基本機能はシンプルにしつつ、欲しい機能を追加していくパナソニックのIoT調理家電シリーズ「マイスペック」。前回は、調理機能付きIHジャー炊飯器「ライス&クッカー SR-UNX101」をレビューしましたが、今回はオーブンレンジ「ビストロ NE-UBS5A」を使ってみたので、さっそくご紹介します。

  • 見た目もシンプルで、どんなキッチンにも合わせやすいデザイン

ここ数年、家電量販店にオーブンレンジを買いに行った人の中には、「オーブンレンジってこんなに高かったっけ?」と驚いた人も多いのではないでしょうか。確か十数年前までは5万円以下が中心だったのに、いまや5万円超えは当たり前、15万円前後の高級モデルまで登場しています。

高価格になった理由は、過熱水蒸気を使用したスチーム機能をはじめ、高いセンサー技術、豊富な自動メニューを搭載するなど高機能化したこと。もちろん高機能ならできることが多く便利ですが、その機能が必ずしもすべての人に必要とは限りません。むしろ「操作が複雑になり、使いこなせない」といった声も聞かれるようになりました。

そこで誕生したのがパナソニックの「マイスペック」シリーズ。オーブンレンジの場合、基本的なレンジ機能とオーブン機能は本体から直接操作できますが、スマホアプリと連携することで、アプリに搭載された自動メニューを本体に送信して使います。

  • 基本操作はダイヤルのみ。回したり押したりすることで設定、操作します

さらに別売りアタッチメント「グリル皿」「スチームポット」を購入し、アプリに登録すると、これらを使用した自動メニューも選べるようになり、作れる料理のバリエーションがぐんと広がります。必要な人だけが追加して、マイスペックのオーブンレンジにできる――というわけです。

  • 左が焼き物・揚げ物・トーストなどが作れる「グリル皿」(5,500円)、右が蒸し物・蒸し焼き・ゆで卵などが作れる「スチームポット」(6,600円)

  • 上記アタッチメントを購入してアプリに登録したら、これらを使ったメニューも選べるようになります

メニュー設定はスマホで検索、本体に送信

今回、アプリをダウンロードしたスマホと本体を連携し、グリル皿、スチームポットも登録したことで、一気に多機能になりました。まずはアプリ搭載メニューから、レンジで作れるカルボナーラにチャレンジ。これはボウルだけで作れる、パナソニックが得意とする「ワンボウル」メニューの1つです。

作り方は簡単。半分に折ったパスタ、具、水、オリーブオイルをボウルに入れ、ラップをふわっとかけたら、アプリからNE-UBS5A本体に送信。送信が完了するとNE-UBS5Aのダイヤルが光るので、そこを押せば調理が始まります。もちろん火力も時間も設定いらず。

  • アプリメニューに従って準備が完了したら、送信ボタンをクリック。最後の「スタート」は本体でしか行えません

加熱が終わったら生クリームや生卵などを加え、全体を混ぜ合わせたらカルボナーラの完成! パスタはほどよいアルデンテながらもちっとした食感で、レンチンで作ったとは思えないおいしさ。筆者はフライパンでカルボナーラを作るとき、たまに火加減を間違えてポソポソになってしまうので、このほうが断然ラクで失敗知らずかも。

  • この味なら、来客に出しても恥ずかしくないと思えるクオリティです

ちなみにアプリでレシピ検索すると、グリル皿とスチームポットを使ったメニューも出てきますが、アタッチメントを登録していない場合、メニューには表示されません。筆者はどちらも登録したので、メニューが豊富に出てきます。

  • アプリには、実に多くの魅力的なメニューが表示されます。中には、DEAN&DELCAが考案したメニューも

グリル皿を使ったノンフライ唐揚げが絶品!

