Microsoftは米国時間2021年4月28日、公式ブログを通じて、「Windows 10 May 2021(バージョン21H1)」のリリースを準備していることを明らかにした。Windows Insider Programのベータチャネルで提供中のビルド19043.xが、バージョン21H1の最終候補版となる。

【お詫びと訂正】初出時「リリース予定が5月10日」としておりましたが、「準備中」の謝りでした。ご迷惑をおかけした読者の皆様ならびに関係各位には深くお詫び申し上げます。

  • Windows 10 バージョン21H1向け更新プログラムの提供が始まったWindows Insider Programのベータチャネル。本稿執筆時点ではビルド19043.964だった

バージョンごとに削除された機能を紹介するWebページを見ると(本稿執筆時点)、Windows 10 バージョン2004で開発終了した旧Microsoft Edgeのサポート終了を明示している。もっとも、旧Microsoft Edgeは2021年3月9日にサポート終了日を迎えているため、当然の対応だ。新機能を紹介するWebページも、バージョン21H1に関する情報はまだ掲載されていない。なお、Windows 10 バージョン21H1の法人ユーザー向け商用版プレリリースは、2021年3月から提供を開始しており、Windows Insider Programを通じてISO形式ファイルのファイルもダウンロードできる。

現時点でWindows 10 バージョン21H1に関する明確な情報は、過去の公式ブログが参考になる。米国時間2021年2月17日のブログ記事では、「Windows Helloに使用する複数カメラのサポート」や、Hyper-VでMicrosoft Edge環境を分離してセキュリティレベルを高める「Microsoft Defender Application Guardの性能向上」までは、半ば強弁すれば消費者にも利点がある。だが、「WMI(Windows Management Instrumentation)のGPSVC(グループポリシーサービス)によるリモート作業のサポート」を個人ユーザーが使う場面は皆無だろう。

  • 本稿執筆時点で配付しているWindows 10 Insider PreviewのISO形式ファイル

Microsoftは2020年6月から、Windows Insider Programを変更し、従来の先行Fastリングと安定性優先のSlowリングを、現在のDevチャネルとベータチャネルとなった。Devチャネルへは先行して新機能を実験的に投入し、ベータチャネルは次期Windows 10の機能更新プログラムへ向けた機能検証と分類した。

そこから半年間、各チャネルの動向を見てきたが、ベータチャネルのWindows 10 Insider Previewに関する動きは少ない。背景としては、Windows 10のUIやUX(ユーザー体験)を高めるプロジェクト「Sun Valley」の存在が大きく、Fluent Designを前面に押し出したUIの刷新や、アップデート体験の改善、Windows 10Xとの融合につながるであろう「Cobalt」の実装は、バージョン21H2(仮称)に持ち越されている。

他方で現在開発中であるWSLgやGPU性能をLinuxで使用するWSL 2など、今後のWindows 10を期待させる機能も少なくない。まずは5月末に開催予定のオンラインイベント「Build 2021」の発表内容に期待を寄せたい。

  • 日本時間2021年5月26日からスタートするMicrosoftのオンラインイベント「Build 2021」