シャープが発表したハイエンドスマートフォン「AQUOS R6」。その最大の特徴がカメラです。ドイツの名門カメラメーカーであるライカと協業し、スマートフォン最大級の1インチという大型センサーを搭載しました。大注目のAQUOS R6(SH-51B)を、NTTドコモの新スマートフォン体験会で触ってみました。
1インチ&ライカレンズとてんこ盛りのカメラ
1インチというサイズのセンサーは、デジタルカメラでも「高級コンパクトデジタルカメラ」と呼ばれる製品が採用することの多いサイズです。スマートフォンとしては破格の大型サイズで、前モデル「AQUOS R5G」の1/2.55インチと比べて約5倍の大きさとなります。
センサーサイズが大きくなると何がよいか、というと、画質が向上します(より多くの光を取り込み、明るい画像/映像が映せるため)。その代わり、薄型のスマートフォンに内蔵するには難しい部分もあるので、これまでなかなか搭載メーカーが出てきませんでした。
過去にはパナソニックが「LUMIX DMC-CM1」という1インチセンサー搭載スマートフォンを発売したこともありますが、こちらはスマートフォンではなく「コミニュケーションカメラ」という位置づけ。どちらかというとカメラが主軸で、「通信機能付きカメラ」という製品でした。
LUMIX DMC-CM1では、カメラ起動時にレンズがせり出す沈胴式を採用したため、スマートフォンサイズの厚みに巨大センサーを収められていました。今回のAQUOS R6では防水性能や堅牢性などを踏まえて、スマートフォンを主軸とした形にこだわったため、1インチセンサーの搭載はより制約が大きかったと思われます。
室内環境でポインコぬいぐるみを撮影してみる
AQUOS R6のカメラ部分はそれなりに出っ張っていますが、センサーサイズを考えるとよく健闘したという印象です。このぐらいなら、通常のスマートフォンとしても十分使えるでしょう。AQUOS R6の試作機で、体験会場に仲良く座っていたポインコを撮影してみました。
本体サイズは162×74×9.5mmと、厚みが9.5mmしかありません。この薄さに大型センサーとレンズを収めきったぶん、色々なしわ寄せもありそうです。特にレンズはかなり無理をしている印象でした。
搭載レンズは非球面レンズを含む7枚構成で、35mm判換算19mmという超広角レンズを採用。メインカメラは24mm相当ですが、これは19mmのレンズでクロップした上でデジタル処理で2,020万画素の画像にしているそうです。
実際に撮影してみると、19mm撮影では周辺が流れます。特に近接撮影時に顕著なようで、19mmは風景撮影用となりそうです。24mm相当にすると、クロップしていることから、周辺の画質低下は減るようです。ただ、背景ボケにコマ収差などの収差が残っているなど、レンズで無理をしている様子がうかがえます。
試用時は室内撮影だったので環境的な条件が悪かったのですが、ピタッとはまるとかなりの画質になりそうで、条件が良ければ1インチセンサーの実力が発揮されそうです。ただ、光学式の手ブレ補正がないこともあって、なかなか使い方の難しいカメラになりそうな印象です。
逆に言えば、1インチセンサー、ライカレンズ、ライカ監修というキーワードにはまる人なら、いろいろ楽しめるカメラではないかと思いました。
また、動画は4Kどまりですが、とにかく強力な手ブレ補正機能を備えており、動画撮影にも向いています。動画撮影中にAIがシーンを認識して静止画を記録してくれる機能も、動画と静止画を切り替える必要がなくて便利そうです。手ブレ補正は別記事でも紹介しています。
もはや「一新」。OLED&指紋センサーでさらに便利に
AQUOS R6ではディスプレイも要注目。同社として初の「Pro IGZO OLED」ディスプレイを搭載しています。今までIGZOといえば液晶でしたが、昨今のスマートフォン向けの有機EL人気を踏まえて、省電力が特徴のIGZOブランドで有機ELディスプレイを開発し、搭載しました。
Pro IGZO OLEDはさすがのコントラスト比と高輝度で、見栄えも良くなっています。リフレッシュレートは最大120Hzですが、表示更新に合わせて黒画面を挿入することで240Hzにも対応。1~240Hzの間でダイナミックに(自動で)駆動させることで、残像を抑えながら省エネを確保する、という特徴があります。
5,000mAhの大容量バッテリーと省電力性能を合わせ、長時間駆動も目指しました。1インチセンサーを搭載したことでカメラの消費電力も増えているはずですが、そうした工夫で長時間のバッテリー駆動時間を確保しているそうです。
ディスプレイには指紋センサーも内蔵。Qualcommの3D Sonic Maxを搭載しており、この技術を採用したスマートフォンは世界初とのこと。従来よりも高速な指紋認証が可能となり、指紋認証エリアが大きくなったことで、「指の位置をピッタリ合わせないと認証されない」といった不自由さがなくなっています。
エリアが大きくなったため、2本指を同時に認証することもできて、セキュリティ性が向上します。まあ、2本指でセキュリティを高める必要性がどれほどあるかはともかくとして、エリアが広くなって指紋認証が高速化する点は大きなメリットです。特に本機のような大画面スマホでは優位なポイントでしょう。
AQUOS R6は、型番こそ前モデルのAQUOS R5Gの後継機種ですが、「一新」といっていいほどのスペックの変更で、期待度の高い製品です。
LUMIX DMC-CM1や高級コンパクトデジカメのLUMIX DC-TX2ユーザー(筆者)としては、1インチセンサーの実力はある程度理解しているので、そういった製品と比較してどうか、実機の検証が楽しみなモデルです。