最後のセッションは「IIJ、SIMを作るの巻」と題して、木野純武氏が登壇した。

  • 第24回以来の登場となる木野氏。いつもSIM周りの非常にディープな解説を担当されている

本セッションの内容は完全に技術寄り、それもSIMの設計という、一般ユーザーからはかけ離れた分野になる。ディープな話題をエンジニアが語るIIJmio meetingにふさわしい内容だが、少々(筆者にとっても)難しすぎるので、比較的わかりやすい用語が出るところだけかいつまんで紹介しよう。詳細については後日公開される動画やスライド資料で確認していただきたい。

  • SIM自体は単に電話番号などの情報を持つだけでなく、Java CardベースのICカードであり、小さなプログラム(アプレット)を実行できるマイクロコンピュータでもある。これはeSIMでも同様だ

  • SIMまわりの設定をしていると一度は目にする「IMSI」は電話番号とは別の、固有の識別番号のこと。いわゆる電話番号は「MSISDN」で、最大15桁。国際通話の国番号で2桁消費するが、国際通話では国内向けの電話番号の最初の0が省略されるので13桁まで利用できることになる。020の14桁化はここが根拠となっているわけだ

  • 5G SA向けのSIM設計もスタートしているとのこと。5Gに関してはネットワークも複雑になるだけに、SIM設計者の腕の見せ所だろう

最後に、ユーザーから見るとただのチップにしか見えないSIMも、実は立派な「通信設備」であり、その設計はフルMVNOの特色が表せる武器であること。また、その設計には関係する法令やガイドラインも含まれており、中にはSIMカードの外装やロジスティックまでもが、サポートや業務対応を考慮に入れた「設計」に当たることが示され、今後も魅力的なサービスや機能のために独自のSIM開発を進めていくとまとめられた。

  • SIMと一口に言っても、ただ使えればいいだけではなく、流通からサポートまで、利用シーン全体を考えたものが「SIM設計」だという深い言葉が出た

今回はユーザーの関心が高いiPhone絡みの話題からスマート農業、さらには超ディープなSIM設計の話題まで、幅広いジャンルに触れたIIJmio meetingとなった。次回開催時期は未定だが、そろそろリアルでの開催も視野にいれつつ、暑い時期を飛ばして…という声もあったので、真夏よりはもう少し先かも?という見込み。開催時期などの詳細はTwitterのIIJmio公式アカウントなどで確認してほしい。IIJmio meetingはMVNOのエンジニアによるリアルでディープな話が聞ける貴重な機会だ。エンジニアやモバイルマニアはもちろん、最近モバイル業界に興味が出てきたという方も、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。