ここからは性能チェックに移りたい。本機にはASUSのノートPCではおなじみの、動作モードとして性能を絞って動作音を静かにする「サイレント」、標準的な設定の「パフォーマンス」、オーバークロック動作で処理速度をアップする「Turbo」が用意されている。まずは、定番ベンチ「PCMark 10」、「3DMark」、「CINEBENCH R23」で動作モードごとの性能を見てみたい。

  • モードの設定はArmoury Crateで行える

  • PCMark 10 v2.1.2177の結果

  • 3DMark v2.12.6964の結果

  • CINEBENCH R23結果

PCMark 10のスコアは、8コア16スレッドのCPUだけどのスコアも優秀だ。しかし、サイレントモードでは静音性を優先するためにCPU性能をかなり抑えるため、スコアは大きくダウンする。3DMarkやCINEBENCH R23でも同じ傾向だ。重量級のゲームをプレイする際や動画編集やエンコードなど負荷の大きい処理をするなら、パフォーマンスモードかTurboモードに設定するのがいいだろう。

ちなみに、挙動でユニークなのがサイレントモードに設定するとノートPC向けのRTX 3000シリーズに搭載されている、ファンの動作音を抑える「WHISPERMODE 2.0」が自動で有効になること。WHISPERMODE 2.0が有効になると、ゲームのフレームレートは最大60fpsに絞られるため、GPUの負荷が減って温度が上がらなくなるため、冷却のためのファン動作も静かになるという仕組み。動作の軽いゲームで60fps出れば十分、深夜にゲームをするときファンの音を最小限にしたい、なんて場合にはあさてサイレントモードを使うのもアリだろう。サイレントモードではCPUやGPUの温度が低いときはファンが停止するようになるので、静かに動画を楽しみたいという場合にも有効だ。

  • サイレントモードにするとGPUの「WHISPERMODE 2.0」が有効になる

  • WHISPERMODE 2.0有効時はフレームレートは最大60fpsに絞られる。ベンチマークを動作させると、最大60fpsまでしか出ないのが分かる

ストレージの性能も見ておこう。今回の試用機にはSamsungのMZVL22T0HBLB-00B00が搭載されていた。CrystalDiskMark 8.0.3の結果を見ると、シーケンシャルリードは7096.73MB/s、シーケンシャルライトは5123.36MB/sとNVMe SSDとして最速クラス。ゲームのロード時間で不満を感じることはないだろう。

  • SamsungのMZVL22T0HBLB-00B00を搭載

  • CrystalDiskMark 8.0.3の結果

続いて、各モードのCPUとGPUの動作クロックと温度を確かめてみたい。OCCT 8.2.5の電源テストを10分間動作させたときのCPUとGPUの動作クロックをHWiNFO64 v7.05で追っている。

  • CPUとGPUクロックの推移

  • CPUとGPU温度の推移

CPUクロックはTurboモードだと全コア約2.6GHzでビタッと安定。GPUクロックも1.32GHz前後と3つのモードの中で一番高いクロックで安定している。サイレントモードに注目すると、GPUクロックが上がったり下がったりを繰り返している。これは、GPU温度が高くなるとファンを回転させるのではなく、GPUクロックを下げることで温度を下げている。性能を犠牲にして静音性を高めているのがよくわかるテスト結果だ。

CPUとGPU温度の推移に関しては、どのモードでも2分過ぎからは80度以下でコントロールされている。当然ファンの動作音はTurboモードが一番大きくなるが、モードに関係なく温度はうまく調整されているのがわかる結果。これなら、どのモードでも安心して長時間使用できるだろう。

ここからは、実ゲームのベンチを紹介していきたい。軽めのゲームとしてFPSの「レインボーシックス シージ」、中量級のゲームとして「Apex Legends」、レイトレーシング対応の重量級ゲームとして「バイオハザード ヴィレッジ」、さらにレイトレーシングとDLSS両対応の重量級ゲームとして「サイバーパンク2077」を用意した。モードは「Turbo」に設定し、フルHD/WQHD/4K解像度でテストを行っている。

  • レインボーシックス シージのベンチマーク結果

レインボーシックス シージは内蔵のベンチマーク機能で測定した。比較的軽めのゲームなので、4K解像度でも平均130fpsと120Hzの高リフレッシュレート液晶を活かせるフレームレートを出している。

  • Apex Legendsのベンチマーク結果

Apex Legendsはトレーニングモードで一定のコースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測している。すべての画質を一番高く設定している。WQHDなら最小でも127.3fpsと120Hzのリフレッシュレートを最大限活かせるフレームレートを出した。4Kでも平均106.7fpsと十分快適にプレイが可能だ。

  • バイオハザード ビレッジのベンチマーク結果

バイオハザード ビレッジはマップの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。画質は最高の“限界突破”に設定した上で、レイトレーシング関連の設定もすべて一番高くしている。かなり重たい設定ではあるが、4Kでも平均59.3fpsと十分プレイできるフレームレートを出した。

  • サイバーパンク2077のベンチマーク結果

サイバーパンク2077はマップの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで測定している。画質は“レイトレーシング:ウルトラ”に設定、DLSSは“バランス”とした。さすがにレイトレーシング関連の設定を高くすると描画負荷を軽減するDLSSを使っても動作は重め。平均60fpsを超えるのはフルHDだけだ。WQHDでも平均54.6fpsとプレイできるだけのフレームレートは出せている。

最後に、ROG Zephyrus S17 GX703HSは4K&120Hzという、液晶ディスプレイ単体でもまだ少ない4Kでの高リフレッシュレート仕様を実現。解像度にも描画速度にもこだわりたいゲーマーも満足できる1台。性能もノートPCとして最高クラスがあり、軽めのFPSなら4Kでも高リフレッシュレートが出せ、フルHDやWQHDならレイトレーシングをゴリゴリに効かせた重量級ゲームも楽しめる。価格は高いが、それだけの満足が得られるゲーミングノートだ。