カメラ記者クラブは5月17日、「カメラグランプリ2021」の受賞結果を発表しました。栄えある2021年の大賞は、ソニーのフルサイズミラーレス「α1」(ILCE-1)に決定。ソニーは、2020年の「α7R IV」に続き、2年連続の大賞受賞となりました。

  • 毎年恒例のカメラグランプリ、2021年の大賞はソニーのフルサイズミラーレス「α1」が受賞した

大賞は「α1」、今まで撮れなかったものが撮れる点を評価

カメラグランプリは、2020年4月1日~2021年3月31日の1年間に発売されたカメラや交換レンズのなかから優れた製品を選ぶアワードで、国内のカメラ専門誌の担当記者で構成するカメラ記者クラブが主催します。

もっとも優れたカメラ1機種を選出する大賞に輝いたα1は、有効5010万画素の高画素ながらブラックアウトフリーで30コマ/秒のAE/AF追従超高速連写が特徴のフルサイズミラーレス。AFは新たに鳥認識AFにも対応し、「今まで撮れなかったものが撮れる喜びが味わえる」ことが評価されました。性能を引き上げながら、ボディのサイズ感や操作性は従来モデルと共通とし、従来シリーズのユーザーは違和感なく使えるようにした点も注目されます。

  • 大賞を受賞したソニーの「α1」

上位5機種の獲得点数は以下の通りで、2位のキヤノン「EOS R5」が14票差で迫っていました。

順位 製品名 点数
1位 ソニー「α1」 172点
2位 キヤノン「EOS R5」 158点
3位 富士フイルム「GFX100S」 92点
4位 パナソニック「LUMIX S5」 19点
5位 ニコン「D6」 8点

レンズ賞はパナソニック「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」が受賞

レンズ賞は、パナソニックのLマウントレンズ「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」(S-R2060)が受賞しました。標準ズームレンズは24mmや28mm始まりの製品が一般的ななか、このレンズはひとまわりワイドな20mm始まりからとしつつ、約350gという小型軽量に仕上げ、超広角の領域を身近にした点が「新時代の標準ズーム」と評価されました。広角が求められる動画撮影や自撮りなどの用途に向く、いまの時代にマッチしたレンズだ、との声も寄せられました。

  • レンズ賞を受賞したパナソニックの「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」

上位5機種の獲得点数は以下の通りで、2位のキヤノン「RF800mm F11 IS STM」がわずか3票差で肉薄していたことが分かります。

順位 製品名 点数
1位 パナソニック「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」 56点
2位 キヤノン「RF800mm F11 IS STM」 53点
3位 ソニー「FE 35mm F1.4 GM」 45点
4位 ニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」 44点
5位 シグマ「28-70mm F2.8 DG DN|Contemporary」 37点

ファンが選ぶ「あなたが選ぶ」はキヤノン「EOS R5」が受賞

写真ファンの投票により決定する「あなたが選ぶベストカメラ賞」は、キヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R5」が選ばれました。これまでのEOS Rシリーズと比べて格段に高められた速写性能や高解像度に、「キヤノンの本気を見た」「RFシステムが登場してから2年で、EOS 5Dシリーズと肩を並べられる機種が登場するまでになったかと感動した」といった声が多く寄せられました。

  • 「あなたが選ぶベストカメラ賞」を受賞したキヤノンの「EOS R5」

カメラ記者クラブ賞はRFマウントの超望遠レンズなど3製品が受賞

カメラ記者クラブ賞は、キヤノンのRFマウントレンズ「RF800mm F11 IS STM/RF600mm F11 IS STM」、ハッセルブラッドのミラーレスカメラ「907X 50C」、セイコーエプソンのインクジェットプリンター「プロセレクション SC-PX1VL/SC-PX1V」が受賞しました。

キヤノンのRF800mm F11 IS STMとRF600mm F11 IS STMは、キヤノンRFマウントの超望遠レンズ。沈胴機構の採用や絞りユニットの省略など、これまでにない割り切った設計で「圧倒的に小型軽量で低価格に仕上げた、これまでになかった純正の超望遠レンズ」という新領域を切り開いた点が評価されました。いずれも実売価格を抑え、「学生でもお小遣いやお年玉で購入を狙えることに夢がある」とコメントを寄せた審査員もいました。

  • カメラ記者クラブ賞を受賞したキヤノンの「RF800mm F11 IS STM」と「RF600mm F11 IS STM」

ハッセルブラッドの907X 50Cは、43.8×32.9mmの5000万画素CMOSセンサーを搭載したデジタルバックとVマウントボディで構成するミラーレスカメラ。往年のハッセルブラッドSWCをほうふつとさせる独特のスタイルのみならず、タッチパネルを有効活用したいまどきの操作性を備えた点に評価が集まりました。

  • カメラ記者クラブ賞を受賞したハッセルブラッドの「907X 50C」

セイコーエプソンのプロセレクション SC-PX1VL/SC-PX1Vは、顔料インクを用いた写真画質プリンター。従来モデルよりも本体サイズを大幅にサイズダウンし、設置環境はそのままに、ひとまわり大きなプリントが楽しめる点が評価されました。新開発のインクで表現力が高まったこと、直線基調に一新したデザイン、実用性とワクワク感の演出を兼ね備えたプリントヘッド部の照明など、作品制作の気分を高める演出が盛り込まれている点を評価するコメントも寄せられました。

  • カメラ記者クラブ賞を受賞したセイコーエプソンのインクジェットプリンター「プロセレクション SC-PX1VL」と「SC-PX1V」

カメラグランプリの表彰式は中止に

毎年、6月1日の「写真の日」にカメラグランプリ贈呈式が実施され、カメラグランプリを獲得した製品の開発者や担当者がコメントを寄せるのが恒例となっています。しかし、コロナウイルス感染症の広まりを受け、昨年に続き今年も残念ながら中止が発表されました。