パナソニックの高級炊飯器、スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器「おどり炊き」シリーズは、2段階の圧力と高温スチームを使う炊飯が特徴的。甘みがあってモチモチなのに、粒感のあるご飯が炊けると評判のシリーズです。

そのおどり炊きシリーズに新モデル「SR-VSX101・181」が登場。6月1日発売予定の新モデルは、パナソニックの炊飯器として初めてのIoT対応となります。IoT機能以外にも、古いお米を自動で見分ける機能や、冷凍ご飯専用メニューなどを新たなに追加。ここでは、SR-VSX101・181で炊いたご飯を試食しつつ、新モデルを詳しくレポートします。

  • スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器「おどり炊き」シリーズ。5.5合タイプのSR-VSX101と、1升タイプのSR-VSX181の2モデルを用意。カラーはブラックとホワイトの2色。価格はオープン、推定市場価格はSR-VSX101が115,000円前後、SR-VSX181が120,000円前後

買った後も美味しさを毎年アップデート

パナソニックは以前から、スマートフォンと連携する炊飯器を販売していました。ただし従来製品は、予約設定や米の銘柄選択など、スマホアプリをリモコンのように利用する片方向通信のみ。IoT製品と呼ぶには正直微妙でした。今回の新モデルは、炊飯器とスマホの双方向通信に対応しており、機能面もIoTを生かした内容です。

  • 専用アプリ「キッチンポケット」と連動する新製品SR-VSX101

SR-VSX101・181をIoT化した最大のメリットは、炊飯プログラムを定期的に更新できるようになったこと。SR-VSX101・181には、「コシヒカリ」や「ゆめぴりか」など、63種類ものお米の銘柄にあわせて適切に炊飯プログラムを使い分ける、「銘柄炊き分け」機能があります。ただしお米は農作物なので、収穫年の気象やいろいろな条件によって、毎年どのようなできばえになるか予測できません。

パナソニックによると、夏に猛暑が続くとベタつきやすい米に育ち、冷害や長雨が多い年はパサつきやすい米になりやすいそうです。そこでSR-VSX101・181では、スマホを通じて「お米のできばえにあわせた炊き方」へと炊飯プログラムをアップデートできるようになりました。

  • スマホを経由して最新の炊飯プログラムに。全63銘柄を毎年アップデートするわけではなく、有名銘柄から徐々に更新されていきます

もちろん、スマホからの炊飯設定や、外出先からの炊き上がり予約時間の変更も可能。ちょっと面白い機能として、アプリ上でいくつかの問いに答えると、自分にぴったりの銘柄を提案してくれる「銘柄コンシェルジュ」があります。ここで選ばれた銘柄を、そのままSR-VSX101・181本体に「お気に入り」銘柄として登録することも可能です。

  • 質問に答えると自分に合った銘柄を選んでくれる「銘柄コンシェルジュ」

  • 選んだ銘柄を本体の「お気に入り」に登録することも。SR-VSX101・181は全63種類から銘柄を選べるので、よく食べるお米の銘柄を登録できるのは便利

メディア向け体験会の会場では、銘柄炊きで炊いたご飯を試食。2021年にデビュー予定の新銘柄である福島県産「福、笑い」と、2020年にデビューしたばかりの愛媛県産「ひめの凜」という2種類です。

  • 左側の「福、笑い」は口に入れた途端に甘みが強く主張して、名前の通りふっくらモチモチ。右側の「ひめの凜」は、粒が大きくお米独特の香りが爽やか、歯ごたえも比較的しっかり。炊き分け機能のおかげか、ブランドによる味と食感の違いが際立っているように感じました

  • 銘柄炊きのご飯を試食するマイナビニュース・デジタルの林編集長。「お米の味が濃くて、2つの銘柄で違いがはっきりわかりました」(林)

古いお米を自動で見分けて炊飯

ところで、皆さんはお米が生鮮食品ということを知っているでしょうか? パナソニックによると、お米は精米後からどんどん乾燥し、約2週間で含水率が12%以下にまで落ちるとのこと。乾燥したお米を炊飯すると、パサつきやすく、甘みが少なく、もちろんみずみずしさも失われます。

