インテルが24日、日本国内の記者向けに、同社のクライアント・コンピューティングの取り組みに関しての最新情報をアップデートするオンライン説明会を開催した。今月前半に米国本社が発表したTiger Lake-Hこと、第11世代Intel Core Hシリーズプロセッサについての解説が主な内容だ。
Tiger Lake-Hの性能にかかわる技術面のポイントについては、インテルの技術本部部長で、工学博士でもある安生健一朗氏が解説した。
最初に言及された特徴は、新たにCPU側へ内蔵された20レーンのPCI Express 4.0についてだ。このPCIe Gen4への対応でIntelはAMDの後塵を拝していたが、Tiger Lake-HではPCIe Gen4 x20をCPUに内蔵。計20レーンのうち16レーン分がディスクリートGPU、4レーン分がSSDなどストレージ接続に使用できる。なお、PCHのIntel 500シリーズチップセットとはDMI 3.0のx8接続で、このPCH側にPCIe Gen3 x24を備えるので、プラットフォーム全体では44レーンのPCIeを使えることになる。
ほか、最大32EUへと控えめだがXe GPUを統合、Intel Optaneメモリ H20への対応、帯域が最大40GbpsのThunderbolt 4、Intel Killer Wi-Fi 6E(Gig+)の搭載などが特徴だと説明があった。Killer Wi-Fiは、Intelが開発元のRivet Networksを買収したことで手に入れたゲーミング用途の高速Wi-Fi機能で、通信パケットを特定することでゲーム用パケットを優先するなどし、ゲームプレイ時の通信速度・レイテンシを高速化するといったユニークな技術が用いられている。
Tiger Lake-HのCPUコアは、Ice Lake世代における「Sunny Cove」の改良型で、10nm SuperFinプロセスがベースの「Willow Cove」マイクロアーキテクチャだ。動作周波数の引き上げと電力効率の改善が施されており、Tiger Lake-Hはモバイル向けプロセッサでありながら最大5.0GHzという高い動作周波数を実現している。これが実性能にどの程度貢献するのか、実際に前世代プロセッサや競合のAMDプロセッサと性能比較した結果、ゲーム用途やクリエイティブ用途など、複数のシナリオで優位な性能を発揮したというデータも示された。
インテルの執行役員で、パートナー事業本部 本部長の井田晶也氏は、Tiger Lake-Hの仕上がりについて「非常に充実した内容」と胸を張った。コロナ禍によるリモートワークの要請など、ビジネス環境の複雑化が加速しているなかで、大幅な性能・機能向上ができたTiger Lake-Hでそれら複雑化する環境に対応すべく、新たな基準に出来るよう取り組んでいくとした。