サムザップ・ブシロード・ドリコムによる三社共同新プロジェクトの発表会が2021年3月16日、東京カルチャーカルチャーにて行われた。登壇者は声優の菅沼久義・佐倉薫・阿座上洋平・伊藤彩沙・高野麻里佳、コスプレイヤーのえなこ・篠崎こころ、プロデューサーの株式会社サムザップの高垣佳晃氏・株式会社ブシロードの中山雅弘氏・株式会社BlasTrainの田淵裕基氏。司会は松澤千晶が務めた。

  • サムザップ・ブシロード・ドリコム三社共同新プロジェクト

発表会がスタートすると、まずはプロデューサーの3人が登壇し、プロジェクトの名称を発表。タイトルは『D_CIDE TRAUMEREI(ディーサイドトロイメライ)』。Twitterのフォロワー数が28万人超のイラストレーター・くっか氏がキャラクター原案、『ペルソナ』シリーズの1・2作目や『Caligula -カリギュラ- 』などのシナリオを手掛けた里見直氏がストーリー&キャラクターコンセプト設計を担当する。また、テーマソングを歌唱するのは、東京事変。東京事変の起用については企画が立ち上がった当初からBlasTrainが熱望しており、ゲーム中の挿入歌としても、東京事変の楽曲が使われるという。

続いて、プロジェクトのテーマなどを発表。作品のモチーフは「クトゥルフ神話」と「ノスタルジック」。物語は、悩みを抱えた者達が、邪神に魂を売り、劣等感や恐怖の対象から逃れ、願望を叶えるが、その影響による浸食が広がりつつある異変が現実世界にも影響を与え始めた世界での出来事。少しずつ異変に侵食されていく日常と、万物の理をも超越した『古きもの』との関わりを描く、夢と希望にあふれる少年少女、そしてかつて夢を見続けた大人たちの姿を描く、ノワール・ジュブナイル作品だという。

本プロジェクトは、アプリゲーム・アニメでの展開がすでに決まっており、発表会では、ゲームの主人公となる古堅蘭堂を演じる菅沼久義、また蘭堂が出会う少女・天海えるを演じる佐倉薫が登壇。菅沼は事前情報がない状態で東京事変の「修羅場」を聞いてアフレコに臨んでいたため、テーマソングアーティストが発表された際は驚いたのだという。また、「作品への印象を一言で表すとすれば?」という質問には「バラ」と回答。一見は綺麗で見とれてしまうが、触ってみるとトゲがある。作品もそんな「バラ」のようなテイストに仕上がっているとのこと。同じ質問に対して、佐倉は「闇」と表現。「悪夢」などおどろおどろしい単語などが出てくるほか、ストーリーから暗いものを感じる、と言葉にした。

なお、発表会では天海えるの公式コスプレイヤー・篠崎こころも登場。「普段コスプレをするとなるとかわいい衣装が多いけど、この作品はクールなものが多くて。私服としても着られるんじゃないかというビジュアルがお気に入り」と、キャラクターを見たときに感じた率直な気持ちを吐露。また、「えるちゃんのミステリアスな部分が明かされると思うと、ゲームをプレイするのが楽しみです」と続けた。

アプリゲームの舞台は、青い海に手付かずの雄大な自然に囲まれた由良島。海神学園(わだつみがくえん)に通う高校生、古堅蘭堂は学園生活の最中、凄惨で異常な変死事件に巻き込まれていく。ゲームは、夢と現実が入り乱れるストーリーを描くアドベンチャーパートと悪夢との戦闘を行うターン性のコマンド方式を採用したバトルパートがあり、仲間とともに時間を過ごして絆を深めることが、重要になってくるとのこと。

発表会では続いて、アニメについての紹介が行われる。明るく能天気で素直な性格、そして正義感の強い主人公・織田龍平を演じる阿座上洋平と、若者に人気のSNSでフォロワー数万人を誇るインフルエンサーギャル・毛利玲菜を演じる伊藤彩沙、都内の高校に通うクールで真面目な高校生・伊吹咲愛莉を演じる高野麻里佳が、プロデューサー陣とトークを展開した。

トーク中には、アニメのアフレコにて「このセリフ、OKですか?」「これ、映像になるとどうなるんだろう?」と感じるようなものもあったと、キャスト陣がコメント。また、プロデューサー陣からはゲーム・アニメは密接に絡んでおり、交差する物語の展開にご期待いただければ、という言葉も飛び出した。

アニメに関するトークが行われるなか、毛利玲菜の公式コスプレイヤーを務めるえなこが登場。ギャルのキャラクターのコスプレをした経験があまりないというえなこは、「ギャルのメイクは世代や地域、生息地によって違うので、勉強しながらコスプレをしました」と、プロとしてのこだわりを言葉にする。その熱意を実際に高野が現場で目撃。「メイクする際に、眉毛の近さに悩んでいらっしゃった。私は考えたこともなかった(笑)」と、驚きと感動を露わにしていた。

アニメの紹介が一通り終わると、登壇者が挨拶。阿座上は「アニメは渋谷を中心にさまざまな事件が起こります。事件は、主にティーンが抱える悩みや欲望によるもの。その悩みは、大人なら大したことないというものかもしれません。ただ、その時のその人にとっては、それがすべて」と、自身の経験も振り返りつつ、物語について触れる。また、「アニメーション一話、一話、何かここ(胸のあたりを手でたたく)にひっかかるような気持ちになりますが、でも先を見てみたいと僕は思いました。もどかしいという気持ちで見ていただけば」と、演じるキャラクターに通ずる熱量で作品への想いを言葉にした。

続く伊藤は「龍平をはじめとするキャラクターが本当に魅力的。彼らが問題と直面してどう解決していくか、見てくださっている皆さんの心に届くかなと思います」と、見どころについてコメント。高野は本作が「黒い少年たちの成長期」がテーマとして描かれていると前置きしたうえで、「アニメではまさに高校生たちがいろいろな闇と立ち向かっていきます。その闇は皆さんの身近にあるもの。少年・少女時代、いいことも悪いこともすごく高い熱量がお腹に詰まっていた記憶はありませんか? そんな熱量の高い思いを一人、一人が持っていて、アニメで発散されていきます」と思いの丈を露わにした。

イベントの最後にはプロデューサー陣がそれぞれ挨拶。高垣氏は「オリジナルタイトルがなかなかチャレンジしづらい昨今に、こうやって3社共同プロジェクトというオリジナル企画が実現することを嬉しく思っております。魅力がたっぷり詰まった作品に仕上がっていると思いますので夏をお楽しみに」と、挨拶と併せてプロジェクトが実現したことへの感謝を述べる。田淵氏は「キャラクターの名前にクトゥルフ関連のキーワードを含めています。そういうのを探していただけると、より楽しんでもらえるのでは」と作品のこだわりについて触れつつ、「さまざまな方々の協力で成り立っています。アニメもゲームも含めて精神込めて作っているので、お楽しみに」と意気込んだ。

また、中山氏は「若い子と話していて、夢や希望、将来なりたいものがないという言葉を聞くことがある。それはそれでいいと思います。その中でいろいろな選択をしてその先に進んでいくというときに、どういう発見をしていくのか、というのがあればいい」というメッセージと併せて、作品にも同じような考え方や悩みを持つ人物が登場することから、「生きていくうえでの理を、作品を通じて少し感じていただけるのでは」と言葉にした。

メディアミックスプロジェクト『D_CIDE TRAUMEREI(ディーサイドトロイメライ)』は、2021年夏にアプリゲームがリリースし、アニメの放送も予定している。

(C) D_CIDE TRAUMEREI PROJECT