みなさんはお持ちの家電の機能を使いこなしていますか? 「どうせ買うなら1台でいろいろできるものを」――と多機能な高級家電を買ったはいいけれど、実際に使うのは基本機能ばかりだった、操作が複雑で使いこなせなかった、という経験をお持ちではないでしょうか。

そんな家電製品の多機能化に一石を投じる調理家電として、パナソニックが2021年9月、「マイスペック」シリーズを発売しました。「フルスペックよりマイスペック」をキャッチコピーに、基本機能はシンプルなものに絞りつつ、必要な機能は後から追加できるという、まさに自分仕様の家電です。現在、IoT対応の調理機能付きIHジャー炊飯器「ライス&クッカー SR-UNX101」と、オーブンレンジ「ビストロ NE-UBS5A」の2種類が発売されています。

  • 今回は、こちらのIoT対応の調理機能付きIHジャー炊飯器「ライス&クッカー SR-UNX101」をレビューしました

  • マイスペックシリーズとして登場した2機種。シンプルなデザインも、「フルスペックよりマイスペック」のコンセプトを体現しています

そこでまずは、ライス&クッカーを使ってみました。炊飯容量は0.5合〜5.5合炊き、2021年12月上旬時点の実勢価格は46,000円前後です。結論からいうと、共働きのわが家にも使いやすく、家電選びの新たな指針を与えてくれた調理家電でした。

よく使う炊飯コースを3つ登録。炊き上がりに大満足

このライス&クッカーは何ができる調理家電なのかを説明しましょう。見てのとおりベースは炊飯器で、米をおどらせることでふっくら炊き上げるパナソニックの炊飯器ブランド「おどり炊き 大火力IH」を採用しています。一般的な炊飯器と明らかに違うのは、操作ボタンらしきものがなく、デザインがシンプルなこと。天面の電源マークを触ると、「切/保温」「予約」「コース」「炊飯」の文字が浮かび上がります。

  • 使わないときに見えるのは、右下の電源ボタンのみ。触ると文字が浮かび上がります

「コース」ボタンを押すと、順に「コース1」「コース2」「コース3」と変わりますが、そもそもコース1って何……? こういった基本設定を行うのが、Wi-Fiで連携したスマートフォンにダウンロードする専用アプリ「KitchenPocket(キッチンポケット)」です。多機能な炊飯器は、炊き方を細かく設定できる半面、その操作が複雑で苦手という人も多いと思います。ライス&クッカーの場合は、KitchenPocketアプリ側でよく使う機能を3つ、コースに振り分けておくことで簡単に炊飯できるというわけです。

さらに「クッカー」という名前が表しているように、調理機能も搭載しています。最近は炊飯器を使って料理を作る人も増えていますが、ほとんどが通常の炊飯機能で調理しています。その点このライス&クッカーは、調理専用のプログラミングを搭載しているため、より調理に適した加熱ができるのです。現在搭載されている自動メニューは15種類(2021年11月末現在)で、随時新レシピも追加される予定。また手動メニューとして、加熱時間を1〜90分で設定でき、いずれも操作はKitchenPocketアプリで行います。

今回はまず、3つの炊飯コースを設定しました。白米と無洗米それぞれに「銀シャリふつう」「早炊き」など13種類、ほか玄米ごはん、雑穀米などのコースもあります。そこで、コース1は「白米銀シャリふつう」、コース2は「白米冷凍用」、コース3は「玄米ごはん」に設定。

  • 玄米を食べることも多いので、コース3は玄米ごはんに設定しました

ポイントはコース2に設定した「冷凍用」コースです。近年、夜に帰宅してからごはんを炊くと時間がかかるため、週末などにまとめ炊きして冷凍しておき、再加熱して食べる人が増えている――というニーズに応えた機能です。冷凍ごはんをおいしく再加熱できます。週に1〜2回ごはんをまとめ炊きするとなると、炊飯器は週に5〜6日は休眠状態になるため、その間は調理に使おう!というのも、このライス&クッカーの提案です。

というわけで、「コース1」(白米・銀シャリふつう)でごはんを炊いてみました。すでにKitchenPocketアプリで設定してあるので、操作としては本体の電源マークをタッチ、コースを選んで「炊飯」をタッチするだけ。52分で炊き上がりました。

さて肝心の味は……食感はもっちりみずみずしく、口に入れた瞬間にお米の甘みと香りが感じられます。一言でいえば、とってもおいしい! 試食のつもりが、パクパクと茶わん1杯食べ切ってしまいました。

  • フタを開けると、ふっくらツヤツヤのごはん!

  • ふっくらやわらかめに炊けました。私はかなり好きな食感ですが、好みにあわせて「かため」「やわらかめ」も設定できます

続いて玄米も。玄米は炊き方によっては硬くておいしくないため、以前は長時間水に浸けたりといろいろ工夫していましたが、最近の炊飯器は玄米モードがとても優秀。このライス&クッカーもやわらかく炊け、玄米の内側から甘みをしっかり引き出していておいしく食べられました。まずは炊飯器としての機能が十分であること実感!

  • 硬いと食べにくい玄米も、中までふっくら食べやすく炊き上がりました

電気調理鍋としての機能と性能は?

