今回の話題はOfficeアプリのChromebookサポート終了と迷ったが、Windows 11のMicrosoft Storedがサポートするアプリの範囲拡大について述べたい。現在、Windows 11 Insider Preview(ビルド22000.160)のMicrosoft Storeプレビューでは、Win32アプリのVisual Studio 2019やVisual Studio Codeが検索にヒットし、そのままインストールできる。
当初のMicrosoft Store(旧Windows Store)は動画や音楽コンテンツに加えて、Windows 10で動作するアプリを提供していたが、その範囲はUWP(Universal Windows Platform)アプリに限定していた。Microsoft Storeの成り立ちはWindows 8やWindows Phoneの時代までさかのぼるのが正確なのだが、ここではWindows 10以降に限定して見ていく。
MicrosoftはUWPを新たなプラットフォームとして推進していたものの、笛吹けど踊らず――、多くの開発者はそれまでのWin32もしくは新たなWeb開発環境に注目し、Microsoft Storeが盛り上がりを見せることはなかった。厳密にはMSIX(旧APPX)を用いることでWin32アプリの配布も可能だったが、従来の配布方法を上回るほどの利点を得られなかったからか、広まっていない。
そこでMicrosoftの方針が変化したのは2019年5月ごろ。公式ブログでWin32ゲームをサポートすることを明かした。同月にはUWPベースの旧Microsoft Edgeから、現在のMicrosoft EdgeをメインのWebブラウザーとするため、Googleとの協業も表明している。
この判断を下すまでには、Microsoft Storeから特定アプリのパッケージを排除するといった紆余曲折を経てきた。2021年6月にWindows 11の発表と相まって、Win32、.NET、UWP、Xamarin、Electron、React Native、Java、そしてPWA(プログレッシブWebアプリ)など、フレームワークやパッケージ技術を問わずに多くのアプリを配布可能にすることを公式ブログで発表した。冒頭で紹介したVisual Studioの配布開始も本施策の一環である。
ただし、本稿執筆時点でMicrosoft Storeの改善はWindows 10にバックポートされていない(Microsoft Storeのバージョンは12107.1001.15.0)。念のためWindows 10 バージョン21H2 Insider Preview ビルド19044.1200でも検証してみたが、結果は一緒だった。
Microsoft Store自身の利便性は改めて述べるまでもなく、Microsoftアカウントで登録したデバイスであれば、アプリを自由にインストールできる。GUI操作を不便に感じるのであれば、Windows Package Manager(winget)という選択肢も用意された(現時点でリポジトリー登録アプリは少ないが)。さらに今後は、Amazonアプリストア経由でAndroidアプリもサポートされるという。Windows 11ではMicrosoft Storeの存在感が再び増しそうだ。