米Microsoftは8月27日(現地時間)、開発中の「Windows 11」の最小システム要件を更新し、サポートする64-bitプロセッサを拡大した。正式版の最小システム要件はほぼ固まりつつあり、アップデートに備えてユーザーがPCの互換性を確認できるチェックアプリ「PC正常性チェックアプリ(PC Health Check app)」のテストをWindows Insiderプログラムで開始した。また、米国のいくつかのメディアの報道によると、正式版リリース後にMicrosoftは最小システム要件を満たさないデバイスを完全に除外せず、開発者などがサポート外のデバイスに手動でWindows 11をインストールするオプションを用意するとのこと。

Windows 11が動作するプロセッサの要件は「動作周波数1GHz以上で2コア以上の64-bitの互換プロセッサまたはシステムオンチップ(SoC)」で、さらにMicrosoftがWindows 11で目指す体験や機能を実現するための三原則を満たすプロセッサに絞り込まれる。6月末のWindows 11発表時点で、「Microsoft SQ1/SQ2」など一部のQualcommプロセッサ(ARMアーキテクチャ)のほか、Intelの第8世代Coreシリーズ以降、AMDのZen 2アーキテクチャ以降がサポート対象だった。さらにIntelの第7世代CoreシリーズやAMD Zen 1も三原則を満たせるか、PCベンダーやWindows Insidersなどと検証していた。

その結果、今回の更新で以下の64-bitプロセッサが追加された。

  • Intel Core Xシリーズ、Xeon Wシリーズ
  • Intel Core 7820HQ (Surface Studio 2などDCHドライバを採用したシステムに限る)

第7世代Coreについては基準を満たすPCモデルが確認されたが、Zen 1についてはAMDとの慎重な分析の結果、サポートリストへの追加が見送られた。

Windows 11は、モダンなハードウェアとの組み合わせで、ビデオ会議やリモートでの生産性、ゲーミングなど新しいPCの使い方に最適化した体験を提供し、深刻化するサイバー攻撃に対抗するWindowsセキュリティを引き上げるように設計されている。そのためハードウェア要件が厳しく、今回の最小システム要件の更新でも期待されていたような規模の追加にならなかった。Microsoftによるとシステム要件を満たさないデバイスとの組み合わせではカーネルモードのクラッシュが52%増加するなど信頼性が低下する。Windows 11にアップグレードできないWindows 10 PCが数多く残されそうだが、MicrosoftはWindows 10のサポートを2025年10月14日まで継続しながら時間をかけてWindows 11への移行に取り組む。

一方で、Windows Centralなどが、アップグレード対象外のデバイスにWindows 11をインストールできる"抜け道"が用意されると27日に報じた。

メディア作成ツール(Media Creation Tool)で作成したインストールメディアを使った手動インストールで、公式サポート外のデバイスでも多くにWindows 11を導入できるという。例えば、Windows 11の最小システム要件ではTPM(Trusted Platform Module) 2.0が条件であるのに対して、TPM 1.2でもインストールできるそうだ。Windows CentralなどはMicrosoftからの情報として報じているが、Microsoftは手動インストールのオプションについて公式ブログやサポート情報で触れていない。Windows Insiderプログラム参加者がサポート外のPCでWindows 11を試用し続けるためのオプション、デバイスを買い換える前にWindows 11を体験したい人向けのオプションなどが指摘されているが、現時点で真偽や詳細は不明だ。