCMark 10のModern Officeバッテリーテストを実効したところ、ディスプレイ輝度100%、Wi-Fi接続済み、電源設定「バランス」時で6時間41分という結果だった。ただし、輝度100%はかなり消費電力を使う。ここを50%に抑えたりそのほか設定を省電力寄りとすればここで示した以上の長時間駆動が可能だろう。

  • PCMark 10、Battery Benchmark、Modern Officeシナリオ

宇宙をモチーフにして出来あがったのは至高のモバイルノートPC

Zenbook 14X OLED Space Editionは同社の特別な記念モデルだ。ゲーミングノートPCではなくモバイルノートPCで、ここまでトガッたデザイン、トガッたスペックは記念モデルでもなければ投入できなかったのではないだろうか。非常にチャレンジングだ。特別なモバイルノートPCを望む形には受け入れられるだろう。

そして、こうしたスペック満載のノートPCなら高価なことを想像するが、Zenbook 14X OLED Space Editionは発表ベースで26万9,800円とされる。モバイルノートPCのメインストリームが10万円台前半、ハイエンドになれば20万円前後とするとそれらよりも高価だが、OLEDパネルやCore i9-12900H、32GBのメモリといった個々のスペックを見ていくと、コストパフォーマンスがよいように見えてしまう。既存のモバイルノートPCのパフォーマンスに飽き足らない方、モバイルノートPCのデザインにスパイスを求めている方にぜひ検討してもらいたい製品だ。