長崎大学と京セラは7月14日、長崎大学の潮流発電技術 と、京セラのIoT関連技術を融合させることで、安定した海洋データの収集を可能とする「エナジーハーベスト型スマートブイ」を開発したと発表した。
長崎大学は、長崎県が水産資源の活用を進めていることもあり、海洋再生可能エネルギーや次世代型東食技術の開発を進めてきたという。しかし、海洋ゴミをはじめとする海洋汚染や海水温上昇による生態系の変化などがあり、より詳細に海の状況を知る必要が、持続可能な社会の実現のために必要となってきたという。しかし、海上で電源を供給し続ける仕組みを構築することは難しく、その解決が求められていた。
そこで今回、両者は海洋データ収集に必要な電力を、ブイに搭載した潮流発電システムで賄う「エナジーハーベスト型スマートブイ」を開発。試作機による実海域試験にも成功したという。
試作機は、潮流発電システムと54,000mAの二次電池を組み合わせた電源ユニットに、京セラが開発したGPSマルチユニットとセンサを組み合わせたもので、ブイと発電部が分離した「SLTT(Small Lens type Tidal Turbines)」タイプとブイに発電部が直結している「VTT(Vertical axis Tidal Turbines)」タイプの2種類を用意。SLTTは、タービンの周りにディフューザーをつけることで、保護とともに潮流の増速効果を狙っているという。一方のVTTは、潮流によってブイが傾くことを考慮し、AIを活用して設計したという。
また、実海域試験は、大潮から小潮までの9日間にわたって、内蔵された加速度センサ、温湿度センサ、地磁気センサに加え外部接続した電磁流速計から水温、流速、流向、およびバッテリー電流、電圧など計21チャンネルのデータをセンシングし、クラウドへの送信を行い、実用に耐えられることを確認したという。
なお両者は今後について、水温塩分センサ(水温、塩分、電気伝導電導度、クロロフィル濁度センサ(クロロフィル、濁度、水温)、DOセンサ(溶存酸素、水温)や水中カメラのサポートを計画しているとしているほか、長期間の安定稼働を実現するための性能改善や、商用利用を念頭に置いた機能追加、小型・軽量化などを進めていくとしている。また、長崎県を中心とした実証フィールドを活用し、実用化を目指すとしている。