さて次は、楽しみにしていた調理機能です。炊飯器なのに、材料を入れるだけで自動で調理してくれる電気調理鍋機能も搭載しているなんて。新しいしお得感もあるし、おいしくできたらいいなと期待値マックス。はじめに電機調理鍋の定番、おいしいカレーを作ってみました。

カレールウ以外の材料を切って内釜に入れたら、アプリの「自動調理」から「カレー」を選び、「炊飯器へ送信」ボタンを押します。すると炊飯器の「炊飯」ボタンが点灯するので、炊飯ボタンを押したら調理が始まりました。自動メニューを本体で設定する場合、意外と複雑になりがちですが、アプリなら表示された順に選ぶだけなので迷うことがありません。

  • 玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、肉と水を入れます

  • アプリで「カレー」を選び、「炊飯器に送信」をタップ

  • 「炊飯」マークが点滅を始めたので、ここを押すと加熱調理が始まりました

さあ、カレーを作っている間に、ささっとサラダの準備。当然、カレーの調理中はごはんを炊けないので、今回は別の炊飯器で炊いておきました。時間があれば、あらかじめライス&クッカーの「冷凍用」モードで炊いて、冷凍しておくといいということですね。さらに時間が余ったので食器を洗い、お風呂を洗い……。まだ時間があったので、ソファでテレビを見ながらくつろいでいると、スマホに「炊飯/調理が完了しました」とのお知らせが。カレーの場合、ここでカレールウを投入して溶かし、フタを閉めて5分ほど置いたら完成です。

  • とろっとろのカレーが完成! 見てわかる、これはおいしいやつです

  • 深みのある味わいで、家族からも大好評!

さっそく食べてみたところ、とにかく野菜のうまみがすごい! 完成までにかかった時間は40分程度でしたが、もっと長く煮込んだようなおいしさでした。いつものカレーを食べ慣れている家族も「おいしい!」を連発。おかわりが続いて4人分では足りませんでした(笑)。

次に作ったのは、子どもが大好きなミートソースです。こちらの下準備は簡単で、ニンニク、玉ねぎ、にんじん、セロリをフードプロセッサーでガガっとみじん切りし、合いびき肉を混ぜ、トマトの水煮など調味料を入れるだけ。あとはカレー同様、アプリで設定してライス&クッカー本体に送信し、炊飯ボタンを押しました。

  • みじん切りもフードプロセッサーを使えば一瞬。時短に時短を重ねます

  • 合いびき肉やトマト缶、調味料と混ぜ、内釜にイン!

今回もできあがるまでにサラダを準備し、時間を見計らってパスタを茹でておけばOKです。自宅でミートソースを作るのは久しぶりでしたが、肉のうまみを感じるおいしいミートソースが完成しました。こちらも大成功です。

  • 簡単においしいミートソースパスタが作れました。パスタは全粒粉タイプです

さらに電気調理鍋といえばの肉じゃがにチャレンジ。こちらも、じゃがいもの中までしっかり味が染み、文句なしの仕上がりです。

  • じゃがいもはホクホクに、玉ねぎやにんじんは甘く仕上がりました

気になるニオイを取り除いて、スイーツにもチャレンジ

ここで気になったのが、ライス&クッカーについたニオイです。炊飯器でカレーやミートソースを作ったら、次にごはんを炊いたときにニオイが移ってしまうんじゃ……。パナソニックに確認したところ、まず内釜にはニオイは残らないそうですが、内フタのパッキン部分にニオイが残ることがあるそう。実際、洗った後に鼻を近づけてみたら、やはり少し残っていました。残ったニオイは蒸気で外に出るため、ごはんに移ることはないそうですが、部屋にニオイが漂うのもイヤですよね。

  • 料理完成後は、内釜、内フタやパッキンにニオイがついていることも

そんなときは、アプリ上にある「こんなときは」の「内容を確認する」から、お手入れ方法を確認し、お手入れ機能を本体に送信できます。操作としては、内釜に水だけを入れて炊飯モードを実行するものです。

  • 炊飯器に料理のニオイがつくのがイヤ……という声にも応える機能を搭載

最後にスイーツも作ってみました。スイーツのレシピは現在のところ、「プレーンケーキ」「豆乳と抹茶のケーキ」「チーズケーキ」の3種類あったので、プレーンケーキをセレクト。ホットケーキミックスを使う炊飯器メニューの定番ではありましたが、さすが専用プログラムだけあって、絶妙な焼き加減のキレイなできあがり。ちょうど来客があったので、生クリームといちごでトッピングし、おいしいコーヒーと一緒にお出ししたら喜ばれました。

  • 簡単な材料で、キレイな焼き上がりに

  • 少し弾力があるケーキに仕上がりました。ホットケーキより卵や砂糖を多めに加えることで、スイーツ感がアップしています

ほか、世界の食品が楽しめるとして人気のDEAN&DELCAのレシピも搭載されているため、次回チャレンジしてみたいと思っています。

ライス&クッカーで気になっていたはやはり調理機能ですが、数々の電気調理鍋や電気圧力鍋を愛用している筆者から見ても、調理のクオリティは十分! ほとんどの操作がスマートフォンアプリというのも、メインターゲット層となりそうな30代前後のユーザーなら戸惑うことなく使えそうです。1台でごはんがおいしく炊けて調理もでき、操作もサクサク。まさにこれからの時代にぴったりの調理家電だと感じました。