Intel GPU
2020年はTiger Lake向けにXe GPUを提供すると共に、Iris Xe Max及びServer GPUとしてXeベースのDiscrete GPU製品を発表したIntel。2021年はいよいよDesktop向けのGPUが提供される予定である。といっても、2020年11月の段階では、Labでシリコンが動作しているというレベルだから、まだ製品化には多少時間を要するのは間違いない。
さてそのDesktop向け、ラインナップとしてはXe-HPGとなる訳だが、当初は512EUと伝えられていた。Xeの場合、基本的にはEUあたり8-wideのSIMDエンジンになっており、512EUなら4096演算/cycleということになる。これはAMD/NVIDIAで言うなら64CU/64SMに相当する。これが多いか少ないか? というと、NVIDIAなら
GeForce RTX 3060 Ti | 38SM |
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GeForce RTX 3070 | 48SM |
GeForce RTX 3080 | 68SM |
GeForce RTX 3090 | 82SM |
だし、AMDだと
Radeon RX 6800 | 60CU |
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Radeon RX 6800 XT | 72CU |
Radeon RX 6900 XT | 80CU |
になる訳で、Radeon RX 6800とは競合できるかもしれないが、GeForce RTX 3080とかRadeon RX 6800 XTと競合するのは難しい事になる。
勿論これは動作周波数とか無視した話であり、例えば512EUのままでも3GHzくらいでブン回せればもっと上位モデルが狙えそうな気はするが、さすがにそれは無理だろう。そうした事もあって、途中で960EUに増量した、という話になっている。つまり120SM/120CU相当である。これが本当なら競争力が高そうであるが、ダイサイズが恐ろしい事になりそうである。ちなみにMemory Busなどは不明だが、GDDR6XをIntelが使うとは思えないので、GDDR6ベースとなると最低でも384bitバスは必須で、出来れば(≒InfinityCacheみたいなトリックを使わない前提であれば)512bit幅が欲しい所だ。実装コストを度外視すればこれは難しくない(基板の表裏にそれぞれ8チップづつGDDR6を張り付ければいい)のだが、価格と発熱の両面で厳しい事になる気がする。
なお512EUという話の時には、メモリ容量は6GBないし8GBとされており、ハイエンドが256bit幅、その下のグレードが192bit幅と想像されるが、960EUが事実だとしたらこのあたりも全部ひっくり返る可能性がある。そして、これもまだ512EUの時代の話であるが、2021年中旬(つまりCOMPUTEXの開催前後)に発表という話だった。これも果たして960EUで守れるかどうか、ちょっと微妙なところである。ちなみに製造はTSMCのN7が使われるらしい。InfinityCacheみたいな技を使わないのであれば、TSMCのN7で600平方mm強のダイサイズがあれば120SM/120CUを収めるのは難しくない(Photo03で80CUが収まって520平方mmだから、ダイサイズを100平方mm増やしてInfinityCacheを取り去れば120CUは十分入りそうだ)ので、まるっきり荒唐無稽という訳ではないと思うが、果たして完成するのだろうか? という点が心配になる。まぁそんな訳で、登場するとしても2021年後半になるだろう。その段階には、その先のロードマップも見えてくるかもしれない。