20GBで月額2,970円という安さが好評の「ahamo」に、100GBの大容量プラン(オプション)「ahamo大盛り」が登場する。100GBで月額4,950円と割安に見えるが、果たして本当にそうだろうか。
好調な「ahamo」に大容量版が登場
「ahamo大盛り」は3月23日に発表され、6月から提供予定。従来のahamoに新たなオプションサービスとして「大盛りオプション」を追加し、月間データ容量を20GBから100GBへ増量するサービスだ。20GBプランと同様に、5分以内の国内通話が定額になる通話料の割引サービスも含まれる。
基本料金とオプション料金を合わせて4,950円と、データ容量100GBの大容量プランとしては割安だ。高速な5G通信や動画サービスの普及により、20GBでは足りないと考えていたユーザーには魅力的なサービスだろう。
データ容量100GBに5分以内の通話かけ放題まで付いて5,000円を切る料金はお得に思えるが、実はドコモの通常プランと比べて安いとは言い切れない。
というのも、筆者自身はahamoではなくドコモの「5Gギガホ プレミア」を契約しているが、様々な割引を利用した結果、ahamo大盛りと変わらない料金で利用できているのだ。
そこで今回は、パッと見かなり割安に見えるahamo大盛りと大手携帯キャリア各社の無制限プランを比較し、「ahamo大盛りは本当に安いのか」を考えていく。
割引なしなら圧倒的にahamo大盛りが安い
まずは一切の割引がない状態で、ahamo大盛りと各社の無制限プランを比較していく。結果は下表の通り。ahamo大盛りは無制限プランよりも2,000円以上安い。
NTTドコモ | au | ソフトバンク | ||
---|---|---|---|---|
プラン | ahamo大盛り | 5Gギガホ プレミア | 使い放題MAX 5G | メリハリ無制限 |
データ容量 | 100GB (基本20GB+オプション80GB) |
無制限 (テザリング無制限) |
無制限 (テザリング30GB) |
無制限 (テザリング30GB) |
利用料金 | 4,950円 (基本2,970円+テザリング1,980円) |
7,315円 | 7,238円 | 7,238円 |
「20GBでは足りないが100GBもあれば十分」と考えるユーザーは多いだろう。「ahamo大盛り」の発表会で出された例を挙げると、100GBというのは「月20日勤務で、1日あたり8時間のWeb会議をし続ける」「dアニメストアの最高画質でアニメを121話観る」などといった使い方ができるほどの容量だ。
一般的な使い方では100GBというデータ容量を1カ月で使い切るのは難しい。確かにahamo大盛りには100GBまでの制限はあるものの、現実的には毎月データ容量が不足したり通信速度に制限がかかることなく利用できる。
無制限プランに近い使い方が可能でありながら、ここで比較したプランの中では最も安い。各社の割引条件に当てはまらないのであれば、基本料金の時点で安いahamo大盛りがお得といえる。
割引ありなら実は無制限プランのほうが安い
続いて色々な割引を適用し、ahamo大盛りと各社の無制限プランを比較していく。以下の表は、大手携帯電話会社が提供する「家族複数台の割引」「インターネット回線とのセット割引」「指定のクレジットカードでの支払いで受けられる割引」を適用した場合の料金を比較したものだ。
NTTドコモ | au | ソフトバンク | ||
---|---|---|---|---|
プラン | ahamo大盛り | 5Gギガホ プレミア | 使い放題MAX 5G | メリハリ無制限 |
データ容量 | 100GB (基本20GB+オプション80GB) |
無制限 (テザリング無制限) |
無制限 (テザリング30GB) |
無制限 (テザリング30GB) |
通常料金 | 4,950円 (基本2,970円+テザリング1,980円) |
7,315円 | 7,238円 | 7,238円 |
家族割引 | ‐ | ▲1,100円 (みんなドコモ割・3回線以上) |
▲1,100円 (家族割プラス・3回線以上) |
▲1,210円 (新みんな家族割・3回線以上) |
ネット回線セット割 | ‐ | ▲1,100円 (ドコモ光セット割) |
▲1,100円 (auスマートバリュー) |
▲1,100円 (おうち割 光セット) |
指定カード払い割引 | ‐ | ▲187円 (dカードお支払割) |
▲110円 (au PAY カードお支払割) |
‐ |
割引後料金 | 4,950円 | 4,928円 | 4,928円 | 4,928円 |
具体的なシチュエーションとしては、親子3人で同じ携帯会社を使っていて、自宅(実家)のインターネット回線も同じ会社で、料金は父親がカードでまとめて払っているという、よくある一般家庭の携帯事情を想像してほしい。
この場合、圧倒的に安いと思われたahamo大盛りは各社の無制限プランより少し高くなる。
「5分以内の国内通話が何度でも無料」というメリットは残るが、最近はLINEなどのアプリの無料通話機能のほうが利用頻度が高い人も多く、通話料の安さは大きなアドバンテージにはならないかもしれない。
また、家族の中で一人だけ「20GBで十分なのでahamoへ乗りかえよう」と考えるパターンも考えられるが、この例のように割引をフルに活用できる場合は「待った」と言いたい。
上にも書いたが、携帯電話各社の割引サービスは家族の中で「同じ会社」や「対象の料金プラン」を利用している人数に応じて割引額が変わる仕組みとなっている。
1人だけの料金を見ればahamoに乗り換えて料金を抑えられるとしても、残される家族の割引が減ってしまえば、トータルでは得にならない可能性があることも頭の片隅に置いておくといいだろう。
ahamo大盛りは誰のためのプランか
ここまで比較した通り、ahamo大盛りは必ずしも大容量や無制限のプランのなかで圧倒的に安いとは言えない。
特に、オンライン専用プランが登場する以前に家族で同じ会社に揃えてしまい様々な割引の恩恵を受けている場合は、無理に乗り換えるほどの魅力はない。
しかし、家族で携帯キャリアをまとめていない人や自宅に固定回線を引けない人など、大手キャリア(メインブランド)であまり割引を受けられない人にとっては額面通りにお得なプランとなる。
100GBで5,000円以下という料金の安さに加え、ahamoはNTTドコモの1プランという建て付けなので通信速度も安定して速い。単身世帯で固定回線なし、スマホ1台でなんでもこなしたいヘビーユーザーの若者などにはマッチするだろう。