ソニーは、リング型の新開発ドライバーユニットを搭載した、耳をふさがない完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds」(型番:WF-L900)を2月25日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭価格は23,000円前後を見込む。カラーはホワイトとグレーの2色。
同社では、音楽ストリーミングサービスの利用が近年拡大しており、通勤・通学時だけでなく自宅でのテレワークやオンライン授業などでも完全ワイヤレスイヤホンを使う機会が増加していると分析。若年層を中心に「ながら聴き」への関心が高まっており、“音“への接触時間がさらに長くなる傾向があるという。
LinkBudsは、「オンライン、オフライン(リアル)を問わず、あらゆる人やコンテンツに常にLink(つながる)するためのイヤホン」をコンセプトに開発。
ソニーの完全ワイヤレス史上最小最軽量のコンパクトサイズで、コンパクト設計とリング型ドライバーの開放感による快適な装着性を追求し、20代半ばのいわゆる“Z世代後期”に向けて完全ワイヤレスの“常時装着”という新しいスタイルを提案している。また、ビジネスやスポーツシーンでの活用も見込めることから、骨伝導イヤホンに関心がある30〜50代のビジネスマンもターゲットとする。
立体音響による“新しい音体験”ができるのも特徴で、現実世界に仮想世界の音が混ざり合う、ソニーによる新感覚の音響体験が楽しめるSound ARアプリ「Locatone」に対応。既存の開放タイプのイヤホンでも利用できるアプリだが、LinkBudsでは新たにヘッドトラッキングにも対応し、より臨場感ある立体音響体験が楽しめるという。
さらに、「Microsoft Soundscape」との連携により、快適な街歩きをサポート。マイクロソフトが提供するiOS向けの3Dオーディオマップアプリ「Microsoft Soundscape」と連携し、本体に内蔵するコンパス/ジャイロセンサーを使用して頭の向きを認識できる機能も備えている。
同社では各ターゲットユーザーに合わせて、お笑い芸人であり、会社員や社長という顔も併せ持つラランド サーヤと、ブランドクリエイティブディレクターの干場義雅を起用した2つの動画を公開。LinkBudsの活用シーンを想起させるような「LinkBudsを使用した一日」というユースケース動画で紹介している。
LinkBudsの詳細
LinkBudsには、一般的なドライバーユニットとは異なり、ドーナツのように中心部を開けた振動板を採用した、12mmのリング型ドライバーユニットを搭載。ダイナミック型で、ポリウレタンとPET材を使ったリング状の振動板をボイスコイルで駆動して音を鳴らしている。
一般的なカナル型(耳栓型)の完全ワイヤレスイヤホンのように、耳穴をふさぐパーツが存在しないため圧迫感がなく、イヤホンを着け音楽を聴きながらでも、周囲の状況や人の会話などがはっきり聞こえる。
ソニーではかつて、独自の音導管設計で耳をふさがない構造を採用した開放タイプのイヤホン「Xperia Ear Duo」などを世に送り出しているが、それとは異なる仕組みを採用したかたちだ。
人間工学に基づいた本体デザインで装着安定性を高めており、付属の5サイズのフィッティングサポーターで耳の中に収まるように設計。同社では、LinkBudsのパッケージで装着方法を案内するほか、耳へのつけ方を分かりやすく説明するを動画もYouTubeで公開している。
既存のWF-1000XM4と同じく、統合プロセッサー「V1」を搭載。独自の音質補正機能「DSEE」を備え、音楽ストリーミングサービスなどの圧縮音源もクリアに再現するという。また、ソニーのワイヤレスオーディオ機器と連携する「Sony|Headphones Connect」アプリに対応し、イコライザーで自分好みのサウンドに設定することも可能だ。
ハンズフリー通話も可能で、AI技術を活用した高精度ボイスピックアップテクノロジーを採用しており、自分の話し声が実際に聞こえるので自然な会話が可能とする。さらに、完全ワイヤレスのWF-1000XM4、ヘッドホンのWH-1000XM4で採用しているスマート機能「スピーク・トゥ・チャット」も利用でき、イヤホンをつけたまま人と対面で会話可能だ。
本体には骨伝導センサーや物理ボタンなどは備えていないが、耳の周りやイヤホン本体を指で軽く、すばやく叩くことで振動を読み取り、各種操作が行える「ワイドエリアタップ」を装備。2回または3回(0.2秒)タップすることで楽曲の再生/停止などが行える。
QuickAccess(クイックアクセス)機能を備え、ソニーのイヤホンとして初めて、イヤホン本体の操作でSpotifyの楽曲を再生したり、プレイリストを切り替えたりできる「Spotify Tap」に対応。ほかにも、周囲の騒音レベルに合わせて自動で再生音量を調整する「アダプティブボリュームコントロール」も装備する。
このほか、LinkBudsはソニー独自の立体音響技術を活用した音楽体験「360 Reality Audio」の認定モデルにもなっている。
Bluetooth接続は左右同時伝送方式に対応。コーデックはSBC、AACをサポートする。Android端末と初回のペアリング作業がスムーズに行える「Google Fast Pair」や、紛失時のための「デバイスを探す」機能にも対応。PCとの「クイックペアリング」も利用可能だ。
連続再生時間は、イヤホン本体で最大5.5時間。付属の充電ケースと組み合わせて最大17.5時間再生できる。10分充電で90分再生可能なクイック充電もサポートする。充電ケースはUSB Type-Cで充電できるが、ワイヤレス充電には非対応。なお、充電ケースにはペアリング用ボタンも備えている。
イヤホン本体はIPX4防滴対応で、重さは片側4.1g。ソニーのヘッドホン/イヤホン製品として初めて、本体と充電ケースの外装部分などに再生素材を採用した。また、パッケージも紙素材を用いてプラスチックを一切使わない、プラスチックフリーのデザインとした(ただし、WF-1000XM4で採用した「オリジナルブレンドマテリアル」ではない)。
なお、LinkBudsの発売に合わせて、ソニーストアでは同ストア限定の「紛失あんしんサービス」の対象機種にLinkBudsを追加。加入者であれば、片耳のみを紛失した場合も5,500円で再度購入できるという。加入料は有効期限1年で1,100円、2年で1,650円。利用できる回数は1回。