ゼッタリンクスと東日本電信電話(NTT東日本)は9月14日および15日に、コミュニケーションロボット「Sota(ソータ)」を活用して、英語学習とプログラミング教育を融合した実証実験を行った。上野中学校(東京 台東区)で行われた実際の授業に参加してきたので、その様子をお届けする。

  • 授業中の教室の様子

「Sota」はヴイストン社製のロボットであり、NTT東日本が展開するクラウド型ロボットプラットフォームサービス「ロボコネクト」に対応する。インテリジェントマイク技術を搭載しており明瞭な集音が可能で、人とのスムーズな会話は日本語だけでなく、多言語対応オプションによって英会話も可能だ。身振り手振りを伴ったコミュニケーションまで取ることができる。

  • コミュニケーションロボット「Sota」

授業では、ゼッタリンクスが開発したプログラミング教育ツール「Sotaとはじめるプログラミング」が使われた。指定したブロックを組み合わせてロボットの動作や会話文をプログラミングを行い、プログラミング的思考を学べることを目的に開発されたという。

  • 実際に授業で配布されたプログラムのサンプル

人が発してSotaが聞き取った言葉をトリガーに、その後の動作を指定する条件分岐も可能だ。さらに、Sotaが話す言葉や動作に合わせて、パソコンの画面に写真や画像を表示させることもできる。

  • 授業中に生徒が作成したプログラム

今回の授業に参加したのは2年生である。授業科目は総合的な学習の時間の時間だ。授業内容は、都内への外国人観光客向けにロボットを活用して観光地や文化を案内するという想定のもの。

地元地域である上野周辺をテーマに、東京の伝統と文化を象徴する建造物や観光名所などに関する調べる学習も兼ねているという。なお、当日プログラミングを行うまでに、英作文やプログラミングの仕組みの理解など、事前に2時間から3時間程度の準備を行っているとのことだ。

  • 授業のテーマは「東京の文化を英語で紹介するロボットを作ろう」

その情報を基に、ロボットが東京の文化を正確かつ分かりやすく海外からの旅行者に伝えるために、双方向性のあるコミュニケーションとなるような会話文やアクションを設計する。その後、5人程度のグループに分かれてプログラムを組むところまでが、一連の流れである。

  • 生徒は事前に英語の会話文と、それに伴うアクションを設計して準備してきている

授業に参加した生徒は「自宅ではあまりパソコンを触らないので、文字を入力するところが大変だった。条件分岐はドラッグ&ドロップで設定できるので、パズルを組んでいるようで楽しい。もっとプログラミングを勉強したい気持ちが出てきた」と感想を述べた。

  • タイピングに苦労する生徒が多いようだ

学年主任の森先生は「生徒たちがプログラミングを学ぶことで、論理的思考力を身に付けてほしいと思い授業を計画した。子供たちがこの先の人生を進んでいく中で問題に直面した時に、原因を分解して論理的に解決していく技能を持っていてほしい」とコメントした。

  • グループでSotaの行動プランを設計する生徒の様子