台TrendForceは、車載DRAMにはインフォテインメント、ADAS、テレマティクス、デジタル計測クラスター(Dクラスター)の4つの主要なアプリケーションがあり、インフォテインメントがビット消費のけん引役ではあるが、自動運転技術が向上するにつれて、4つのアプリケーションすべてが成長し、2024年には車載DRAMがDRAM全体のビット消費量の3%以上を占めるとの予測を示した。

1つ目のインフォテインメントは、車載DRAMの中でもっとも多くのDRAMを消費しているが、搭載車両の多くは比較的基本的な機能を搭載するだけに留まっていることから、その搭載量は1~2GB程度だという。しかし、今後、より高画質化や高ビデオビットレートへの対応が求められるようになるにつれて、DRAM容量は4GB、そして8GBへと拡大され、かつ高いデータ転送速度と帯域幅の実現に向け、DDR3からLPDDR4への移行が進むことが期待されるという。

2つ目のADASに関しては、現在、市場に出回っている自動運転機能を搭載した車両のほとんどがレベル1~2であることから、搭載DRAM容量は比較的少ないが、今後、レベル3以上の車両が本格的に実用化されるためには、AIの活用などが考えられ、そのためには従来のDDR3ではなく、より広帯域幅のLPDDR4/4X、LPDDR5またはGDDR5/HBMへと移行していくことが予想されるが、規制などもあるため、それにはある程度の時間が必要ともしている。

3つ目のテレマティクスまたは自動車通信システムに使用されるメモリ製品の主流はMCP(マルチチップパッケージ)で提供されており、主に低消費電力DRAM(LPDRAM)が用いられる。今後、V2VやV2Xに対する需要が高まることが予想されるが、それに併せてLPDDR2からLPDDR4/LPDDR5への移行が期待されるという。そして4つ目のDクラスターについては、計器類を含めた個々の車両のデジタル化の度合いによって異なるが、主に2Gビットか4Gビットが用いられ、この分野の搭載量は今後も大幅に増加することは考えにくいとしている。ただし、将来的にはインフォテインメントと統合され、単一の集中型システムになっていく可能性はあるとしている。

  • 車載DRAM

    自動車1台当たりの搭載DRAM容量(単位:GB)の推移 (出所:TrendForce)