韓国のファブレスIC企業であるTelechipsが、独自開発の自動車用32ビットマイコンを発売したと複数の韓国メディアが伝えている。

Telechipsの設計した32ビットマイコンは、Arm Cortex-R5をベースとして設計され、Samsung Electronicsのファウンドリ部門であるSamsung Foundryで28nmプロセスを用いて製造させる予定だという。

また、Telechipsのほかにも、LGグループの関連会社になったSilicon Worksが2020年に社長直属部門として「MCU(マイコン)部門」を設立、車載マイコン開発に取り組んでいるとも伝えられているほか、「wBMS(ワイヤレスバッテリ管理システム)」チップやカーディスプレイ用マイコンなどの開発を検討しているとしている。さらに、これまで家電製品向けマイコンを手掛けてきた韓ABOV Semiconductorも、車載マイコンの開発に取り組んでいる模様だという。

韓国政府は、SamsungならびにSK Hynixという2大メモリベンダに依存する体制からの脱却を目指し、ロジック/システムLSIでも存在感を高めるべく、長期計画を掲げ、中小のファブレスへの支援や育成を進めており、国内ファウンドリの活用を促している。一方で、車載マイコンはNXPを筆頭に、Infineon Technologies、ルネサス エレクトロニクス、STMicroelectronicsといった大手数社で市場のほとんどを占めてきたが、自動車産業の急回復に伴い、需要が供給を上回り、世界的な半導体不足が続いており、今回の動きは、そうした隙をついたものと思われる。