そこでSR-VSX101・181は、圧力センサーで釜の中をセンシング。減圧スピードの違いで米の乾燥具合をチェックする「おまかせ見極め炊き」機能を搭載しました。減圧が早いと乾燥米と判断し、強い圧力を長くかけて炊飯。これにより、乾燥米でも美味しいご飯が炊けるそうです。

  • 乾燥米と水分が多いお米を見分け、加熱や圧力を使い分けます

パナソニックのスチーム&可変圧力IHジャー炊飯器は以前のモデルから、炊飯後に高温のスチームで最後までしっかり加熱する「追い炊き」機能を搭載しているのも特徴です。

SR-VSX101・181で乾燥米を炊飯するときは、炊飯後に180℃で追い炊きして余分な水分を飛ばします。一方、釜に入れたお米を「水分量の多い新米」と判断した場合は、ベチャッとした仕上がりにならないように、追い炊き時のスチーム温度をより高い250℃まで加熱。

この「古いお米を見分ける機能」は、パナソニックの2020年モデル炊飯器でも「鮮度センシング」という名前で存在していたのですが、新米の追い炊き温度は220℃までしか加熱しませんでした。新モデルのSR-VSX101・181では、250℃で追い炊きすることで美味しさをより引き出せるようになったといいます。

  • パナソニックのスチーム&可変圧力IHジャー炊飯器の特徴ともいえる、高温スチーム用のカップ。炊飯の前に、普通の炊飯器にはない「スチーム用の水を補給」という一手間が必要です

  • 本体の内ぶたを外したところ。矢印部分が圧力センサー。なんと0.1秒ごとに釜内の圧力を検知します

今回、精米から2週間以上たったお米を使って、見極め炊き「搭載」と「非搭載」の炊飯器(2台)で炊いたご飯も食べ比べました。炊飯したのはスーパーで売っている一般的なコシヒカリです(5kg・1,800円くらい)。

  • 炊き上がり後に、釜のご飯をしゃもじで混ぜる林編集長。「しゃもじを動かす手応えからして違う!」と驚き。おまかせ見極め炊き搭載機は、非搭載器で炊いたご飯よりも柔らかく弾力が感じられます

  • 写真左がおまかせ見極め炊き搭載器で炊いたご飯、右が非搭載器のご飯。おまかせ見極め炊き搭載器で炊いたご飯のほうが、モチモチとしていてあきらかに甘みが強い!

忙しい家庭にうれしい、冷凍用ごはんコースと進化した保温機能

忙しい家庭ではご飯を多めに炊いて冷凍保存したり、一日のご飯を一度に炊いて保温していたりするでしょう。冷凍保存や長時間の保温をすると、どうしてもご飯の味が落ちます。

そんな使い方を想定して、SR-VSX101・181は炊飯に「冷凍用ごはん」コースを追加。冷凍ご飯は再加熱するとお米同士がくっついてダマになったり、ベタついたり、パサパサした食感になったりすることがあります。

「冷凍ごはん」コースでは、高温の浸水ステップでお米の吸水を均一にするほか、炊飯時に長時間沸騰することでベタつきを抑えます。さらに、高温スチームでハリを出して米同士がくっつきにくいようにするなど、冷凍ご飯の再加熱に適した炊飯プログラムです。

また、長時間の保温では、ご飯がパサパサになったり、色が黄色っぽくなったりしますね。以前からパナソニックの炊飯器は、保温時にスチームを吹き付けることで炊いたご飯の劣化を抑えていましたが(スチーム機能付きモデル)、SR-VSX101・181は保温時のスチーム回数を増やしました。これによって、より美味しく長時間の保温が可能になったといいます。

  • 12時間でスチーム回数を従来比5倍に増やすことで、長時間保温時に発生するパサつきや変色を抑えます

スチーム&可変圧力IHジャー炊飯器「おどり炊き」は、これまでのモデルも「米の甘みと美味しさを引き出す」と、ご飯が好きなユーザーから人気のある炊飯器でした。今回のSR-VSX101・181は、美味しさに加えて、冷凍用ごはんコースや長時間保温機能の追加で「忙しいときでも美味しいご飯が食べられる」というメリットも生まれました。

そして何といっても注目したいのが新しいIoT機能です。IoT家電というと「外出先など遠隔から操作できる」のが定番ですが、SR-VSX101・181の「炊飯器を買い換えなくても毎年最適な炊飯プログラムが利用できる」という機能は、IoT家電が目指すべき姿のひとつではないでしょうか。