さて、次は何を作ろうかとレシピを検索していたら、ふと目にとまったのがグリル皿で作る鶏の唐揚げ。オーブンレンジで作る鶏の唐揚げといえば、ノンフライでヘルシー。これで味がおいしければ言うことありません。

というわけで作ってみました。まずは袋の中で、鶏肉に下味と衣になる小麦粉をつけ、グリル皿に並べます。あとはアプリからメニューを本体に送信し、スタートボタンをプッシュ。ほったらかしで待つだけです。

  • まずは下ごしらえ

  • 衣に卵を入れているので、少し黄色っぽく見えます。筆者が最後に作ったノンフライ唐揚げは卵を使わなかったので、イメージとはちがった味わいになりそう

  • 完成! 衣をたっぷりつけたせいか、少し形が悪くなってしまいましたが、表面はカリッとしています

肝心の味はというと、これまた絶品! 唐揚げかと聞かれれば微妙ですが、中は熱々ジューシー、表面の衣もカリッとおいしく、もう唐揚げじゃなくてもいいぐらいです(どちらかというとピカタ?)。いずれにしても、オーブンレンジとグリル皿の合わせ技で実現したおいしさです。

  • 少し多めに作りましたが、あまりのおいしさにあっという間に完食。揚げなくてもここまでおいしいなら、これをわが家の定番唐揚げにしてもいいくらい

カマンベールフォンデュも作ってみました。グリル皿に野菜や魚介、ソーセージを並べて、真ん中にカマンベールチーズをどーん。あとはアプリ搭載メニューを送信して加熱すると、具材にはしっかり火が通り、カマンベールチーズもとろとろに溶けるので、焼けた具材をつけながらいただきます。

  • グリル皿で作った料理は、そのままテーブルに出せるのも便利。おもてなしメニューの1つとしてキープしたいですね

  • シンプルな鶏の塩焼きも、パリッとした皮の食感と、ふっくら柔らかな肉のうまみが味わえました

スチームポットの多機能ぶりに驚き!

続いてスチームポットで作れるレシピをチェックすると、忙しい朝にうれしい「朝食目玉焼きセット」をはじめ、パエリア、フレンチトースト、焼きそば、お好み焼き……と、通常はフランパンにフタをして作るようなメニューが並びます。これらが、火を使わずほったらかしで作れるのは便利ですね。

この中から絶対に作ろうと思っていたのはフレンチトースト! カフェで食べるほど大好きなので、これがほったらかしで作れたらありがたい。下ごしらえとして食パンを卵液に1時間以上(または前夜から)漬け込んでおく必要がありますが、朝はポットにバターを塗り、砂糖をまぶしたりんご、バターと一緒に、ポットに並べるだけ。

約9分30秒加熱したところ、中はふんわり、裏側にはカリッと香ばしい焼き色がついていました。

  • 裏返してみると、まるでフライパンで焼いたような焼き目が。表面にも焼き色がほしい場合は、裏返したまま追加で4分加熱すればOK

  • これは朝食でもいいし、デザートにもよさそう

チルドぎょうざのレシピもありました。そういえば冷凍庫に、無人販売で話題の「雪松」の冷凍ぎょうざがあったっけ。作り方として正しいかわかりませんが、冷蔵庫に移して解凍してから、スチームポットで焼いてみました。フライパンやホットプレートを使わず焼けるのは便利ですね。焼き目が少し足りなかったので、追加加熱すればよかった。

  • スチームポットの便利さはもちろん、初めて食べる雪松のおいしさに感動。久々に食べる、ニンニクをガツンと効かせたぎょうざでした

ほか便利だったのは、ゆで卵。タンパク質を積極的に摂るために、ゆで卵を食べるのが習慣になっている人も多いと思いますが、スチームポットでもキレイなゆで加減で作れました。

  • スチームポット内にスチームトレイと水を入れ、卵を並べます。フタをして加熱時間は約16分

  • きれいなゆで上がり!

自分で選ぶから機能を使いこなせる

ビストロ NE-UBS5Aをいろいろ使ってみて感じたのは、マイスペックは本当にユーザーに寄り添うオーブンレンジだな、ということ。このシリーズが登場した経緯にもあるように、オーブンレンジは高機能になりすぎて、本体から選ぶことが多すぎたり、レシピブックの番号を入力したりと手間も多く、ユーザーが使いこなせない面もありました。マイスペックのNE-UBS5Aはアプリでレシピ検索し、下ごしらえしてから本体に送信するので、調理の手順にも操作にも迷いがありません。

オーブンレンジとしての基本機能も優秀なので、自動メニューはそんなに使わない(でもたまには使いたい)人にもちょうどいい。グリル皿とスチームポットは使いたい人が追加購入するものなので、ムダになることも少なく、スムーズにすべての機能を使いこなせます。個人的には、ぜひグリル皿とスチームポットの両方を用意して、簡単においしい料理が作れる楽しさを味わってほしいと思っています。