米国の半導体市場調査会社IC Insightsによると、1998年以降、IC市場におけるシェアを着実に伸ばしてきたのは通信用ICと車載ICだけで、中でもスマートフォンが普及したおかげで、通信用ICは1998年の市場シェア18.5%から2020年には35.0%へとシェアを伸ばしてきたという。

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    主要アプリケーションごとのIC市場シェアの変遷 (出所:IC Insights)

一方の車載ICの市場シェアは1998年の4.7%から2019年には8.7%まで増加した後、新型コロナウイルスに悩まされた2020年は7.5%へと下がったものの、2021年は前年比25%以上の成長率を示すとIC Insightsは予測しており、まだまだ成長が続く見込みだという。ただし、車載半導体市場は、全IC市場シェアの10%にも満たないことに留意する必要がある。

多くの半導体メーカーにおいて車載ICの売上高は全体のごく一部にすぎず、そのためファウンドリトップのTSMCであっても、車載アプリケーション向け半導体売上高が全体の5%以上を占めたことはない。しかも、車載ICの製造には、最先端プロセスは必要が無く、メモリを除けばその多くが200mmウェハで製造されているが、厳格な信頼性とテスト要件を厳密に順守し、ICメーカーが顧客の長いライフサイクルニーズに対応することを約束する必要がある。また、車載ICのエンドユーザーは、交渉が厳しいことで有名であり、車載ICサプライヤはわずかな利益しかありつけない場合がよくあることも知られている。

車載ICの多くが不足しているとされるが、その平均販売価格はほぼ一定に保たれている。例えば、自動車用特定用途向けICの平均販売価格は2020年には0.96ドル(2020年の特定用途向けIC市場平均価格と比べ15%低い)で、2021年第1四半期においても0.95ドルであったという。

半導体不足に端を発する自動車工場の操業停止などで、多くのメディアが注目しているが、車載IC市場そのもののサイズが比較的小さいことを考えると、自動車セグメントの力強い成長がなされたとしても、2021年のIC市場全体の成長率を大幅に引き上げる効果があるとは予想しがたい。実際、2021年第1四半期の車載IC市場の前年同四半期比の成長率は23%で、IC市場全体の成長率とほど変わりがない結果となっている。