Microsoftが米国時間2021年6月24日に表明したとおり、Windows 11 Insider Previewは同28日に配信された。その翌日は取材や締め切りがなかったので夜半に祝杯を挙げながら、システム要件を満たした各デバイスでWindows Updateを実行。特段の問題もなく更新は完了した。

  • 「Windows(Dark)」テーマを適用したWindows 11 Insider Preview

    「Windows(Dark)」テーマを適用したWindows 11 Insider Preview

注目したいのはバージョン情報。Windows 11 Insider Previewのバージョンは21H2だ。現在、Windows Insider Programのベータチャネルでは、Windows 10 21H2の配信・検証を行っているが、Windows 10の2025年というサポート期間を踏まえると、2021年秋にはWindows 10の新バージョンとWindows 11の正式版が登場するだろう。

Windows 11はWindows 10 Insider Preview(Devチャネル)を基盤に開発を進めているOSのため、クリーンな環境であれば問題が生じるはずもない。UI周りの新鮮さや機能強化を見ると、メインPCにもインストールしたくなる。ただ今回、Windows 11 Insider Previewをインストールした一方のデバイスでは、OneDriveクライアントがプロセスから消えてしまう場面が多発し、Windows Terminal Previewのみインストールしていると、「Win」+「X」メニューの「Windows Terminal」が無反応といった現象も。いずれもプレビュー段階ということで、さほど気にしてはいない。

  • ネットワーク設定情報。DNSサーバーの情報を見ると、DoH(DNS over HTTPS)をサポートしていることを確認できる(Windows 10もDoHを使用できるが項目内容は変更されない)

さて、発表から数日後の配信開始までの間、システム要件にまつわる情報が錯綜(さくそう)した。これまで消費者向けPCでは重視されてこなかったセキュリティ要素の「TPM(トラステッド プラットフォーム モジュール)2.0」が必須となり、CPU要件も第8世代Intel Core以降やAMD Zen 2以降としている。なお、Microsoftは6月28日に、第7世代Intel Core、AMD Zen 1を対象に含む可能性があると方針変更した。

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このような判断の背景には、Windows 11でVBS(仮想化ベースのセキュリティ)を広める意図があるのではないだろうか。近年はPCやOSのセキュリティがより重要となり、コロナ禍でゼロトラストモデルへの移行も加速的に進んでいるが、VBSが提供するハードウェア仮想化機能でメモリーを分離し、マルウェアなどの攻撃からホストOSを保護する重要性が高まっている。

Microsoftの公式ブログでも、最小システム要件を定義した第一の理由にセキュリティを掲げていた。筆者はVBSをフルサポートしているCPUを型番レベルまでは把握していないが、CPUモデルの制限はその意思の表れなのだろう。

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Windows 11 Insider Previewのリリース時点では、TPM 2.0およびCPUのシステム制限は設けられていない。PCに精通しているユーザー向けのInsider Preview Devチャネルだが、Windows 11に興味があればWindows Insider Programに参加し、Windows 11 Insider Previewをインストールして新しいWindowsが作り出す世界を堪能してほしい。手元に古いPCが残っていたら、そちらにインストールすることをおすすめする。